介護保険の給付対象サービスのうち、主な居宅サービスは、居宅介護支援事業所の居宅サービス計画とは別に、「居宅サービス事業所」がそれぞれのサービス計画を立てるという構造になっている。これは個別援助計画と言えるものである。
(参照:施設系ケアマネジメントの構造)
例外として「居宅療養管理指導」「特定福祉用具販売」「福祉用具貸与」「訪問入浴」「四日未満利用のショートステイ」については各事業所のサービス計画は必要とされていない。
※住宅改修もケアプランは必要ではないが、介護保険法第8条に「居宅サービス」の定義があり、ここに「住宅改修」は含まれていないため上記に入れていない。
しかし来年4月からの改正制度の中では、この中の「福祉用具貸与」について新たに「個別援助計画」(福祉用具貸与計画)の作成を義務付ける方向で議論が進められている。
これは貸与される福祉用具の選定について、その理由の整理や関係者の情報共有ツールとして活用するための義務化であるが、同時に現在貸与品目となっている比較的安価な福祉用具を「特定福祉用具販売」に移行する、あるいは貸与と販売については、品目を定めず選択性にする、という議論が背景にあるものだ。
つまりメンテナンスの必要性が低い福祉用具については、必要以上の貸与期間の長期化を招き、その結果、一定の期間を超える場合に、当該福祉用具の一般小売価格を上回る貸与費を支払っている事例があるためである。
そうした問題に直結する品目例としては、歩行補助つえ・歩行器・手すり・スロープなどが挙げられている。
福祉用具貸与事業者の個別援助計画の義務化により、こうした品目のメンテナンスのない長期使用によって販売価格を上回るような利用をなくそうという意図である。
福祉用具貸与事業者のケアプラン作成義務を課すことにつては決して反対ではない。それによって貸与業者が、より積極的にチームケアの中に組み込まれ、ケアプランというツールを通して貸与事業者としての視点をチームに伝えることが容易になるかもしれないし、商品としてではない、福祉用具としての視点から貸与品目が意識されやすくなるというメリットも考えられるからである。
しかしこれが福祉用具貸与事業者へのケアプラン義務化でしか実現できないという現実があるとしたら、それは同時に担当介護支援専門員のケアマネジメントは今まで機能していたのか?という別の角度から検証が必要になる問題である。
居宅療養管理指導のように、居宅サービス計画に位置づけられる必要がなく、給付管理が必要ではないサービスであるならともかく、福祉用具貸与は、担当ケアマネジャーが立案する居宅サービス計画に位置づけられ、給付管理が行われないと、現物給付化され、事業者に直接保険給付費が支払われないサービスである。
つまり多気のケースで、福祉用具貸与の場合は、貸与事業者独自の計画がなくとも、その必要性は介護支援専門員の居宅サービス計画に位置づけられ、給付管理も行われているはずである。給付管理を行うということは毎月ごとに費用計算されているはずだから、安価な貸与品目の長期間の貸与によるコスト計算も行われているはずだ。当然、介護支援専門員であるならば介護用品の一般小売価格を全く知らないということでは困るわけで、貸与を継続するより、自己負担で購入した方が安上がりではないかという視点が居宅サービス計画作成時点からあってしかるべきである。
そうした視点を持ち合わせていないと、無駄な保険給付を増やすだけの「御用聞きケアマネ」という批判に反論できなくなる。
次期改正議論では、このことに関連してケアマネジャーの実務研修や現任研修に「福祉用具関連講習」の必修化なども検討されている。
もっと知識を与えねば使えない職種がケアマネジャーだと思われているわけである。ここでもケアマネは馬鹿にされているわけである。誰にって?国や介護給付費分科会等の各委員にである。
そのため福祉用具貸与計画のある利用者のサービス担当者会議におけるルールも追加される可能性が高い(福祉用具導入時の会議への福祉用具専門相談員等の専門職参加の義務付けや、医師意見書等による確認義務など)。
ケアマネジメント能力を信頼されていないことで、また備えねばならない記録、書式類が増え、意味のない研修受講義務が増え、仕事が増え、ストレスが増えるが、報酬は減らされる。
業務の省力化など絵に書いた餅で、省かれるのは人件費支出だけである。責任と義務だけ重くして、報酬を減らすという理屈は一体誰が正当化するのだろうか。
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介護・福祉情報掲示板(表板)
(参照:施設系ケアマネジメントの構造)
例外として「居宅療養管理指導」「特定福祉用具販売」「福祉用具貸与」「訪問入浴」「四日未満利用のショートステイ」については各事業所のサービス計画は必要とされていない。
※住宅改修もケアプランは必要ではないが、介護保険法第8条に「居宅サービス」の定義があり、ここに「住宅改修」は含まれていないため上記に入れていない。
しかし来年4月からの改正制度の中では、この中の「福祉用具貸与」について新たに「個別援助計画」(福祉用具貸与計画)の作成を義務付ける方向で議論が進められている。
これは貸与される福祉用具の選定について、その理由の整理や関係者の情報共有ツールとして活用するための義務化であるが、同時に現在貸与品目となっている比較的安価な福祉用具を「特定福祉用具販売」に移行する、あるいは貸与と販売については、品目を定めず選択性にする、という議論が背景にあるものだ。
つまりメンテナンスの必要性が低い福祉用具については、必要以上の貸与期間の長期化を招き、その結果、一定の期間を超える場合に、当該福祉用具の一般小売価格を上回る貸与費を支払っている事例があるためである。
そうした問題に直結する品目例としては、歩行補助つえ・歩行器・手すり・スロープなどが挙げられている。
福祉用具貸与事業者の個別援助計画の義務化により、こうした品目のメンテナンスのない長期使用によって販売価格を上回るような利用をなくそうという意図である。
福祉用具貸与事業者のケアプラン作成義務を課すことにつては決して反対ではない。それによって貸与業者が、より積極的にチームケアの中に組み込まれ、ケアプランというツールを通して貸与事業者としての視点をチームに伝えることが容易になるかもしれないし、商品としてではない、福祉用具としての視点から貸与品目が意識されやすくなるというメリットも考えられるからである。
しかしこれが福祉用具貸与事業者へのケアプラン義務化でしか実現できないという現実があるとしたら、それは同時に担当介護支援専門員のケアマネジメントは今まで機能していたのか?という別の角度から検証が必要になる問題である。
居宅療養管理指導のように、居宅サービス計画に位置づけられる必要がなく、給付管理が必要ではないサービスであるならともかく、福祉用具貸与は、担当ケアマネジャーが立案する居宅サービス計画に位置づけられ、給付管理が行われないと、現物給付化され、事業者に直接保険給付費が支払われないサービスである。
つまり多気のケースで、福祉用具貸与の場合は、貸与事業者独自の計画がなくとも、その必要性は介護支援専門員の居宅サービス計画に位置づけられ、給付管理も行われているはずである。給付管理を行うということは毎月ごとに費用計算されているはずだから、安価な貸与品目の長期間の貸与によるコスト計算も行われているはずだ。当然、介護支援専門員であるならば介護用品の一般小売価格を全く知らないということでは困るわけで、貸与を継続するより、自己負担で購入した方が安上がりではないかという視点が居宅サービス計画作成時点からあってしかるべきである。
そうした視点を持ち合わせていないと、無駄な保険給付を増やすだけの「御用聞きケアマネ」という批判に反論できなくなる。
次期改正議論では、このことに関連してケアマネジャーの実務研修や現任研修に「福祉用具関連講習」の必修化なども検討されている。
もっと知識を与えねば使えない職種がケアマネジャーだと思われているわけである。ここでもケアマネは馬鹿にされているわけである。誰にって?国や介護給付費分科会等の各委員にである。
そのため福祉用具貸与計画のある利用者のサービス担当者会議におけるルールも追加される可能性が高い(福祉用具導入時の会議への福祉用具専門相談員等の専門職参加の義務付けや、医師意見書等による確認義務など)。
ケアマネジメント能力を信頼されていないことで、また備えねばならない記録、書式類が増え、意味のない研修受講義務が増え、仕事が増え、ストレスが増えるが、報酬は減らされる。
業務の省力化など絵に書いた餅で、省かれるのは人件費支出だけである。責任と義務だけ重くして、報酬を減らすという理屈は一体誰が正当化するのだろうか。
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介護・福祉情報掲示板(表板)
ケアマネは福祉用具を知らない。
プランに用具の必要性と選択根拠を記載するというルールすら知らないし、知ろうともしない。
「ベッド入れて」「車椅子持ってきて」であとはまる投げ。
福祉用具専門相談員も自社の重点セールス品目をあてがうだけ。
こんな状況を打破するために、当地ではケアマネジャーと福祉用具専門相談人との合同研修を行い、用具の必要性や選択根拠を考えることの意味や、どういう視点で必要性と洗濯根拠を見出すのかの「すり合わせ」を行いました。
でも、福祉用具だけの問題ではないはずです。もはやケアマネにさまざまなものを求めているだけではことが足りていきません。事業所にも同様に求めていく必要があるし、もっといえば「経営者教育」を行わなければ、いつまでたってもブラックな事業所が淘汰されていかない状態になっています。
ケアマネだけがいつまで悪者扱いされていくのでしょうかね。