かつて僕は、看取り介護計画の同意に関連して「看取り介護考〜死の告知。」という記事を書き、この中で、死期の告知に繋がる「看取り介護計画同意」は本人に同意を求めない方が良いケースが多いと書いた。
だが同時にそのことは、日常の関係を通じて、職員と利用者が「信頼関係」を構築した上で、利用者が終末期にどこで過ごしたいかを、職員が代弁し得る存在になることが求められていることについて「看取り介護期のアドボカシー」という記事で解説している。
しかしこの点に関して言えば、我が施設は対応がまだ不十分なところがある。
それは「終末期にどこで、どのように過ごしたいのか」「緑風園で最期の瞬間まで過ごしたいのか」という確認について、代弁を必要としない利用者について「分かっているつもり」になり、きちんと本人の意思を確認していないというケースが多いということに気がついたのである。
例えば認知症の方なら、自ら終末期の希望を訴えることが難しいという共通認識があるため、常日頃から、本人はどうしたいのかを想像して、家族にも我々の考え方を伝えて、「もしもの場合」に備えていることが多い。
しかし意思のしっかりしている方に対する確認作業というものが、家族も施設職員も、「まだ早いだろう」「うっかり死に関する話題を語るのは、本人に精神的なシュックを与えるのではないか」等、遠慮の気持ちも先行して、その意思確認が充分できていないケースが多いのだ。
いや、そういう意味ともすこし違うかもしれない。
むしろ意思疎通に問題がないゆえに、我々の思いもすべて利用者に伝わっていると思いこんでしまって、「こんなにこの施設での生活に満足しているのだから、終末期もここにいたいと思っているだろう」といつの間にか決めつけているケースが多いのだ。これは大きな間違いである。意思疎通に問題ない利用者であるからこそ、意思をしっかり確認し得る段階で、きちんとした形で自身の終末期の対応についてコンセンサスを得ておくべきである。ここに少し齟齬があった。
介護施設で「死」を語ることをタブー視してはならない。我々が看取り介護を密室化させず、第3者から見ても安心・安楽の看取り介護を行っている限り、死を語ることは「生き方」を語ることに他ならない。
だから「自分が不治の病に侵され、死期が迫っていると診断された場合に、延命措置を望むのか否か」「延命措置を望まない場合、どこで最期の時間を過ごしたいのか」等を明確な形で意思確認しておくべきであり、そのことを確認した上で、将来的に具体的にどのように対応し得るかを、利用者・家族・職員間でしっかり話し合っておくべきである。
そうした反省にたって、これから随時、延命治療を望むのか、看取り介護期にどこでどう過ごしたいかを確認し、書面でその意思を残していこうと考えている。
その確認と相談、同意作業についてはケアマネジャーを主体に進められていくことになる。その業務は、単に書面を整えるという「作業」と考えてはならず、自分が最後まで「どのように生きたいのか」を確認することになるのだから、利用者の感情表出を促しながら本音を引き出し、その思いを受容し、思いの実現に向けて共に考えるというソーシャルケースワークの過程そのものが求められるであろう。
その思いを確実に表明してもらった上で、将来に備えていかねばならない。
ただし、ここで間違ってはいけないことは、延命治療を望まないことと、緩和治療を望まないことは違うということである。例え利用者自身の死期が迫って、「最後までこの施設で暮らしたい」という希望を書面で残していたとしても、利用者が痛みに苦しんでまで、その希望を実現するということにはならず、利用者は希望を表明した時点では、全ての状況を想定をし得ない、という理解も必要である。ペインコントロールを含めた緩和治療が必要な状況が生じた場合、その状況を無視してまで、施設は対応すべきではない。
安心・安楽とは、家族や施設のそれではなく、あくまで利用者自身の安心と安楽であるということを念頭に置いて、終生施設としての特養ができることを最大限に行う努力はすべきであるが、その機能や能力・力量を超えた対応を行うべきではない。それは決して利用者の安心・安楽とはイコールにならず、施設側の自己満足だけに陥る危険性があることも知るべきである。
看取り介護期とは、そうした状況に応じた判断が常に求められ、敷かれたレールの上だけを走っておればよいという時期ではないという理解が必要である。
それだけの責任を持った上で、利用者や家族に信頼を得てこそ初めて我々は、最後の瞬間に「傍らにいることが許される者」になり得るのである。
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介護・福祉情報掲示板（表板）
だが同時にそのことは、日常の関係を通じて、職員と利用者が「信頼関係」を構築した上で、利用者が終末期にどこで過ごしたいかを、職員が代弁し得る存在になることが求められていることについて「看取り介護期のアドボカシー」という記事で解説している。
しかしこの点に関して言えば、我が施設は対応がまだ不十分なところがある。
それは「終末期にどこで、どのように過ごしたいのか」「緑風園で最期の瞬間まで過ごしたいのか」という確認について、代弁を必要としない利用者について「分かっているつもり」になり、きちんと本人の意思を確認していないというケースが多いということに気がついたのである。
例えば認知症の方なら、自ら終末期の希望を訴えることが難しいという共通認識があるため、常日頃から、本人はどうしたいのかを想像して、家族にも我々の考え方を伝えて、「もしもの場合」に備えていることが多い。
しかし意思のしっかりしている方に対する確認作業というものが、家族も施設職員も、「まだ早いだろう」「うっかり死に関する話題を語るのは、本人に精神的なシュックを与えるのではないか」等、遠慮の気持ちも先行して、その意思確認が充分できていないケースが多いのだ。
いや、そういう意味ともすこし違うかもしれない。
むしろ意思疎通に問題がないゆえに、我々の思いもすべて利用者に伝わっていると思いこんでしまって、「こんなにこの施設での生活に満足しているのだから、終末期もここにいたいと思っているだろう」といつの間にか決めつけているケースが多いのだ。これは大きな間違いである。意思疎通に問題ない利用者であるからこそ、意思をしっかり確認し得る段階で、きちんとした形で自身の終末期の対応についてコンセンサスを得ておくべきである。ここに少し齟齬があった。
介護施設で「死」を語ることをタブー視してはならない。我々が看取り介護を密室化させず、第3者から見ても安心・安楽の看取り介護を行っている限り、死を語ることは「生き方」を語ることに他ならない。
だから「自分が不治の病に侵され、死期が迫っていると診断された場合に、延命措置を望むのか否か」「延命措置を望まない場合、どこで最期の時間を過ごしたいのか」等を明確な形で意思確認しておくべきであり、そのことを確認した上で、将来的に具体的にどのように対応し得るかを、利用者・家族・職員間でしっかり話し合っておくべきである。
そうした反省にたって、これから随時、延命治療を望むのか、看取り介護期にどこでどう過ごしたいかを確認し、書面でその意思を残していこうと考えている。
その確認と相談、同意作業についてはケアマネジャーを主体に進められていくことになる。その業務は、単に書面を整えるという「作業」と考えてはならず、自分が最後まで「どのように生きたいのか」を確認することになるのだから、利用者の感情表出を促しながら本音を引き出し、その思いを受容し、思いの実現に向けて共に考えるというソーシャルケースワークの過程そのものが求められるであろう。
その思いを確実に表明してもらった上で、将来に備えていかねばならない。
ただし、ここで間違ってはいけないことは、延命治療を望まないことと、緩和治療を望まないことは違うということである。例え利用者自身の死期が迫って、「最後までこの施設で暮らしたい」という希望を書面で残していたとしても、利用者が痛みに苦しんでまで、その希望を実現するということにはならず、利用者は希望を表明した時点では、全ての状況を想定をし得ない、という理解も必要である。ペインコントロールを含めた緩和治療が必要な状況が生じた場合、その状況を無視してまで、施設は対応すべきではない。
安心・安楽とは、家族や施設のそれではなく、あくまで利用者自身の安心と安楽であるということを念頭に置いて、終生施設としての特養ができることを最大限に行う努力はすべきであるが、その機能や能力・力量を超えた対応を行うべきではない。それは決して利用者の安心・安楽とはイコールにならず、施設側の自己満足だけに陥る危険性があることも知るべきである。
看取り介護期とは、そうした状況に応じた判断が常に求められ、敷かれたレールの上だけを走っておればよいという時期ではないという理解が必要である。
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感動の完結編。
