介護報酬は、基本サービス費のほか、各種加算報酬で積み上げて算定する仕組みになっている。この加算報酬については、様々な算定ルールがあるが、大別すると、あらかじめ届け出が必要な加算報酬と、届け出ていなくとも実績だけで算定できる加算報酬とに分けられる。
例えば特養の介護報酬における加算報酬を例にとると、あらかじめ届け出が必要な加算報酬としては、
1.日常生活継続支援加算 2.看護体制加算 3.夜勤職員配置加算 4.準ユニットケア加算 5.個別機能訓練加算(ショートは機能訓練体制加算) 6.若年性認知症受入加算 7.常勤医師配置加算 8.精神科医療養指導加算 9..栄養マネジメント加算 10.療養食加算 11.看取り介護加算 12.在宅入所相互利用加算 13.認知症専門ケア加算 14.サービス提供体制加算 15.認知症行動・心理症状緊急対応加算(ショートのみ) 16.送迎加算(ショートのみ) が挙げられる。
一方、あらかじめ届け出は必要なく、実績によって請求できることになっている費用は、
1.外泊時費用 2.初期加算 3.退所前後訪問相談援助加算 4.退所時相談援助加算 5.退所前連携加算 6.経口以降加算 7.経口維持加算 8.口腔機能維持管理加算 9.在宅復帰支援機能加算 10.在宅中重度受入加算(ショートステイ) 11.緊急短期入所ネットワーク加算(ショートステイ) が挙げられる。
ところで届け出が必要な加算について、いつまで届け出て、いつから算定できるのかということについては、施設サービスと居宅サービスで、そのルールが大きく異なっている。この違いを知っておかないと、せっかく算定できる加算が、ルールを知らないために算定できないということもあるため注意が必要だ。
加算の届け出に関する老企40号解釈通知では、施設サービスと短期入所の届け出の規定は
「届出に係る加算等については、届出が受理された日が属する月の翌月(届出が受理された日が月の初日である場合は当該月)から算定を開始するものとする。」とされている。
つまり、届け出が必要な加算を2月から算定しようとする場合に、1月31日までに届け出て、それがその日のうちに受理されれば、翌2月分から加算費用として算定できるのである。
しかしショートステイ以外の居宅サービスの定めである老企36号(訪問、通所系サービスの解釈通知)では、この規定は
「届出に係る加算等(算定される単位数が増えるものに限る。以下同じ。)については、適正な支給限度額管理のため、利用者や居宅介護支援事業者に対する周知期間を確保する観点から、届出が毎月15日以前になされた場合には翌月から、16日以降になされた場合には翌々月から、算定を開始するものとすること。」
とされている。つまり訪問、通所系の居宅サービス事業所の加算費用は、利用者の区分支給限度額に関係するもので、(償還払いサービス利用するものでない限り)あらかじめ居宅サービス計画を立案して利用するもので、この際に計画作成する居宅介護支援事業所の介護支援専門員(あるいはセルフプランの場合は本人)が支給限度額管理するに必要な費用計算をするために、月末ぎりぎりに届け出た単位の請求に変わってしまっては困るため、毎月15日までに届け出た場合は、当該加算は翌月から算定できるが、16日以降に届け出た場合は、翌々月からの算定になるというものだ。当然これは、翌月の利用票と提供票に記載する単位数が、毎月の計画時点で確定できることに配慮したルールであることは言うまでもない。
つまり届け出の15日ルールは、居宅サービスの訪問、通所系サービスに適用されるもので、施設サービスと居宅サービスの滞在サービスには適用されないルールなのである。
この際、同じく支給限度額管理に含まれる滞在サービスに、このルールが適用されない理由は、そもそも滞在サービスは、訪問通所系サービスのように週単位で定期的に使うとは限らず、突発緊急的利用が想定されることから、計画の都度、利用票・提供票を再作成することが考えられるために、施設サービスと同じ取り扱いとしたものであろう。
ところで、加算届けの解釈通知である「老企40号」と「老企36号」には、もう一つ大きな違いが文言として示されているのはお気づきだろうか?
前者は「届出が受理された日」であり、後者は「届出が毎月15日以前になされた場合」である。
つまり施設サービスと滞在サービスの加算届けは、いくら月末に窓口で届け出たとしても、担当者が不在など何らかの理由でその場で受理されず、翌月の1日に受理された場合、加算は届け出た月の翌月ではなく、受理された月の翌月になってしまうという意味である。だから受理されたのかを確認することは重要となる。
一方、居宅サービスの訪問・通所系サービスは、あくまで届け出た日がいつなのかしか問題とされない。
この解釈から言えば、居宅サービスの訪問・通所系サービスは、届け出が行われた日のみ確認できれば、受理行為はあくまで官庁内の事務処理上の問題で、費用算定に影響しないため、その確認までする必要はないということになる。
このあたりの文言と、ルールの違いは、読み込めば読みこむほど複雑怪奇としか言いようがなくなってくる。
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