昨日、介護保険部会と介護給付費分科会がダブル開催された。その冒頭で、厚生労働省側は一部報道で「高所得者の利用者負担率を2割にする」とされたことに対し、このような内部情報をリークするのは守秘義務に反するとして各委員に釘を指す発言を行ったそうである。
厚労省も自らリークして、観測気球を上げることがあったのに、他人がリークすることは許せないらしい。狐と狸のばかし合いである。
昨日の議論については、あれだけ馬鹿にされていたケアマネに対して、擁護発言が多かったようである。池田省三も自分が皆から嫌われているのをやっと自覚したらしい。しかし嫌われている理由を彼自身は「真剣に議論する為に苦言を呈してきたので非常に嫌われた」と述べているようだが、その理由は他にある。現場の人々の意見にまったく耳を傾けずに、現場のケアマネなどに対する言われのない批判を繰り返していると感じている人々がたくさん存在することを知るべきだ。
池田さん、まだまだ自覚が足りないぞ。
提案された各種サービスの改正案についてなどはshanさんのブログに詳しいのでそちらを参照願いたい。
ところで、本年6月に国会で可決された介護保険法等の関係法案には盛り込まれなかったものの、そのほかに改正すべきと議論された主な項目をざっと挙げるとすれば
1.高所得者のみ利用者負担1割負担を引き上げる
2.すべての利用者負担割合を1割から引き上げる
3.ケアプラン作成に対する利用者負担を導入する
4.所得だけでなく、世帯の資産まで勘案して補足給付の要否を決定する仕組みを導入する
5.補足給付をなくし、低所得者対応は公費負担のみにする
6.特別養護老人ホームなどの多床室の入居者から室料を徴収する
7.軽度者の利用者負担を増やし、給付を縮小する
8.第2号保険料の算定方式を、給与水準に応じて決める「総報酬割」に変更する(現行は総人数割)
9.被保険者の範囲を40歳未満に拡大する
10.公費負担拡大(調整交付金の外枠化、地域支援事業の公費負担化を含めた拡大議論)
11.通所サービスにおける「お泊りデイ」の保険給付化
以上が挙げられる。しかしこれらすべてが来年の改正保険制度下で完全に見送られたとは言えない。
介護保険法では「厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定居宅サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に指定居宅サービスに要した費用の額とする。)の百分の九十に相当する額を保険給付額とする。」ことが定められているので、自己負担率の引き上げについては介護保険法の改正が必要になる。
だから1もしくは2を実現しようとすれば国会での法案審議・可決が不可欠だ。しかし例えば6の場合は、居住費は自己負担であると06年改正法で既に定められているため、多床室にも室料が発生するというふうに省令を改正して定めればよいだけで、法律改正の必要はない。
法律の改正が伴うものについても、通常国会で来年3月までに法案を通せば4月から実現できるし、省令改正だけで済むものは、いつでも実現可能と言える。
ところでここにきて8の「総報酬割」が実現される可能性が出てきた。
介護給付費の財源の30%を占める2号保険料の算定方式は、現在は「総人数割」であり、これを「総報酬割」に変えるについては以下のような公費削減の意味がある。
現在の2号保険料負担額は、それぞれの健保組合に所属する加入者(被保険者+被扶養者)の数によって決まっている。よって加入者数だけで組合が負担する介護保険料を決めるこのやり方では、収入が低い人が多く所属し、財政力が弱い組合は、苦しい運営を強いられることとなる。このため財政力の低い健保に対し国庫補助分が支出されている。
一方、組合の総報酬額の多寡に合わせて負担の額を変動させる総報酬割であれば、収入の多い人が多数所属する健保組合の負担額は増えるが、財政力が弱い組合は、それに見合った負担をすればよく、公費負担で援助する必要はなくなる。つまり総報酬割の1番のメリットは、国庫補助分の公費支出が必要なくなることで、例えば第2号保険料をすべて総報酬割とすれば、1000億円を超える国費が捻出できる計算になる。
一方、収入の多い人が多数所属するため、総報酬割によって負担が増す健康保険組合の加入者は、当然その分の自己負担額も上がるわけである。これがいわゆる高所側者の保険料アップと言われる所以である。平たく言えば総人数割から総報酬割への変更とは、国庫補助金の負担分を高所得者の収入によって肩代わりしてもらう方式と言える。
具体的に言えば、僕が加入している「くみあい健保」(旧政府管掌保険)などは中小企業の加入者が多いため補助金を受けて運営しており、ここは総報酬割によって保険料が下がり、補助金を受けなくてよくなるし、被保険者の負担も増えないが、共済組合や企業健保の場合は負担率が増えて被保険者の負担も増える。公務員や大企業の健康保険組合がこの対象になる。
この総報酬割は、昨年の議論の中で政権政党である民主党の支持基盤がサラリーマン層に多いことから、労働組合など支持基盤の負担増への反対意見が強かったこともあり、一旦は見送りの方針となった。しかしここにきて介護職員処遇改善交付金を公費支出することが難しいとして、「処遇改善加算(仮称)」として介護報酬内に取り込む案が有力になり、それにともなう財源として再び総報酬割に脚光が浴びせられ、変更の方向に向かっているわけである。
その背景には震災復興費用の捻出という命題と相まって、国民の新たな負担やむなしという国民意識を巧妙に利用しようという政権党の思惑が見えなくもない。
ただ、僕は改正には痛みを伴うものもあって当然であり、社会の財の再分配という社会保障費の意味を考えた時には、所得の高い人の負担を増やす「総報酬割」については実現すべきであるとかねてより主張してきたので、「総報酬割」には反対ではない。
ところで、さらなる財源確保の観点から、これも一旦は見送られた、高所得者のサービス利用時の負担率を1割から2割に引き上げるという案が示され、厚労省は来年の次期通常国会に関連法案を提出し、2012年度からの実施を目指すとしている。しかも高所得者という言葉に拒否反応が強かったことから、今回の引き上げ案では「一定以上所得者」というふうに文章を変えている。姑息なごまかしである。
利用者負担率が未来永劫1割でよいとは思わないし、医療保険のそれは2割〜3割に引き上げられていることを鑑みれば、介護保険の負担割合も引き上げられる時期が来るだろう。
今回国が示した方針の意図としては、来年の改正で、一定以上所得者という線引きをした上で負担割合を引き上げ、これを橋頭保にして次の報酬改定(2015年4月〜)では2割負担の範囲を全利用者に広げようとする意図が見え見えではあるが、これも情勢を考慮すれば頭から反対できる問題ではない。
ただここでいう「一定以上所得者」の範囲とは、第6段階の人で基準所得320万円(年金のみの収入の場合は200万円)以上という意味であるから注意が必要だ。この収入区分を「高所得者」と呼ぶことができないということで、文章を変えたのであるが、そうした収入レベルの人々を一律2割負担として良いのか、そもそもこの所得の線引きが、この金額でよいのかということはもっと国民議論とする必要があるのではないかと思う。
どちらにしてもこれらは法律改正が必要な部分で、与野党合意の上で通常国会で法案が通ることが前提である。当然反発と紆余曲折が予測され、不透明部分は解消されていない。
ところで今後は、6の特別養護老人ホームなどの多床室の入居者から室料を徴収する方針も示される可能性が高。これは前述したように法案審議の必要はないので、あれよあれよと知らぬ間に既成事実が作られてしまう恐れがある。今後注視して行かねばならない問題である。
ただし、これらはすべて24時間巡回サービス等の新たなサービスの財源として考えられるもので、これによって既存サービスの介護報酬が引き上げられるわけではないことにも注意が必要である。
そういう意味では、学者が創り上げた空論サービスのために、我々の既存サービスが多大な被害をこうむる状況が生まれようとしていると言えないわけでもなく、国民がその負担を肩代わりさせられるとも言えなくもない。そうであるがゆえに、もし24時間巡回サービス等が失敗に終われば、このサービスを創り上げた、厚生労働省、介護給付費分科会、三菱UFJ総研の三位一体総責任が求められる。
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厚労省も自らリークして、観測気球を上げることがあったのに、他人がリークすることは許せないらしい。狐と狸のばかし合いである。
昨日の議論については、あれだけ馬鹿にされていたケアマネに対して、擁護発言が多かったようである。池田省三も自分が皆から嫌われているのをやっと自覚したらしい。しかし嫌われている理由を彼自身は「真剣に議論する為に苦言を呈してきたので非常に嫌われた」と述べているようだが、その理由は他にある。現場の人々の意見にまったく耳を傾けずに、現場のケアマネなどに対する言われのない批判を繰り返していると感じている人々がたくさん存在することを知るべきだ。
池田さん、まだまだ自覚が足りないぞ。
提案された各種サービスの改正案についてなどはshanさんのブログに詳しいのでそちらを参照願いたい。
ところで、本年6月に国会で可決された介護保険法等の関係法案には盛り込まれなかったものの、そのほかに改正すべきと議論された主な項目をざっと挙げるとすれば
1.高所得者のみ利用者負担1割負担を引き上げる
2.すべての利用者負担割合を1割から引き上げる
3.ケアプラン作成に対する利用者負担を導入する
4.所得だけでなく、世帯の資産まで勘案して補足給付の要否を決定する仕組みを導入する
5.補足給付をなくし、低所得者対応は公費負担のみにする
6.特別養護老人ホームなどの多床室の入居者から室料を徴収する
7.軽度者の利用者負担を増やし、給付を縮小する
8.第2号保険料の算定方式を、給与水準に応じて決める「総報酬割」に変更する(現行は総人数割)
9.被保険者の範囲を40歳未満に拡大する
10.公費負担拡大(調整交付金の外枠化、地域支援事業の公費負担化を含めた拡大議論)
11.通所サービスにおける「お泊りデイ」の保険給付化
以上が挙げられる。しかしこれらすべてが来年の改正保険制度下で完全に見送られたとは言えない。
介護保険法では「厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該指定居宅サービスに要した費用の額を超えるときは、当該現に指定居宅サービスに要した費用の額とする。)の百分の九十に相当する額を保険給付額とする。」ことが定められているので、自己負担率の引き上げについては介護保険法の改正が必要になる。
だから1もしくは2を実現しようとすれば国会での法案審議・可決が不可欠だ。しかし例えば6の場合は、居住費は自己負担であると06年改正法で既に定められているため、多床室にも室料が発生するというふうに省令を改正して定めればよいだけで、法律改正の必要はない。
法律の改正が伴うものについても、通常国会で来年3月までに法案を通せば4月から実現できるし、省令改正だけで済むものは、いつでも実現可能と言える。
ところでここにきて8の「総報酬割」が実現される可能性が出てきた。
介護給付費の財源の30%を占める2号保険料の算定方式は、現在は「総人数割」であり、これを「総報酬割」に変えるについては以下のような公費削減の意味がある。
現在の2号保険料負担額は、それぞれの健保組合に所属する加入者(被保険者+被扶養者)の数によって決まっている。よって加入者数だけで組合が負担する介護保険料を決めるこのやり方では、収入が低い人が多く所属し、財政力が弱い組合は、苦しい運営を強いられることとなる。このため財政力の低い健保に対し国庫補助分が支出されている。
一方、組合の総報酬額の多寡に合わせて負担の額を変動させる総報酬割であれば、収入の多い人が多数所属する健保組合の負担額は増えるが、財政力が弱い組合は、それに見合った負担をすればよく、公費負担で援助する必要はなくなる。つまり総報酬割の1番のメリットは、国庫補助分の公費支出が必要なくなることで、例えば第2号保険料をすべて総報酬割とすれば、1000億円を超える国費が捻出できる計算になる。
一方、収入の多い人が多数所属するため、総報酬割によって負担が増す健康保険組合の加入者は、当然その分の自己負担額も上がるわけである。これがいわゆる高所側者の保険料アップと言われる所以である。平たく言えば総人数割から総報酬割への変更とは、国庫補助金の負担分を高所得者の収入によって肩代わりしてもらう方式と言える。
具体的に言えば、僕が加入している「くみあい健保」(旧政府管掌保険)などは中小企業の加入者が多いため補助金を受けて運営しており、ここは総報酬割によって保険料が下がり、補助金を受けなくてよくなるし、被保険者の負担も増えないが、共済組合や企業健保の場合は負担率が増えて被保険者の負担も増える。公務員や大企業の健康保険組合がこの対象になる。
この総報酬割は、昨年の議論の中で政権政党である民主党の支持基盤がサラリーマン層に多いことから、労働組合など支持基盤の負担増への反対意見が強かったこともあり、一旦は見送りの方針となった。しかしここにきて介護職員処遇改善交付金を公費支出することが難しいとして、「処遇改善加算(仮称)」として介護報酬内に取り込む案が有力になり、それにともなう財源として再び総報酬割に脚光が浴びせられ、変更の方向に向かっているわけである。
その背景には震災復興費用の捻出という命題と相まって、国民の新たな負担やむなしという国民意識を巧妙に利用しようという政権党の思惑が見えなくもない。
ただ、僕は改正には痛みを伴うものもあって当然であり、社会の財の再分配という社会保障費の意味を考えた時には、所得の高い人の負担を増やす「総報酬割」については実現すべきであるとかねてより主張してきたので、「総報酬割」には反対ではない。
ところで、さらなる財源確保の観点から、これも一旦は見送られた、高所得者のサービス利用時の負担率を1割から2割に引き上げるという案が示され、厚労省は来年の次期通常国会に関連法案を提出し、2012年度からの実施を目指すとしている。しかも高所得者という言葉に拒否反応が強かったことから、今回の引き上げ案では「一定以上所得者」というふうに文章を変えている。姑息なごまかしである。
利用者負担率が未来永劫1割でよいとは思わないし、医療保険のそれは2割〜3割に引き上げられていることを鑑みれば、介護保険の負担割合も引き上げられる時期が来るだろう。
今回国が示した方針の意図としては、来年の改正で、一定以上所得者という線引きをした上で負担割合を引き上げ、これを橋頭保にして次の報酬改定(2015年4月〜)では2割負担の範囲を全利用者に広げようとする意図が見え見えではあるが、これも情勢を考慮すれば頭から反対できる問題ではない。
ただここでいう「一定以上所得者」の範囲とは、第6段階の人で基準所得320万円(年金のみの収入の場合は200万円)以上という意味であるから注意が必要だ。この収入区分を「高所得者」と呼ぶことができないということで、文章を変えたのであるが、そうした収入レベルの人々を一律2割負担として良いのか、そもそもこの所得の線引きが、この金額でよいのかということはもっと国民議論とする必要があるのではないかと思う。
どちらにしてもこれらは法律改正が必要な部分で、与野党合意の上で通常国会で法案が通ることが前提である。当然反発と紆余曲折が予測され、不透明部分は解消されていない。
ところで今後は、6の特別養護老人ホームなどの多床室の入居者から室料を徴収する方針も示される可能性が高。これは前述したように法案審議の必要はないので、あれよあれよと知らぬ間に既成事実が作られてしまう恐れがある。今後注視して行かねばならない問題である。
ただし、これらはすべて24時間巡回サービス等の新たなサービスの財源として考えられるもので、これによって既存サービスの介護報酬が引き上げられるわけではないことにも注意が必要である。
そういう意味では、学者が創り上げた空論サービスのために、我々の既存サービスが多大な被害をこうむる状況が生まれようとしていると言えないわけでもなく、国民がその負担を肩代わりさせられるとも言えなくもない。そうであるがゆえに、もし24時間巡回サービス等が失敗に終われば、このサービスを創り上げた、厚生労働省、介護給付費分科会、三菱UFJ総研の三位一体総責任が求められる。
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介護・福祉情報掲示板(表板)


感動の完結編。

介護保険の国庫負担金の算定等に関する政令
(平成十年十二月二十四日政令第四百十三号)
最終改正:平成二一年一月二八日政令第一〇号
(平成二十一年度から平成二十三年度までの第二号被保険者負担率)
第五条 平成二十一年度から平成二十三年度までの法第百二十五条第二項 に規定する第二号 被保険者負担率は、百分の三十とする。
30%だと思うのですが、39%とは何か意図があって示された数字ですか。
第5期では第二号被保険者負担率は65歳以上人口の割合が増えることから、数%下がることになりますね。