masaの講演予定と履歴」をご覧になると分かるように、僕の講演テーマは結構守備範囲が広くテーマは多彩である。

勿論現場サービスの実務に関するものがメインで、例えば「認知症高齢者のケア」「看取り介護」「介護支援者のスキルアップ」「ソーシャルワーカー(相談員)や介護職員の役割について」などが多いのだが、その中に「介護サービスの割れ窓理論」や「施設サービスで目指すべき自立支援の視点」という内容を入れてほしいと頼まれることもある。

またケアマネジメント関連として「法令に沿ったケアプラン作成の実務」なども依頼が多くなっている。特にケアプラン作成については、施設サービス計画に限らず、居宅サービス計画(居宅介護支援事業所のケアプラン)、ショートステイ計画、デイサービス計画と、各分野で全く違ったお話しをすることもできるので重宝されている。少なくとも長寿社会開発センターの「四訂居宅サービス計画書作成の手引」を唯一の教科書にして講義するような講師よりは、より実践的なケアプラン作成方法を示すことができるだろう。

その中で「自立支援とはどう考えるべきか」というテーマをいただいたり、あるいは病気や身体状況だけにとらわれないその人個人に着目したケアプランの視点を話してほしいと依頼されることも多い。これらは実際にケアプランを作って、それを使ってサービスに関わった者にしか分からない部分で、表面上の作成ルールを知っているだけの人では話すことができないテーマだろうと思う。

それらの期待にどれだけ応えることができているのかは疑問だが、アンケートなどを読むとそれなりの評価をいただいている。その理由は理想論や概念を話すのではなく、そんなものは排除して、できるだけ具体的な内容で、かつ実務に役立つ内容だからだと思う。例えば実際に使っているケアプランを提示させていただきながら計画とサービスの関連を紐解いてお話をしたりする。看取り介護期の「個別機能訓練計画」などを提示して内容を説明すると、ターミナル期の方の機能訓練があり得るということを理解していただきながら、その応用で特養やデイサービスで求められる「機能訓練計画」について、医学的・治療的リハビリテーションエクササイズではないという正しいイメージが創られていくだろう。

このような講演テーマは僕が指定するということではなく、主催者から与えてもらうことになるし、主催者が「受講者はこのような方々なので、これこれの内容を中心に話してほしい」と言われて、それに沿って新たなテーマを考えることも多い。よって毎年僕のカバーするテーマは広がり続けている。

ただしそれは自分の実践の範囲で、実践をベースにお話しできることに限られるので、それを超えたテーマは受けられない。だから「施設経営の視点」などというテーマはお断りしている。それはもっと経営手腕に長けた人に話してもらえばよい。業務省力化なども、僕の職場で十分できていないことなのでお断りする。財務経理関連も専門外なので(僕の施設では別に専門家がいる)断るテーマである。

できないことや理想論を話したって空論以外のなにものでもないからだ。

7/17には東京都内で特養の介護報酬算定に関する講演も頼まれている。これは一見僕の専門外ではないかという見方もあるだろうが、施設の管理者が報酬算定ルールを熟知していないなんてことはあり得ないので守備範囲と言えるテーマである。ここでは法令上の報酬算定ルールを分かりやすく解説し、証拠となる記録のあり方にも触れることになっている。自分の施設で日々実務として携わっているサービスの費用がテーマなので、特段頭を絞らなくとも法令上の落とし穴を埋めていくだけで一つの講演になるのである。ただ面白い講演ではないかもしれない・・・。

そんな中、昨年から今年にかけてはやはり「介護保険制度改正」に関するテーマでの講演依頼も多い。

これは18年改正の前後でも同じ状況であった。特段僕が制度改正を紐解く鋭い感性を持っているわけではないが、制度改正議論そのものを検証していることと、その結果を随時意見としてブログ記事にアップしていることが、僕にこのテーマでの講演を依頼する人が多い一つのり理由だろう。

それにもまして大きい理由は、北海道医療新聞社の介護新聞に「介護保険制度改正議論を斬る」という記事を連載しているからだろう。新聞に連載しているほどだから制度改正には詳しいと思われているようだ。
(※同紙には18年制度改正時にも、その直後から改正介護保険制度を検証する「現場の風〜新たな時代への対応」という25回に渡る連載記事を書いていた。)

確かに制度改正議論の流れは常時最新ニュースを把握しているが、ここで重要なのは、リアルタイムに議論の中身を検証することができるというのは、別に僕の頭脳が人よりすぐれているわけではなく、検証に必要な材料を与えてくれる仲間がたくさんいるからであるということだ。

北海道の片隅にいても、今現在国の機関で審議されている内容がリアルタイムに手に入るだけではなく、霞が関や永田町で耳打ちされる内緒話も場合によっては手に入れることができる。これは僕の大事な人脈のなせる業である。お金は使えばなくなるが、人の繋がりは、心を繋ぎ続けている限りなくならず、それは年月とともに強固に熟成されるものである。だから縁は大切だし、人とのつながりほど貴重なものはないということである。
(ただしそのニュースソースは決して明らかにでいないけどね。つまりこのブログや掲示板で表面に出ている人ではない人とのネットワークもあるということだ。)

いうなれば、このブログや表の掲示板は、そうした仲間達が支えてくれているとも言えるのである。僕一人の力なんてたかが知れている。

ところで制度改正に関する講演は、制度改正議論がされ法案提出されるまでの内容と、現在のように改正法案が国会を通過してしまったあとでは、当然お話しすることも少し変わってくる。

新しい制度はこうなりますよということは同じ内容であっても、法案提出前は、改正議論がどのように展開され、今現場の関係者がどのようにアクションを起こすべきか、ということが中心で、このままだと改正後の制度はこうなることによってこうしたメリット・デメリットがある、ということが中心であったが、法案が成立した現在では、そこで決まったことによって具体的に制度がどう運用されるのかを解説して、その中で、それぞれの関係者が何を考え、どう準備していくかが問題となるだろう。

そんななか、今週の金曜日7/8に、僕の実家がある(実家の主は、今病床に横たわっており、主のない実家であるが)岩見沢市で制度改正の講演を行う。主催者は「岩見沢市介護支援専門員連絡協議会」で、同会の定期研修とのことだ。場所は岩見沢広域総合福祉センターで、時間は午後6時15分から、テーマは「介護保険制度改正で何が変わるのか」とされている。

この時期、僕が呼ばれて「改正制度はこうなる」という話をすることに関してはそれなりの意味と期待を持たれていると思う。

なぜなら法案自体は成立しているので、新しい制度はこうなるという解説だけであれば、僕でなくとも全国課長会議等に参加している行政関係者であれば誰でもできるからだ。それらの人々と同じ話をしても意味がないし、空知支庁や岩見沢市役所の行政担当者を呼ばずに、僕が呼ばれる意味を考えて、その期待になるべく応えねばならない。行政マンとは違った角度からの情報提供が必要だ。つまり「新しい制度はこうなります」という説明だけでは意味がないと思うのである。

よって今回の講演では受講対象者が介護支援専門員であるということを最大限に意識し、ケアマネジャーがどのような議論の結果、改正制度の中でどのように位置づけられているのかということをきちんと明らかにせねばならないと思うし、同時に「こうなる」という新しいサービスやルールについて、こんな問題も抱えているという点を明らかにすることになるだろう。当然制度が変わる方向の向こう側には、将来のこの制度に向けての様々な布石がある。

06年の制度改正直後、僕は予防給付に導入された定額報酬について「次の改正では、訪問介護については機能別再編の名のもとに、現行の生活援助と身体介護という区分を全くなくした定額報酬制度が介護給付の訪問介護にも導入されるように議論されることは間違いないと思う。もしかしたら次回改正後は訪問介護の出来高払いはなくなるかもしれない。」と当時のブログ記事に書いており、定額報酬がその時の今回の改正に向けての「布石」ではないかと予想した。今回の改正では出来高払いの訪問介護は現行通り残されてはいるが、本改正のメインテーマである地域包括ケアの基本サービスとなる「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」は身体介護や生活援助の区分がない定額包括報酬であり、当時の予測は当たらずも遠からずと評価してよいと思う。

そういう意味から今回の改正に隠されている「布石」についても講演の中で僕の考えを紹介したいと思う。

そして今この時点で、このブログ記事や表の掲示板に書けないことについても「こっそり」と触れるかもしれない。まあそれについては状況判断が必要である。

どちらにしても岩見沢という土地は僕が青春時代を過ごした特別な思いれがある土地であり、そこで講演を行うということにも特別な感慨がある。その時代の同級生がケアマネになっているという話は聞いたことがないが、しかし福祉関係で働いている同級生はいるので、受講者にその連中がいると(良いところも悪いところも全部知っている連中なので)やりにくと思ったりする。しかしその確率は低いだろう。

実家があるといっても、現在住む人がいない家で電気も水道も止めているので、当日は実家に泊まれない。しかし事務局の計らいでホテルに泊まって、講演後はOFF会も行われることになった。岩見沢のケアマネジャーの皆さん、当日はよろしくお願いします。

なお当日は会場で僕の著作本「人を語らずして介護を語るな〜masaの介護福祉情報裏板」も購入できます。ケアマネジメントオンラインでは「今話題の1冊」として紹介されています。まだ読んでいない方は、是非購入していただきたく、こちらのほうもよろしくお願いします。

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