未曾有の大地震がもたらした被害は想像を絶するものだ。

日に日にその爪痕の深さが明らかになってくるが、被害を受けなかった我々は、被災者の方に向けた支援を「できることから」最大限に行わねばならない。こういう時こそ、所属や利害関係などの一切の「しがらみ」を捨て去り、被災者を支援するという一つの目的だけのために皆でスクラムを組もうではないか。

なお参加申し込み者の方には本当に申し訳ないが、僕の著作本「人を語らずして介護を語るな masa の介護情報裏板」の発刊を記念して今週土曜日13:30〜16:30東京都港区芝の「女性と仕事の未来館」で行う予定だった発刊記念シンポジウム「現場を語らずして介護を語るな」については、諸般の事情を考慮して「延期」とさせていただくので、よろしくお願いします。

今後、シンポジウムが開催できる状況になった場合に、あらためて日程をお知らせしますので、どうぞご勘弁ください。

ところで、この震災が発生する前日に、講演のために福岡入りした僕は、当日午前10時30分に宿泊していたホテルを出て、お昼ごはんをとった後に昼間の講演を行う会場に入った。この日は午後1時30分からの90分講演と、午後7時からの90分講演の2講演を行う予定であった。

予定通り1時30分から講演は始まったので、震災発生時は全くその事実を知る由もなかった。特に九州地方は揺れも全くなかったので、テレビやラジオを聴く環境になかった状態で、そのような大災害が起こっていることを全く知らなかった。

地震の発生を知ったのは、最初の講演会場から、次の講演会場に向かう車中に、妻からの携帯メールが届いたときである。時間にすれば午後4時過ぎだったか?しかしその時の認識は、北海道の僕の住む登別周辺地域で大きな地震が発生したという認識しかなかった。取り急ぎ、施設と自宅に電話をかけ、被害状況を確認したが、幸い大きな被害はないという。津波警報が出されているので、海に近い地域ではサイレンが鳴り響き、公民館等への避難が始まっていると聞いたが、施設は高地にあるから、津波の心配はないし、自宅も公民館の近くだから、非難しても一緒とのことで、多分問題ないだろうとホッとしていた。

情報を確認するため、インターネットで速報を確認するうちに、この地震が北海道を中心に起きたものではなく、どうやら東北地方が中心であるらしいことが分かり、一部の地域で人的被害が出ていることも知った。しかしこの時点で津波被害が起きていることも、大災害であることも知らず、夜の講演準備から講演へという流れの中で、そこに集中していた。

講演後もニュースなどを見る間もなく、夕食を摂り、その場所での中心的な話題は、当然ながら講演内容の制度論や、介護に関する話題に終始していたので、地震と津波による甚大な被害が生じているなどとは夢にも思わなかった。お酒も飲んでいたし、講演の疲れもあって、食事を終えホテルに戻るとそのまま寝てしまった。

だから僕が今回の震災の深刻な状況を知ったのは、翌朝、12日土曜日の早朝、テレビニュースを見たその時であり、事の重大さにショックを通り越して、これはまだ夢なのではないかと茫然としてしまった。

その日(12日)は長崎県諫早市の講演を控えており、列車で移動予定だったが、津波警報のため途中で列車が止まっているとのことで、急遽、高速バスの移動に変更した。しかしバスターミナルも大混雑で、切符を買うためにも長蛇の列だ。幸いバスチケットは手に入ったが、なんとそれは諫早インターで停まるバスの最後の1枚のチケットであった。ぎりぎりセーフである。だたバスの中で道内の交通状況を確認すると、千歳空港から登別方面に向かう列車も、高速バスも、津波警報の影響で動いていないとのことで、明日の北区ができるのか不安になった。

諫早講演では最初に今回の震災に触れ「今僕達にできる事は被害がこれ以上拡大しないように祈ったり、義援金を送ったりする事ぐらいかもしれませんが、どんな小さな事でも自分達でできる事はやりましょう。」とお話しさせていただいた。

僕は翌日、諫早研修の主催者の方に福岡空港まで送っていただき、そこから2時間遅れで千歳空港に着いたが、幸い列車は普及しており、夜に自宅にたどり着いた。旅の疲れと、自宅で家族と過ごすことに安らぎを感じることができたが、しかし被災された方は、こういう安らぎの場所さえなく、中には最愛の家族さえ失ってしまい、独りぼっちのなってしまった人もいるはずだということに気づき暗澹たる気持ちになる。

今自分にできることは何かと考えた時、とりあえず義援金を送ることだと思ったので、先ほど金融機関から、先週末の福岡と長崎でいただいた講演謝礼金の全額に、自分のポケットマネーを加えて送金した。だからこのお金には、福岡と長崎の講演主催事務局や受講者の思いも詰まっていると思っている。

そのほかに施設では職員親睦会と法人から、老施協を通じて別に義援金を送ることに決定した。さらに個人で義援金協力してくれる方は、職員、利用者を問わず、集金に協力して送ろうと考えている。

我々にできる限りのことを、出来得る最大限のことを、今しておかないと、この国は滅びるかもしれないという危機感を持ちながら、被災された多くの方々に思いを寄せたい。

今しかできないこともあるし、今だからこそ求められているものがある。それを見逃さないようにしたい。


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