10月1日を基準に行われた国勢調査に携わっている人も多いだろう。

我が国の国勢調査は、人口の状況を明らかにするために大正9年から、ほぼ5年ごとに(現在は5年に一度が基本だが、そうでない年もあったのでこういう表現にした)行われており、現在調査票を回収している本年度の国勢調査は19回目に当たるものである。

国勢調査の結果は平均寿命の計算式における基礎データにもなるし、選挙区の画定や議員定数の基準、福祉政策や防災対策など国や地方公共団体の行政施策での利用を始め、個人の生活設計や企業の事業計画など様々な場面において利用されるため、けっして無駄ではないと思う。・・・そう思いたい。

この調査は日本に居住している外国人も対象になるし、住所不定のいわゆるホームレスと呼ばれる方々も対象になる全件調査を基本としており、データの収集や集計にはかなりの人手と手間がかかる調査である。

当然、ここには国費が投入されているわけであるが、前回(2005年)の国勢調査には約650億円の予算が計上されている。しかもその前年には予備調査費として20億円がかけられており、さらにこの調査に係る地方自治体職員の時間外手当などをすべて計算するともっと大きな金額になる。そしてその8割は人件費であるといわれている。

実際にそれだけの人手と手間がかかっているんだからそれはやむを得ないだろうか?しかし無駄な費用が全くないわけではなく、むしろ削減すべき費用というものもかなりある。今回の調査にかけられている費用の中から具体的にその費用を指摘しておく。

緊急防犯ブザー
画像は、今回の国勢調査で全国約70万人といわれる調査員全員に配られている防犯ブザーである。実物から判断し販売価格は1.500円くらいのものだろうと思うが、単純計算でこの費用だけで実に11億2千万が支出されることになる。(画像はクリックすると拡大表示します。)

確かに夜間調査票を回収しなければならない場合もあるだろうし、女性の夜道の一人歩きは危険だろうが、全調査員一律にこんなブザーを配る必要があるだろうか?男性調査員はほとんど使わないだろうし、僕の家に調査票を回収に来た調査員はたまたま女性だったので尋ねてみたが、持って歩くことはないという。必要なら市町村に備え置いたものを貸し出す仕組みにすればよいことで、これも無駄の一つである。

穿った見方をすれば、こんなものを調査員全員に配る必要性はないのに、そうしているというのは、この防犯ベル業者と国の癒着があるのではないかと思ってしまう。

こういう無駄を一つ一つ洗い出していけば、かなり不必要な経費は出てくるだろうに・・。

ところで国勢調査のデータは本当に信頼できるのだろうか?

国は基本的にこのデータについて、全件調査で対面して調査依頼をするし、調査票を回収できないケースについてもすべて聞き取り調査で実態把握しているので、間違いのない正確なデータであるという。しかし調査票を回収できないケースも回を追うごとに増えているというし、聞き取り調査も不可能なケースが増えている。

そもそも各家庭に配布した調査票は封をして調査員に渡されるほか、今回からは郵送することも可能になっているが、そこに果たして正確な情報が書かれているのか確認する術はない。

とすれば本当に正しい事実がその調査票に書かれているのか疑わしくなる。例えば今年話題になった「消えた高齢者問題」にしても、国勢調査ではそのような誤ったデータは入ってこないとはいいきれない。死んだ親の年金を受給している世帯では、その親が生きているとして調査票に生存データを書いて封書に入れるだろう。そういう数値は「外れ値」として無視できるものなのか?大いに疑問である。

どちらにしても様々な施策において財源論が議論されるこの国において、5年に一度700億円近い国費をかけて行われる調査の結果が無駄になっては困る。有効な調査となることを願ってやまないが、実に疑わしい。

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