居宅サービス計画(居宅介護支援事業所の介護支援船専門員が作成)は、利用者と社会資源を有効に結びつけることによって生活課題を解決するという目的を持っている。

そのため居宅サービス計画書では総合的援助方針を定め、課題解決に繋がる長・短期目標を設定した上で、目標期間を定め、その目標を達するために必要とされるサービスの種類を決め、そのサービスの利用方法と利用スケジュールを調整した内容を示すことになっている。

そして居宅サービス計画に位置づけられた各サービスによって、具体的にどのようなサービスが提供されるのかを定めた「個別支援計画」は、各サービス事業所が作成する計画(各居宅サービス事業所の計画担当者が作成)として作成される。(以下、各サービス事業所の計画と記す)ここではサービス提供の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記すことになっている。
(※この計画では目標の期間設定は必要とされておらず、かつ目標を長短期に分ける必要もない。)

このように居宅サービスの計画は、基になる「居宅サービス計画」と「各サービス事業所の計画」の2階建ての構造が基本となっている。このイメージ図は以下の通りである。

居宅サービスのプラン構造

ただし後者のプランについては必要とされていないサービスもある。
(参考:プランが必要ではないサービス)
「居宅療養管理指導」「住宅改修」「特定福祉用具販売」「福祉用具貸与」「訪問入浴」「ショートスティの四日未満利用」
※ただし住宅改修は厳密には介護保険法第8条に定める「居宅サービス」に入っていないので居宅サービスという分類上の定義ではない。

計画が必要とされている各サービス事業所の計画については「居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画に沿って作成されなければならない」とされている。

しかしだからと言って、各サービス事業所の計画が目標の内容や計画書の有効期間が居宅サービス計画と同じでなければならないということではない。ましてや居宅サービス計画が再作成される都度、変更作成されなければならないというものでもない。そのような規定は法的に存在しないのである。

ところが法令根拠に基づかない身勝手指導で全国的に有名な静岡県(参照:一連の静岡騒動)では、集団指導の資料「平成22年度 実地指導・営利法人監査における主な指摘・助言事項一覧」の中で、この各サービス事業所のプランへの指導事項として「居宅サービス計画の更新があったにもかかわらず、計画の見直しや更新がされていない。」という間違った指導内容を堂々と掲載している。

まったくこの県の介護保険指導担当課は馬鹿しかいないな。脳みその替りに黒はんぺんでも詰め込んでいる連中をわざわざ集めているのではないのか?

居宅サービス計画を見直した場合、居宅介護支援事業所の担当者は、基準省令13条11号規定に基づいて「当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。」とされており、各居宅サービス事業者の担当者にも新しいプランを交付することになる。
(※サービス事業所の担当者に、居宅サービス計画書を交付していなければ居宅介護支援事業所が運営基準違反を指導される。ちなみに各サービス事業所のプランについては、利用者への交付義務はあるが、居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員への交付義務はないので、担当ケアマネにプランを渡す必要性は必ずしもない。)

この際、新たに交付を受けた居宅サービス計画を確認して、その内容に沿っていることが確認できれば、各サービス事業所の計画は機械的に変更する必要はない。

新しく交付を受けた居宅サービス計画の内容が大幅に変わっていて、総合的援助方針のベクトルの向きが変わってしまっている場合など、現在のサービス事業所のプラン内容ではケアマネの方針に基づいて目標を達成するのが不十分であるなど、内容に沿わない部分が出てきて初めて変更の必要性が生ずるものである。

つまり内容に沿うとは、次の図のように解説できるものである。

計画に沿うという意味

このように「居宅サービス計画の内容に沿う」という意味は、介護支援専門員を中心としたチームとして理念を共有し、総合的援助方針を共有し、担当介護支援専門員が立案した長期目標が達せられ、生活課題が解決する方向に向かって、「各サービス事業の計画」の目標が設定され、その目標を実現するための具体的サービスが立てられることを意味する。

上の図でいえば、訪問介護や通所介護などのサービスとは、居宅サービス計画の総合的援助方針に沿って位置づけられたサービスである という意味であり、各居宅サービス事業所計画の目標等が「居宅サービス計画」の長・短期目標を実現するための手段となり得る内容であればよく、「総合的援助方針」に基づいて、その目標を達していくことが「居宅サービス計画」の内容に沿うことになる。つまりその意味は、それぞれの計画書の方向性が同じくなっている意味でしかなく、図の緑色で示した矢印の向きが、居宅サービス計画書の目標や総合的援助方針の向きと同じであれば良いだけで、居宅サービスの計画の更新時に、その内容を確認して、この矢印の向きが一致していると確認できれば、わざわざ各サービス事業所の計画を変更する必要性はない。

もっと具体的に言えば、居宅サービス計画において「活動機会が失われることで他者との交流機会がなくなり身体機能と精神機能の低下が懸念される」という生活課題をアセスメントして(※業界最大の悪書である「居宅サービス計画書作成の手引」(長寿社会開発センター)では、この場合の生活課題を「元気なころと同じように友人との付き合いをしたい」という課題がまったく見えなくなってしまう表現を推奨している。この悪書を見習ってはいけない。)、長期目標が「友人との付き合いを再開して楽しみのある生活をする」とし、短期目標を「他者との交流機会を定期的に持つ」として、サービス内容を「グループ活動に参加する」「アクティビティに参加する」「友人と交流」とし、サービス種別を「通所介護」としている場合、通所介護計画はそれに沿って、アクティビティサービスや、機能活用のサービスを組み込んでいるはずだ。

この場合、居宅サービス計画に、当初位置づけてられていなかった「福祉用具貸与」を新たに組み込んでプラン変更したとしても、通所介護の利用目的が決定的に変わらない限り、再作成された居宅サービス計画に沿わなくなるわけがなく、この場合、通所介護計画を変更作成する必要性はみじんもない。

よって静岡県の指導は「内容に沿う」という意味を理解していない、日本語の意味さえ理解していない素人のボンクラ指導であり、そんな指導に法的根拠はなく、従う必要性はないものである。

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