地域包括ケアシステムの基礎的サービスとして新設された「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の事業指定を受けることができる形態として、訪問介護を行う事業者が地域の訪問看護事業所と連携をしてサービス提供する介護・看護連携型(介護看護連携型事業所)が認められている。(下図参照)この場合、看護サービスのうち、居宅での療養上の世話・診療の補助は連携先(つまり訪問看護事業所)が提供するとしている。

連携型のイメージ

介護看護連携型事業所においては、医師の指示に基づく看護サービスは、連携先の訪問看護事業所によって提供されることになるが、介護と看護の一体的提供の観点から、連携内容・方法が一番の問題となるだろう。

下記の図は、赤矢印が「訪問介護員による介護サービス」、青矢印が「医師の指示に基づく訪問看護」、青い点線の矢印は「定期的なアセスメント訪問」となっており、訪問看護の必要のない利用者のもとにも、連携先の訪問看護師が訪問して定期アセスメントをする仕組みになっている。この報酬も月額定額報酬の中に含まれており、定期アセスメントを行わない利用者がいてはならないし、出来高で加算されるような仕組みではない事にも理解が必要だ。

連携型のイメージ2

このことについて「24時間地域巡回型訪問サービスのあり方検討会報告書」では、「看護職員が、すべての利用者に対して利用開始時に加え、サービス利用期間を通じて定期的にモニタリング訪問を行い、看護の知見からのアセスメントを行うことは、利用者の在宅生活を支える上で非常に重要である。」と理由づけをしている。

つまり介護看護連携型事業所においては、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の指定を受ける事業主体が「訪問介護事業所」であり、訪問看護事業所は、その連携先として訪問介護事業所と契約によって定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービスとしての業務を行い、かつチームで継続的アセスメントを行うとされているにも関わらず、実際は看護職員が中心にマネジメントし、介護職員に指揮命令権が生じる可能性が高い仕組みになっている。

事業主体より、連携先の訪問看護師の裁量権が大きいというのも不思議なことで、そうであるがゆえに、新サービスはまさに介護を医療の下請けサービスとして考えて創り上げたと言えるのではないだろうか。

新サービスの介護報酬についてはすべて月額定額報酬であるが、この介護看護連携型事業所の介護報酬算定の仕組みが面白い。

一体型の事業所については、地域密着型サービスである「定期巡回・随時対応型訪問介護看護費」について訪問看護サービスを行わない場合「定期巡回・随時対応型訪問介護看護費気痢複院法廚發靴は、訪問看護サービスを行う場合「定期巡回・随時対応型訪問介護看護費気痢複押法廚里匹舛蕕を算定することになる。

一方、連携型の場合、指定「定期巡回・随時対応型訪問介護看護所となる訪問介護事業所では「気痢複院法廚箸泙辰燭同じ単位である「定期巡回・随時対応型訪問介護看護費供廚鯔問介護事業所が算定した上で、連携先の訪問看護事業所については、「連携する定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所の名称、住所その他必要な事項を都道府県知事に届け」を行った上で、介護給付の居宅サービス費である既存の訪問看護に新設された「ハ 定期巡回・随時対応型訪問介護看護費事業所と連携して訪問看護を行う場合」(2.920単位)を算定することになる。
(※要介護5の利用者に対する訪問は800単位加算する)

そしてこの間、急性増悪期等で医師の指示により特別の指示が行われた場合には(つまり医療保険訪問看護の対象となった場合という意味だろう)、所定単位から96単位を減算するとしている。

そのほかにも細かなルールは別に存在するが、大まかに言えば連携型は、法人が異なる(同じ法人でも良いが)訪問介護事業所と訪問看護事業所が、連携契約を結んで介護と看護の一体的提供を行いながらも、主体事業所が介護給付費を算定して、連携事業所に契約による費用を支払うのではなく、それぞれの事業所が別途介護給付費を算定するというまったく新しい仕組みを取り入れているのである。

これは外部サービス利用型特定施設などの連携契約と大きく異なる点である。

ところで4月以降、この定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所は、一体型と連携型のどちらが主流になるだろう?僕はサービス開始当初は、一体型が多くなっても、ごく近い将来その数は連携型の方が多くなるのではないかと予測している。

なぜならこのサービスは、既存の訪問介護事業所が参入することが考えられるが、そこで訪問看護師を募集しても、その人材確保は簡単ではないと思えるからだ。

そもそも現在訪問看護ステーションは全国に約5.500カ所あり、看護師や准看護師約27.000人が働いている。だが圧倒的に人手が足りず、1人で訪問するために責任が重く、病院勤務より訪問看護師になろうということから希望者が少ない現状である。現に09年度は全国で323カ所の訪問看護ステーションが休・廃止に追い込まれ、うち152カ所は人員不足が理由だ。

それを考えると、訪問介護事業者でこのサービスに参入しようとする事業者は、自前で労務管理を行う看護師を雇用する必要もなく、訪問看護師を養成する手間もかからない方法として、既存の訪問看護ステーションと連携して、このサービスに参入しようとする事業者が年を追うごとに増えるのではないだろうか。というよりそういう形でしか訪問看護師をこのサービスに張り付けることが難しいのではないだろうか。

視点を変えて考えると、訪問看護師を雇用できないため、このサービスに参入することをあきらめている訪問介護事業者は、他の訪問看護事業所と連携することによって24時間巡回サービス事業に参入できる可能性があるということだ。

さらにいえば、同一法人内で訪問看護ステーションと訪問介護事業所を持っている既存事業者の場合、わざわざ新たな「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所」を立ち上げるのではなく、訪問介護事業所で巡回ヘルパーを確保して「定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所」の指定を受け、訪問看護部分は同法人内の既存の訪問看護ステーションと連携すればよい。それだけでこのサービスに効率的に参入できる。

このサービスの夜間巡回は、ヘルパーが対応することを基本としており、モデル計画書を見ても、訪問看護師による夜間訪問は組み込まれておらず、訪問看護は日中対応を中心にしているので、現行の訪問看護ステーションは、人員配置をさほどいじらずともこの連携は可能で、それによって月額定額報酬の新たな顧客を確保できるというメリットがある。そういう意味からは、訪問看護ステーション側からも連携を模索しない手はないだろう。

最初に指摘したように、新サービスは「公募制」であるがゆえに、一旦、地域で事業指定される事業者があれば、他の事業者が後追いでそのサービスに参入することが難しい。そのことを考えれば、経営戦略として連携型での事業運営を早急に設計する必要性のある事業者も多いのではないだろうか。

なお関連情報として、厚生労働省は、新サービスの1施設当たりの整備補助額を明らかにしているので、その内容を付記しておく。

・24時間訪問サービスの「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」の補助額は、1施設当たり500万円。
・小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせた「複合型サービス」は、同2千万円。

これは、小規模特養などの整備の「介護基盤緊急整備等臨時特例基金」による補助。同基金は11年度末で終了する予定だったが、第5期介護保険事業計画中の整備支援策として、新サービスを追加して12年度末まで同基金を延長するものである。

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