次期制度改正において新たなサービスとして創設されるものの一つに「複合型サービス」がある。

制度改正議論が始まった当初、僕はこの「複合型サービス」とは「24時間地域巡回型訪問サービス」の別名なのかと勘違いしていた。なぜなら「24時間地域巡回型訪問サービス」も訪問看護と訪問介護を継続的マネジメントに基づいて一体的に提供するサービスであり、まさに医療系サービスと福祉系サービスのミックスサービスと言えるからである。

しかし地域包括ケアの議論が進行していく中でわかったことは、この制度改正で論じられている「24時間地域巡回型訪問サービス」と「複合型サービス」とは明らかに異なるサービス事業として新制度に位置づけられ、その両者が「地域包括ケア」の基礎的サービスとなるというものである。

そして3/11閣議決定された「介護保険制度改正案」の中で、複合型サービスは小規模多機能型居宅介護と訪問看護の両サービスを組み合わせるもので、これは小規模多機能居宅介護の利用者の重度化や医療ニーズの増大に対応したもので、現在小規模多機能居宅介護サービスにおけるパッケージサービスの外に位置し、別サービスとして提供されている訪問看護も、小規模多機能型居宅介護サービスと一体的にサービス提供できる新サービスというものであることがわかった。

そうであるならば「複合型サービス」=小規模多機能型居宅介護と訪問看護の両サービスを組み合わせ、であるかといえば必ずしもその考え方は正解ではない。

では複合型サービスとは何ぞや?

実はこのサービスとは「居宅サービスと地域密着型サービスを2種類以上組み合わせるサービス」であり、その第1弾として小規模多機能型居宅介護と訪問看護の両サービスの組み合わせを指定サービスとするものである。

つまり第1弾があるということは、第2弾、第3弾があり得るということで、それも24年4月から第1弾の小規模多機能型居宅介護と訪問看護の両サービスを組み合わせサービスが創設された以後は、その次の制度改正を待つ必要はなく、順次その他の「居宅サービスと地域密着型サービスを2種類以上組み合わせるサービス」が新サービスとして創設され、指定されることになるかもしれない。なぜなら4月以降の国会に制度改正案が提出審議、可決されれば、その中では「複合型サービス」の創設が認められるのだから、その複合形態は運用の問題となり、あらたな法案審議の必要はなく実現可能となるからだ。

だから次期改正制度の施行後は、様々な組み合わせの「複合型サービス」が誕生する可能性がある。そうなると以前にも指摘したが、これは一人の利用者を、医療系サービスと福祉系サービスのパッケージの中に組み入れるというものだから、必然的に、一定の事業者が「囲い込んで」サービス提供を行う、ということが主流となる。

そもそも複合型サービスとは別サービスである「24時間地域巡回型訪問サービス」にしても、30分で移動できる圏域の中で、訪問看護と訪問介護を一体的に提供するもので、しかもその採算ベースは1圏域で利用者50人とも80人とも言われているので、1事業者がそれだけの利用者を確保するために、居宅介護支援事業者が「24時間地域巡回型訪問サービス」の併設事業である場合の担当ケアマネは、その圏域で利用者を採算ベースに乗る人数を確保することを求められるだろう。囲い込まねばしょうがないという状況である。

そういう意味では「地域包括ケア」とは、体力のある大きな事業者が地域の要介護高齢者にパッケージサービスを提供するというモデルが基本だから、囲い込みのモデルであるといえる。

そうなると以前にも指摘したが、居宅介護支援費における「特定事業所集中減算」の考え方とは180度違った方向で設計されたサービスモデルということになり、両者の整合性がとれなくなる。

なぜなら一方では、特定の(それも福祉系サービスに限定している点がそもそもの矛盾であるが)事業主体のサービスに偏って使う計画を立てては減算しますよ、というのに、地域包括ケアでは積極的に特定の事業者に利用を偏らせねばならないからだ。

よってこの矛盾をなくそうとすれば居宅介護支援費における「特定事業所集中減算」は廃止するしかない。

次期改正で、この減算コードがなくなるとすれば、その理由は地域包括ケアの促進のために、そのことと整合性の取れない矛盾した減算をなくすという以外のなにものでもなく、特定の団体が「我々が声を挙げて潰したんです!!」などと成果を協調しても、それは信用してはいけないということになる。

ただ・・・改正法案。現在のところ国会に提出もされていない。今、日本中が大変な状況で、この法案、本当に国会で審議可決されるのだろうか?されるとしても審議とは名ばかりの通過儀礼的に通されることになるんだろうな。

国会議員は「地域包括ケア」の導入や、その基礎的サービスとなる「複合型サービス」と「24時間地域巡回型訪問サービス」の創設がこの国を救う方策となると本当に信じているんだろうか?僕はこのサービス自体が06年制度改正時に創設された「新予防給付」と同じようにフィクションで終わるような気がしてならない。

国民の将来の生活に直結する大事な法案だと思うけど、本当にこれでよいのだろうか。

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