厚生労働省が発表した2011年度介護経営実態調査の結果によると、介護保険サービスのうち19サービスが黒字を確保しているが、唯一「居宅介護支援」のみが赤字である。
それを受けて居宅介護支援事業所の関係者などは、早速「居宅介護支援費」の引き上げを求める声を上げている。さらに関係者の中には、標準担当利用者数の削減(現在の標準35人をもっと少なくしてほしいという意味)を求める声も聞こえる。
はっきり言う。
現状認識が甘すぎるって。国は赤字だから居宅介護支援費を上げようなんて考えていないし、標準件数を引き下げるなら、それは赤字をさらに増幅させるだけで、そのことは居宅介護支援事業者の自己責任であると考えている。むしろ2008年の報酬改定時に創設した各種加算について、算定率の低い加算は「いらないんでしょ。」というふうに捉え、すべて廃止しようとさえしている。居宅介護支援事業所の経営状態を改善させるために報酬を引き上げようなんてこれっぽっちも考えていない。
そして制度改正の向かう方向をみると、介護支援専門員を必要としない制度へと着々と布石を打っている。このことを分かっているのか?
新しく創設される「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」においては、このサービスを利用するというアセスメントまでは現行通り居宅介護支援事業所の介護支援専門員が行うことになるが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を居宅サービス計画に位置付けた途端、そのサービスが提供される日時については、居宅介護支援事業所の介護支援専門員と、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者(仮称)が共同マネジメントを行って、共同で計画を作成することになっている。しかもそれは他のサービスを含め総合的に決定するとされており、この部分も共同作成が求められている。
さらに定期巡回・随時対応型訪問介護看護の訪問日時等は定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が決定することとしており、この部分に居宅介護支援事業所の介護支援専門員の権限は及ばない。その他のサービス利用は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の使わない日や時間に提供されるものなので、この利用日や利用時間をサービス提供事業所が決めるとうことは実質的に居宅介護支援事業所は、新サービス事業所の計画作成責任者の指揮命令下に入るという意味だ。
つまり「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用する人の居宅サービス計画は、事実上、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者(仮称)がイニシアティブをとって決定する仕組みになっており、この際の介護支援専門員の役割は、単なる「給付管理人」でしかない。
権限と役割の大幅縮小が、新サービスにおけるマネジメントルールで実現しているのである。これが今後広がらないわけがない。つまり居宅介護支援というサービスは廃止又は縮小(給付管理業務に特化するなど)の方向で、今後の様々なサービスが設計されていく可能性が高いのである。おそらく次期報酬改定では、ケアマネジメントを必要としないサービス利用という形が何らかの形で実現される可能性が高い。
このような状況で居宅介護支援費が上がると思えるだろうか。
しかも既存の訪問介護の新ルールをみると、さらなる恐ろしいケアマネ外しが実現されようとしている。
訪問介護費の新しい加算(案)では、自立支援型のサービス機能強化への加算として
1.サービス提供責任者と作業療法士等(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が3月に1回以上、利用者宅に同行訪問し、生活機能向上の視点からのアセスメント・モニタリングを共同して行っていること。
2.1の結果を基にサービス提供責任者が訪問介護計画を作成していること。
以上によって加算算定できるルールを創ろうとしている。
訪問介護計画は、居宅サービス計画が立てられている場合には、それに沿った内容で計画しなければならないというルールがあり、居宅介護支援事業所の介護支援専門員を中心にしたサービス提供となっているのに、自立支援型のサービス機能強化加算に関しては、ケアマネはまったく関わることができず、蚊帳の外に置かれ、セラピストがマネジメントし、それに対して報酬評価されるのだ。
訪問介護計画の大もとになっているはずの居宅サービス計画は、この部分に対してはまったく関わりを持てず、逆にセラピストの評価内容をそのまま受け入れその内容を居宅サービス計画に後付けで組み入れることも求めされるかもしれない。ケアマネの主導性や、自立支援マネジメントはまったく無視されているのである。
さらに、ショートスティでは「緊急利用受け入れを評価する」として居宅サービス計画に位置付けられていない緊急の利用者を受け入れた場合の加算を創設するとしている。ここもケアマネは蚊帳の外に置かれるのである。
このように国は、ケアマネ資格が必要のない制度にしようとしているんだぞ。そんな中で標準件数を削減して、単価を上げろっていう要望が通るとでも思っているのか?その前にケアマネの役割を削っていくルールはおかしいと声を上げるべきだ。こうした危機感を持っているのか?
多くのケアマネが制度改正議論の傍観者になってしまっているから、こういう状態になるのだ。傍観者ではなくとも日本介護支援専門員協会などという、国からの補助金で存続している紐つき団体によりかかっているから国に対して圧力をかけられず、逆に国から圧力をかけられ続けるのだ。
本当に介護支援専門員の役割を守りたいなら、協会加入者は即刻退会し、別の力を結集するほうがまだましだろう。
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介護・福祉情報掲示板(表板)
それを受けて居宅介護支援事業所の関係者などは、早速「居宅介護支援費」の引き上げを求める声を上げている。さらに関係者の中には、標準担当利用者数の削減(現在の標準35人をもっと少なくしてほしいという意味)を求める声も聞こえる。
はっきり言う。
現状認識が甘すぎるって。国は赤字だから居宅介護支援費を上げようなんて考えていないし、標準件数を引き下げるなら、それは赤字をさらに増幅させるだけで、そのことは居宅介護支援事業者の自己責任であると考えている。むしろ2008年の報酬改定時に創設した各種加算について、算定率の低い加算は「いらないんでしょ。」というふうに捉え、すべて廃止しようとさえしている。居宅介護支援事業所の経営状態を改善させるために報酬を引き上げようなんてこれっぽっちも考えていない。
そして制度改正の向かう方向をみると、介護支援専門員を必要としない制度へと着々と布石を打っている。このことを分かっているのか?
新しく創設される「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」においては、このサービスを利用するというアセスメントまでは現行通り居宅介護支援事業所の介護支援専門員が行うことになるが、「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を居宅サービス計画に位置付けた途端、そのサービスが提供される日時については、居宅介護支援事業所の介護支援専門員と、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者(仮称)が共同マネジメントを行って、共同で計画を作成することになっている。しかもそれは他のサービスを含め総合的に決定するとされており、この部分も共同作成が求められている。
さらに定期巡回・随時対応型訪問介護看護の訪問日時等は定期巡回・随時対応型訪問介護看護事業所が決定することとしており、この部分に居宅介護支援事業所の介護支援専門員の権限は及ばない。その他のサービス利用は、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の使わない日や時間に提供されるものなので、この利用日や利用時間をサービス提供事業所が決めるとうことは実質的に居宅介護支援事業所は、新サービス事業所の計画作成責任者の指揮命令下に入るという意味だ。
つまり「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」を利用する人の居宅サービス計画は、事実上、定期巡回・随時対応型訪問介護看護の計画作成責任者(仮称)がイニシアティブをとって決定する仕組みになっており、この際の介護支援専門員の役割は、単なる「給付管理人」でしかない。
権限と役割の大幅縮小が、新サービスにおけるマネジメントルールで実現しているのである。これが今後広がらないわけがない。つまり居宅介護支援というサービスは廃止又は縮小(給付管理業務に特化するなど)の方向で、今後の様々なサービスが設計されていく可能性が高いのである。おそらく次期報酬改定では、ケアマネジメントを必要としないサービス利用という形が何らかの形で実現される可能性が高い。
このような状況で居宅介護支援費が上がると思えるだろうか。
しかも既存の訪問介護の新ルールをみると、さらなる恐ろしいケアマネ外しが実現されようとしている。
訪問介護費の新しい加算(案)では、自立支援型のサービス機能強化への加算として
1.サービス提供責任者と作業療法士等(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が3月に1回以上、利用者宅に同行訪問し、生活機能向上の視点からのアセスメント・モニタリングを共同して行っていること。
2.1の結果を基にサービス提供責任者が訪問介護計画を作成していること。
以上によって加算算定できるルールを創ろうとしている。
訪問介護計画は、居宅サービス計画が立てられている場合には、それに沿った内容で計画しなければならないというルールがあり、居宅介護支援事業所の介護支援専門員を中心にしたサービス提供となっているのに、自立支援型のサービス機能強化加算に関しては、ケアマネはまったく関わることができず、蚊帳の外に置かれ、セラピストがマネジメントし、それに対して報酬評価されるのだ。
訪問介護計画の大もとになっているはずの居宅サービス計画は、この部分に対してはまったく関わりを持てず、逆にセラピストの評価内容をそのまま受け入れその内容を居宅サービス計画に後付けで組み入れることも求めされるかもしれない。ケアマネの主導性や、自立支援マネジメントはまったく無視されているのである。
さらに、ショートスティでは「緊急利用受け入れを評価する」として居宅サービス計画に位置付けられていない緊急の利用者を受け入れた場合の加算を創設するとしている。ここもケアマネは蚊帳の外に置かれるのである。
このように国は、ケアマネ資格が必要のない制度にしようとしているんだぞ。そんな中で標準件数を削減して、単価を上げろっていう要望が通るとでも思っているのか?その前にケアマネの役割を削っていくルールはおかしいと声を上げるべきだ。こうした危機感を持っているのか?
多くのケアマネが制度改正議論の傍観者になってしまっているから、こういう状態になるのだ。傍観者ではなくとも日本介護支援専門員協会などという、国からの補助金で存続している紐つき団体によりかかっているから国に対して圧力をかけられず、逆に国から圧力をかけられ続けるのだ。
本当に介護支援専門員の役割を守りたいなら、協会加入者は即刻退会し、別の力を結集するほうがまだましだろう。
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介護・福祉情報掲示板(表板)
ところが、その代弁機能を果たせていない、と、社会保障審議会では議論されている。
ケアマネジャーが代弁機能を果たしているのなら、それ自身が国民の声の集合体である。それを無視するというのは、民主的ではない。と思う。
審議会メンバー自身が、『自分こそは国民の代弁者』と、思っているからである。一人、二人の声の大きい人間が代弁者ぶって高らかに話すのは、ファシストである。
国の政策どおり、金が無いから給付抑制していくってのが出来なかったのを、『聞き方が悪い』と、逆切れしているのですな。さもしい。
現在のケアマネジャーを批判するならば、その集合体よりも多い数の国民の声を聞いて、戦わせねばならない。
そして、やつらの武器は、『だから、保険料も上がるよ。国民の皆さん、お金払うのいやでしょう?反対してね。』ってやり口。社会保障を語る口は腐っている。国の有り方をも、壊すようなやり口である。
それをしないからファシストなのである。権威っていうけど、聞いたこと無い大学だし・・・。