室蘭市といえばいわずとしれた「鉄の街」である。その街のシンボル企業の一つでもある某製鉄会社の城下町という感があるのが室蘭市輪西町である。その昔は繁華街として大いに栄えた街だというが、昨今では人口の減少と、高齢化が進行し、今では少しさびしい街並みになっている。

しかしこの街には、古くから製鉄会社で働く人々とその家族が大事にしてきた古い商店や飲食店がまだ数多く残っており、風情のある街並が残されている。

今日紹介するラーメン専門店は、その輪西町のメインストリートから少し離れた目立たない場所に、ひっそりと立つ店であるが、昔馴染みのファンから根強く指示され続けている地味な人気店である。
むろ市外観
場所は、鳩山前首相がよく行っていた「蘭たん亭」より一つ室蘭方向寄りの小路と言ったら地元の人には分かるだろうか?店名は「むろいち」と読む。

中に入ると店内は細長く、カウンター10席と奥にテーブルが一卓だけ置かれた座敷があり、店主とおぼしきおばちゃんと、手伝いのおばちゃん二人で切り盛りしている。(僕が行った時間によるのか、手伝いのおばちゃんはすぐいなくなり、店主のおばちゃんだけになった。)

メニューは至ってシンプルで、醤油ラーメンと塩ラーメンのふた味しかない。どちらも600円。それにしても北海道名物の味噌ラーメンも、室蘭名物のカレーラーメンも置いていないという所に、この店のある意味のポリシーを感じる。

このふた味のラーメンの大盛りが700円。おなじくメンマをトッピングしたメンマラーメンも700円。チャーシュー麺が800円である。このほかライスが小150円、大200円、あとは各種飲み物しかない。一見、街の大衆食堂という店構えであるが、中身は立派なラーメン専門店なのである。

僕は基本的に「塩ラーメン」を注文することはほとんどないが、この店だけは別である。ここは塩ラーメンを食べる店なのであり、塩ラーメンランキングを作れば、間違いなくこの店が胆振管内全店のトップを争う店だと思う。

来店客の8割以上がこの塩ラーメンを注文するというが、特にお薦めは今日紹介する「塩チャーシュー麺」である。
むろ市・塩チャーシュー麺

画像を見て分かる通り、スープは透明ではない。一見醤油ラーメンかと見間違えるほど色のついたスープであるが、よく見るとそれは黒とか、茶ではなく、まさに「透き通った黄金色(こがねいろ)」といってよい色である。このスープが絶品である。塩ラーメンといっても、それを超越したスープと言えようか・・・。深みとコクがあり、ほのかに昆布だしの香るスープである。ともかく旨い。

麺は室蘭製麺のやや細めの軽いちぢれ麺。かん水が少なめなのか、やや白っぽい麺で、独特の歯応えが良くもちもち感もあり美味しい。このスープによくあっている。

具は大きめに切ったなるとが2枚、ホウレンソウ、海苔、メンマ、チャーシューで、刻みネギは大きいプラスチック容器に別盛されたものを自分の好きな量だけとって丼にぶちこめるようになっている。

チャーシュー麺は、とろとろ柔らかなバラ肉チャーシューが6枚も入っている。このチャーシューがまた絶品である。くどいしょっぱさはなく、程よい味付けで、バラ肉にも関わらず、脂身の少ない部位を使っているのか、とろとろ感もあるのに赤身部分は適度な歯ごたえがあって微妙によい食感が残っている。

この店、すごくお勧めであるが、少し心配なのは店主のおばちゃん一人で作っている店で、後継者がいないということである。昨年の一時期は長期休業していたこともある。室蘭名物と言ってよい、この「塩チャーシューメン」も2度と味わえなくなる日がいずれ来るかもしれない。

お近くの方は、是非その前に一度味わっておいて損がないラーメンだと思う。このラーメンが今後も長く味わえることを願ってやまない。おばちゃん、体を大切にして元気に店を続けてください。

ブログ書籍化本、おかげさまで好評発売中。下のボタンをプチっと押して、このブログと共に応援お願いします
人気ブログランキングへ

blogram投票ボタン
↑こちらのボタンをクリックしていただくと、このブログの解析がみられます。
介護・福祉情報掲示板(表板)