平成23年1月に発表された「今後の介護人材養成の在り方について(概要)」(今後の介護人材養成の在り方に関する検討会報告書)では、介護人材の養成体系を整理し次のように改正するとしている。
〆8紊離ャリアパスは、「初任者研修修了者→介護福祉士→認定介護福祉士」を基本とする。
⇒簡素でわかりやすいものとし、介護の世界で生涯働き続けることができるという展望を持てるようにする。
現在のホームヘルパー2級を「初任者研修(仮称)」と位置付ける。
介護職員基礎研修は、実務者研修に一本化する。
⇒初任者研修は、在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を修得する研修とする。(現行のヘルパー2級のように、この研修を受けないと訪問介護員にはなれない。)


このような方針が示されていたが、厚生労働省は、今月に入って介護職員の研修体系見直しの一環として導入を予定していたヘルパー2級に代わる「介護職員初任者研修」について、2013年度からスタートさせることを決めた。あわせて06年度から始まった500時間の介護職員基礎研修も来年度末までで廃止し、改正介護福祉士法で導入する実務者研修に一本化する方針を示した。

これにより現在のヘルパー2級研修を全面的に初任者研修に移行させ(※)、研修体系の「入り口」として位置付け直すことになる。ということは2012年度一杯をもって、ヘルパー2級の養成は終了し、以後ヘルパー2級という資格を取得する途はなくなるという意味である。同時にこれにより2級修了後、一定期間以上の実務経験者が受講できる1級ヘルパー講座(※2)の受講者も立ち枯れることになり、いずれはヘルパー有資格者というものは存在しなくなる。つまり介護の基礎資格は介護福祉士を原則とすることとなるのである。

※初任者研修は介護職への入職段階と規定され、現在の2級ヘルパー養成講座が在宅中心の内容であることから、初任者研修については在宅・施設を問わず介護職として働いていく上で基本となる知識・技術を修得できるようなものとなるよう、今後改めていくことが適当とされている。その際、在宅サービスに必要な知識・技術の水準が確保されるよう配慮するとしている。

※2、ホームヘルパー1級研修については、平成24年度に介護職員基礎研修と一本化される予定であるが、その介護職員基礎研修も実務者研修の施行に合わせて、介護職員基礎研修を実務者研修に一本化される予定である。


事業者に対しては利用者に対する質の高いサービスの提供と介護人材の確保という二つの目的を両立させていく観点から、介護職員に占める介護福祉士の割合の目安を示すとしており、それは当面5割以上であるとしている。さらに介護福祉士については、資格取得後一定の実務経験を経て、幅広い知識・技術を身に付け、質の高い介護を行い、他の現場職員を指導できるレベルに達した介護福祉士を職能団体が認定する「認定介護福祉士(仮称)」を新たに創設するとしている。そのイメージ図は以下の通りである。

今後のキャリアパスイメージ図

こうした状況であるにも関わらず、介護報酬のアップがないということは事業者にとって人員確保の面から言えば大変厳しいだけではなく、介護福祉士の有資格者からしてみても、資格取得のハードルは上がり、それが唯一の介護の基礎資格になるにも関わらず、それに対する給与財源を国が事業者に渡していないという意味で、今後の介護福祉士という資格はハードルは高いが、報酬評価は低い資格という意味になってしまう。このことに気づいている介護福祉士は何人いるだろう。日本介護福祉士会もこの「隠された意味」に気がついていない節がある。

ところで、実務経験者が介護福祉士国家試験を受けるために受講しなければならない「実務者研修」は450時間とされており(下のイメージ図参照)、働きながらこの研修を受講できるようにするため、通信教育の活用、身近な地域で研修を受講できるための環境整備、過去に受講した研修(ホームヘルパー2級等)を読み替える仕組み、受講費用の支援等が検討されているものの、現在の介護福祉士国家試験が実務3年のみで受講できることと比べると、かなり時間と費用がかかることになり、その負担感は大きいだろう。これでスキルが確保できればよいが、ハードルの高さが逆に人材確保の足かせにならないかが一番懸念される点である。

実務研修のイメージ

なお介護福祉士の資格取得方法の見直しは、一連の介護保険制度等の改正法案で可決されたように、平成24年4月からの実施が、3年延期され平成27年(2015年)4月からの実施になったが、改正後は以下のイメージ図のように、国家試験を受けずに資格取得する途はなくなる。またカリキュラムの見直しにより、ここに医師の指示の下にたんの吸引等を行うことを業とすることが可能になるための基本研修(50時間)とシュミレーター研修が入ってくることになる。つまり介護福祉士が「業」として喀痰吸引をできるようになると言っても、それはこの研修を養成課程で受講した2015年以降の介護福祉士資格取得者に限ったもので、それ以前の介護福祉士資格取得者は、基本研修とシュミレーター研修を受けた上で、医療機関等で実地研修を行い「認定特定行為業務従事者」と認定される必要があるということになる。ここを勘違いしないでほしい。

介護福祉士資格取得の方法

ところでこうした改正により、2015年以降は、介護福祉士養成校卒業者であっても「国家試験合格の介護福祉士」と「国家試験免除の介護福祉士」とに分かれることになる。その時、現場で実務に携わっている現在の試験を受けていない介護福祉士は、国家試験に合格した介護福祉士と差別化されかねない。そうならないためにも、国家試験を受けていない介護福祉士は、より一層の現場でのスキルアップが求めされてくるだろう。

また現在の実務経験による受験資格を持っている人は、何としてでも26年度までの現行法による資格取得ができるうちに試験に合格したいと考えるだろう。それ以降になれば、過去の研修受講により一部受講免除されるとはいっても、実務研修を新たに受講しなければ介護福祉士国家試験を受験できなくなるのだから、その時点であらたに研修を受ける負担を受け入れるモチベーションを持てるのかどうか、かなり厳しい選択になる。

ところでヘルパー2級養成講座が廃止されるからと言って、ヘルパー2級という資格自体を廃止するわけではないので、現行のヘルパー2級取得者が即、訪問介護等の業務ができなくなるわけではないことも付記しておく。ここは勘違いしないでほしい。

ただしヘルパー3級の資格による介護給付費の算定ができなくなった経緯を振り返ると、一定期間を経た後は、ヘルパー2級による訪問介護等のサービス提供は「減額請求」とされた後に、報酬算定できないというルールになっていき、やがてその資格は意味のないものとなるような誘導政策が行わることは容易に想像できる。

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