道内の某町の民生員協議会と名乗る人から電話をいただいた。施設見学依頼である。

僕の施設は登別駅から登別温泉に向かう途中をクッタラ湖方向に右折して車で1分の所に位置しているので、各種団体が「視察」と称して施設内をぐるっと一回りして、温泉旅館に直行するケースが多い。いわば公費を使った観光旅行のだしにされるわけである。

僕が施設長に就任する以前はこうした依頼もすべて受けていた。その際は僕等のソーシャルワーカーが案内役になることが半ば慣例化していた。しかしぞろぞろ金魚のフンのように長い行列を作って数分間で施設を回って、おざなりの質問を受けたからと言って双方に得るものはなにもない。正直こうした団体の施設見学の案内ほど「時間の無駄」と感じる業務はなかった。

それに利用者からすれば、この大名行列だか、金魚のフンだかわからない団体は目障りだと思う。誰が自分の自宅に知らない人間がやってきて、行列をつくって、じろじろ家の中を見られることを喜ぶというのか?

だから僕が施設長に就任した後は、大人数の見学依頼はお断りしている。しかし公費補助金で建設され、介護給付費という公費で運営されている施設としての公益性・社会的責任と義務ということを考えると、外部の見学者を全て排除することがあってはならない。よって本当に勉強のために見学に来る人までも拒むことにはならない。

だから最低限、見学目的と何を学びたいかという質問をして、なおかつ利用者の目ざわりにならないようにせめて5人以下の小グループ訪問をお願いしているところだ。

今回の見学依頼は、このいずれの条件にも合わなかったためお断りした。しかし僕の施設がお断りしただけでは、他の施設に同じような迷惑がかかるだろうと思った。それは余計なお世話かもしれないが、そもそも僕は余計なお世話をついついやっちゃう人間なのである。

僕<「あのですね。民生委員という地域で大事な役割を持っておられる方々の集まりなんですから、10人も20人もの集団で、施設を見学するということの意味や、その是非を一度話し合われた方がよいのではないですか?」
相手「はあ・・・。」
僕「施設に住まわれているのは、普通の地域住民の方々なんですよ。皆さんが逆の立場になった時に、自分の自宅である場所に、見知らぬ人がたくさんやってきて、ぞろぞろと行列しながら、無遠慮に眺めまわして歩いていたら、気分が悪くありませんか?」
相手「そうですね・・。」
僕「介護施設は動物園じゃないんですよ。見学されるのが当たり前の場所じゃないってことです。」
相手「その通りですね。分かってはいるんですが・・。」
僕「ついでに施設見学をしておけば民生委員協議会の旅行として認められるなんていう風潮を貴方がたからやめたらどうですか。一度委員全員でこの問題を話し合って下さい。」
相手「分かりました。」
僕「生意気なことを言って申し訳ありませんが、こういうことを考えながら、私や貴方が暮らしたい施設を作りたいと思う一心ですので、悪く思わないでください。」
相手「分かりました。失礼します。」

・・・・だいたいこのような会話である。ただ都合が悪いからと断るだけでよいのに、余計なことを付け加えてから嫌われるんだよな。それはわかっちゃいるが、変えないとならないものは変えなくちゃいかんのである。

この民生員協議会、それでもどこか別の見学先を探すんだろうなあ〜。

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