昨日(10/18)午後14:00から当地域における道(胆振総合振興局が担当)の集団指導が行われた。

当初9月に行われる予定が、台風の影響で一度延期されこの時期の実施になったものである。集団指導といっても、昨日の記事で情報提供した静岡騒動のようなおかしな指導はなく、ごく当たり前の説明に終始した感がある。

むしろ壇上で指導担当者があえて語らなくても、当日の資料とされた「介護保険施設等指導監査要綱」を読めば済む問題で、わざわざこの内容を読みあげることに何の意味があるのかと首を傾げることの方が多かった。集団指導を時間の無駄と感じた関係者も多かったろう。

しかも滑稽なことに指導担当者の一人が、社会保険研究所から出されている「介護報酬の解釈」(いわゆる赤本と青本)について「本を買って、お飾りにしないできちんと読みましょう」と壇上で呼びかけていた。おいおいそんな本の宣伝を集団指導の場で、公務員が行って良いのかよ。そもそもあの本は単に基準省令や解釈通知をまとめたものだろう。確かにそれを分かりやすく示してはいるが、行政担当者が集団指導の場で言うべきことは、基準省令や解釈通知などの基本通知を読む癖をつけましょうということであって、それに加えて特定の解説本があるから参考にするのもよいと言うならともかく、法令に全く触れずに特定の本を宣伝するだけに終わるのはまったく情けない。これが道の担当者の実態である。

また別の担当者からケアプランについての指導事項があったが、この中で「長期目標と短期目標の期間が同じになることはあり得ない。」という話があった。

たしかに短期目標と長期目標は始期が同じ場合は終期が異なるし、終期が同じ場合は始期が異なることになるが、同日の指導内容を全般的に聞いていると、どうやら短期目標期間の終期と長期目標期間の終期が同じであることも否定した指導内容に聞こえた。

このことは「長・短期目標の期間について(1)(2)」で指摘したように間違った指導である。(2回に分かれている記事なので数字をクリックして両方をお読みください。)

よって集団指導終了後、即担当者に電話して「その考えは間違っている」と伝えた上で、根拠となる法令を示し上記で紹介した記事をメールで送った。その結果本日朝に参考にするという返信が届いた。今後このような間違った指導はなくなると思える。

またケアプランの指導に関連しては、長寿社会開発センターから出されている「四訂居宅サービス計画書作成の手引」を取り上げていたので、あれは単なるテキストで「こうしなければならない」ということはないし、法的根拠にはなり得ないことを指摘し、同時にあれがいかに悪書であるかということもメールで指摘させてもらった。

今回の指導で一番の問題点と感じた部分は、身体拘束廃止の取り組みに関連して、身体拘束である行為の具体例として、Y字ベルトや、車椅子座乗時に立ちあがれないように車椅子テーブルを設置するケースと同列に、「センサーマット」を挙げ、その理由として「コールで呼んでもいないのに、頻回に職員が駆けつけることをわずらわしいと訴える利用者の気持ちを考えること」とし、さらに「施設によってはセンサーを使わないで対応しているところもあるが、それは何が違うのでしょうか」と会場に問いかけていた点である。

この考え方はおかしい。センサーマットまで否定してしまえば、夜間転倒を防ぐことができない利用者がたくさん出てくる。そもそもセンサーマットは、コールを押せない(あるいは押さない)利用者の行動制限をしないために利用するツールである。夜間見守りの目が届かない時間帯なら特に必要となる人もいるだろう。

「施設によってはセンサーを使わないで対応しているところもあるが、それは何が違うのでしょうか」といわれるなら、それは施設の介護力ではなく、利用者属性の問題である。当施設も介護力は他の施設に比べてさほど低いとは思わないが、夜間はセンサーマットを使わざるを得ない利用者は複数存在する。そもそも「コールで呼んでもいないのに、頻回に職員が駆けつけることをわずらわしいと訴える利用者の気持ちを考えること」というが、それならセンサーマットを使用しないために、頻回に見回りをして状態を確認することはどうなんだ?同じではないかというより、そっちの方が行動をとっていない時でさえドアを開けて人が見守りのために入ってくるんだから、もっと煩わしいだろう。まったく暮らしの現場を知らない人間の指導とは、あまりに浮世離れしている。

このことについても昨日、電話で「そんな指導はおかしい」と抗議しておいた。「いえ一律センサーマットを駄目だとした意味ではありません」とのことであったが、じゃあどういう意味だよ。

この集団指導を聴講していた人間の幾人かは、施設に帰って「センサーマット」も身体拘束だから駄目だと言われたと復命しているだろう。まったく迷惑な話である。

普通の施設だったらセンサーマットは安易に使わず、きちんとアセスメントした結果、どうしても事故を防ぐ手だてとして必要であるということで使っているはずだ。現場はそれほど信用されていないということなんだろうが、運営指導とは何かということを深く考えざるを得ない問題と感じた。

道の指導担当者だからと言って、すべて正しい事を言っているわけではないということがあらためて理解できた方も多いだろう。法令解釈にも首を傾げる部分はあるが、それが静岡のようなおかしな指導に結びついていないだけまだましか・・・。

ケアプラン作成に関わる理解度は、所詮実務を経験したことがない机上の理解レベルで、我々実務を通して人の暮らしを支援してきた者に対し、ケアプラン作成作業を指導できるレベルではない。まあボランティア精神で聞いてやっておこうという程度である。

どちらにしても集団指導において壇上で示された考え方をすべて受け入れて、その通り対応しておれば指導対象にはならないかもしれないが、それだけで介護サービスの質が向上したり、保たれたりするものではないという理解が必要である。

一種のセレモニーと考えておけば良い程度のものである。

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