介護保険制度には「ローカルルール」という都合のよい言葉があるので、地域によって制度運用方法が違っている場合がある。

しかし本来のローカルルールの意味は、地域事情にあった保険給付のあり方を考えよう、という意味である。つまり所詮文章でしかない法律等の法令で定められる範囲は、人間生活のすべてに及ぶことは不可能なので、その部分は個別の地域事情に基づいて、都道府県や市町村がルールを定めてよいという意味にしか過ぎない。例えば「〜等」という部分の等とは具体的にどういう状況を指すかを決めるなどはローカルルールが必要な場合だろうと思う。

当然ながら、そこには地域行政とは、地域住民の暮らしが良くなるために存在するものなのだから、地域住民の不利益にならない運用や、暮らしが悪くならない視点が強く求められるし、介護サービス事業に対する指導の視点も、現場のサービスというものの目的を充分に理解して、それに沿った運用が可能になるような角度からの見方が不可欠である。

ところが制度理解もなく、ルールの理解もない、一部の行政職員により、みっともないおバカな指導が行われる例が後を絶たない。老企第25号という法令解釈通知で認められている通所サービスの外出行事を、いまだに不可としている県などが存在する。まったくもって通所サービスの本来機能を狭くしか解釈できない脳みその量が足りないか、がちがちに脳みそが凝り固まったアンポンタンの指導である。

特養や、通所介護の「個別機能訓練加算」に至っては、機能訓練とは何たるかも知らない素人のアホタレ担当者が、機能訓練は医学的治療的リハビリテーションしかあり得ないようなおバカな指導をしている。これが間違っているということは「過去の記事」で何度も指摘している。

そもそもこの個別の意味は「個別機能訓練」ではなく、「個別計画を作っているというプロセスを経ていること」であり、そのことは平成18年4月改定関係Q&A Vol.1において「個別に計画を作成するなどプロセスを評価するものであることから」と示されており議論の余地さえないのである。

しかも同Q&Aでは「個別機能訓練を行うに当たっては、機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員、その他の職種が共同して個別機能訓練計画に従い訓練を行うこととしており、機能訓練指導員が不在の日でも算定できる。」とされており、機能訓練指導員だけが行う行為に限らず、日常生活のあらゆる場面で自立支援の取り組みをしており、これが個別計画に落とされておれば問題ないことが示されている。

さらに注目しなければならない点として、ここの計画を共同して立案する職種に「医師」が含まれていないことである。これには重要な意味がある。つまり医師が指導すべき医学的・治療的リハビリテーションは含まれないという以前に「不可」であるということになる。それは例えばROMエクササイズとして関節をどの程度の負荷で、どこまで伸ばすかとか、平行棒で何分間立位や歩行訓練をするかなどであり、こういう計画を医師の介入のない特養の個別機能訓練計画で立案しているのは逆に問題なのである。

だから特養の個別機能訓練計画として次のような内容で充分なのである。

(生活課題)自力で離床できないことから、生活活動範囲が縮小し、心身機能の低下の恐れがある
(長期目標)日課活動に生きがいをもって参加し、コミュニケーション能力が維持され、笑顔あふれる生活を続けられる。
(短期目標)心身活性化のために他者との交流機会を持ち続ける
(援助内容:機能訓練内容)食事はベッド上で摂らずに、きちんと着替えて、髪を直して、食堂でみんと食事前に会話ができるように離床援助します。楽しく会話しながら食事しましょう。

↑このどこが機能訓練計画として不可だというのか。表の掲示板では、この点についておバカな指導担当者が「なぜならそれは普通に生活しているだけだからです。生活の中で立ったり座ったりしてるのを、施設側がそれを機能訓練だと言ってお金(加算)をとっているに過ぎない」なんて言っている。

こんな指導者はその場で罵倒すれば良いのだ。そもそも日常生活動作を支援し続けるのが本当に機能訓練であり、訓練室で何かができても、そのことが日常生活に生かされないことのほうが問題なのである。平行棒の中でいくら立ったり歩けても生活は変わらないけど、車椅子移乗の際に足に力を入れて立位を取れたり、トイレ移動時にトイレ内で歩けて便器移動することができればオムツは必要ないのである。どちらが生活として豊かなのかは考えなくても分かるだろう。

そもそも特養の機能訓練のあり方は、基準省令17条で「その心身の状況等に応じて、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行わなければならない。」と定められているもので、日常の移乗や、離床、心身活性化支援はまさに「日常生活を営むのに必要な機能を改善」にほかならず、このことを否定するなにものも世の中に存在しないのである。

ただし個別機能訓練加算の算定要件では「個別機能訓練に関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)は、利用者ごとに保管され、常に当該特定施設の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにすること。」とされており、実施の記録は不可欠なのだから、上記で示したような食事の際の離床援助を心身活性化のための個別機能訓練計画にしているなら、その離床の記録については支援記録や業務日誌に分かるように記載しておくべきである。つまり計画に即した記録の観点は不可欠という意味である。このことさえ職員に教育しておけばよいのだ。同時に支援記録か業務日誌に、それに関するきちんとした記録があれば、どこからも文句をいわれる筋合いはないのである。

こうしたことをきちんと理解し、理論武装し、時には指導担当者と議論し、ごくたまには罵倒しても良いのである。

そもそも特養の個別機能訓練加算は「看取り介護対象者」にも算定できる加算であることを鑑みれば、こんなことが議論になることの方がおかしいのである。

そんな馬鹿な指導をするような行政職員は、顔を洗って出直してくる手間をかけるまでもなく、頭から水をぶっかけてやればよいようなもんだ。

どちらにしても行政という背景をもってふんぞり返る知識のない指導担当者ほど醜く、滑稽な存在はない。

現場の介護の専門家は、もっとそういう連中に対して怒ってもよいのだ。ペコペコしたり、仲よくしてもらうだけが良い関係じゃない。

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