今月初め、今年度の介護支援専門員試験(正式には介護支援専門員実務研修受講試験:10月23日実施)の合格発表があった。合格率は1998年度の試験開始以降で最も低かった前年度の20.5%を下回り、15.3%となって2年連続で過去最低となった。
(下図、介護支援専門員試験合格者数と合格率の推移参照のこと)

介護支援専門員試験の合格率と推移

合格率低下の要因は、法令変更等によって試験範囲が広くなっているからなのか、試験問題が難しくなっているからなのか、はたまた受験生の知識レベルが低くなっているからなのか、本当のところはよく分からない。少なくとも今回の試験内容を精査してみても、試験問題自体はさほど難解ではない。

この程度の試験問題で7割〜8割の正答率をクリアできないのであれば、資格を得られなくて当然だろう。

そう考えると、むしろ過去の合格率の高かった頃の試験問題が「易しすぎた」というのが本当のところで(ちなみに僕は第1回の合格者であるが、全問題の中で不正解は1問のみであった)、現在の状況が普通ではないかと思う。合格率もこの程度で良いだろう。そういう意味では過去の有資格者大量生産時期に試験に合格した者は、この問題で、同じ合格基準で試験を受け直したら落第する人も多いのではないかと疑っている。

特に上の表を見て分かるように、制度開始当初は介護支援専門員という有資格者をとにかくたくさん創りだろうという政策誘導があったことは明らかだ。第8回試験までの合格率は少し高すぎる。

ともかく介護支援専門員を大量に生み出そうとした時代は終わったということだ。そしてそれはある意味、現状のケアマネジメント技術への国の評価である。つまり全部の介護支援専門員がケアマネジメント技術を持っていないとは言わないが、質の低い有資格者も存在するのは事実で、玉石入り混じった状態を改善して、現場でその質のデコボコを慣らしていこうという何らかの意図が、ここ数年の国の試験合格基準に働いているのだろう。

不合格になった人は、この合格率の低さを見て、試験の合格基準が難しくなったと嘆くのではなく、過去に合格率が高かった時代があった事をうらやましく思うのでもなく、自らの知識レベルの足りなさを嘆くべきである。その程度で合格しても、実務で苦労する先輩を思い起こして、ああならなくて良かったと思った方が良い。そしてその悔しさを糧にして、来年の試験に向けて自分の知識を高めることに心血を注いだ方が良い。嘆いても、悔しがっても、どうにもならないし、誰も同情してくれないって。そんな時間の無駄はやめて、前を向いた方が自分のためだ。

一方、試験に合格して、これから実務研修を受けて、介護支援専門員として活躍する皆さんは、試験合格は終わりではなく、始まりという意味にしか過ぎない事を自覚してほしい。

資格は仕事をしてくれない。

資格を持ちながら、それに胡坐をかいて何も援助技術を持たない人間は「厚顔」という恥をさらして歩いているようなものだ。バイスティックの7原則も知らない介護支援専門員では、影で誰かに後ろ指されて笑われたって仕方ないって。

だからここは一番、誰より知識と技術を身につけてやれって頑張るしかない。

実務研修の講師の知識など(ナリちゃんとか、兼任CMさん等の一部の達人を除くと)たいしたことないから、レクチャーされたことを、すべて鵜呑みにせず、自分なりに講師の言葉をかみしめて、評価して、それを超えてやるって思った方が良い。

日本介護支援専門員協会のトップなどケアマネジメント技術どころか、一般常識に関する知識も疑わしいレベルだから、資格を持っている人すべてを尊敬して、その言葉を鵜呑みにする必要などないのである。

知識は人から与えられるだけなら他人を超えられない。教科書の文言しか理解出来ないなら、それは自分の知識ではなく、教科書の音読者に過ぎない。教科書の通りにしか講義のできない講師など、知識の伝達者ではなく、教科書に書いてある内容のメッセンジャーに過ぎない。
(参照:創造力を育むもの、芽を摘むもの・前篇後篇

だから・・・・・・。

どうぞ自分で考える人になってください。自分で見つける人になってください。

ケアマネ資格を新しく取得した方々が、ぼちぼち表の掲示板に書き込みしてくるようになる時期であるが、僕はそれら人々が「新人です。勉強不足です。」というのを許さない。前職の実務経験が5年もあって何が新人だ!!対人援助に関わる実務に携わるのに、何も知らないでどうするんだ。だからそういう人々にも、厳しい意見を投げつけることは覚悟してほしい。

それが僕の優しさである。

だけど自分で勉強しようとする人。自分で見つけようと考える人にはお手伝いをするだろう。それが僕のやり方であり、それが僕の管理する掲示板のコンセプトである。

ブログ書籍化本売れてます。早くも第4刷増刷。2012年1月下旬続編発売決定。下のボタンをプチっと押して、このブログと共に応援お願いします
人気ブログランキングへ

blogram投票ボタン
↑こちらのボタンをクリックしていただくと、このブログの解析がみられます。
介護・福祉情報掲示板(表板)