介護保険制度は「走りながら考える」とされて見切り発車された制度だから、あちらこちらに瑕疵がある。制度改正はその瑕疵をなくすためのものであるはずだが、どうもうまくいっていない。

その最大の理由は、現場の関係者や利用者自身が感じる制度の不便さや矛盾より先に、財源論からの持続可能性が中心になって制度改正論議がなされるからではないだろうか。特に制度改正論議は、各関連団体の代表委員が含まれているとはいえ、現場で利用者に向き合う立場ではない人を中心に、学者や、官僚が中心になっての議論であるから、利用者に真に必要とされるサービスや、事業者が矛盾と感じている部分に光があたらない。

ここが最大の問題で、なんとか関係者の現場の生の声を届けなければならない。

本来であれば、制度の中で、サービス提供の中心的役割を担っている介護支援専門員(ケアマネジャー)の声は「現場の声」として重要であり、この部分を職能団体が国に届ける責任があると思うが、少なくとも日本介護支援専門員協会という団体は、その役割を果たしておらず、単に協会幹部の考えを提言書にまとめて意見具申しているだけである。

本当に制度を良い方向に変えて、利用者のよりよい暮らしを作ろうと思っている人々は、こういう団体に協力してはいけない。

それでは現場のケアマネジャーをはじめとした、保健・医療・福祉・介護関係者の声はどのように国に届ければよいのだろう。いかにアクトローカリィーが大切だとは言っても、地域の中で意見交換しているだけでは、その声は国に届くことはない。

そこで一つの方法ではあるが、インターネットを利用したアンケートの結果を利用するという方法があることを皆さんにお知らせしておきたい。

僕はこのブログの中で様々なアンケートを実施している。もともとこれは僕が各地で行う様々なテーマの講演内容に関連して、集めたいデータの一つとして皆さんに回答をお願いしているものだが、この意見の一部が制度改正議論をめぐって関係ある団体や個人に届いているのである。

ちなみに今まで実施してきたアンケーとの内容と結果は下記で確認できる。
(新しいものから順に示す。)

 1.お泊りデイサービスの保険給付化問題について意見を求めます。
 2.医療行為見直し議論について。
 3.24時間の短時間巡回型の訪問介護でヘルパーは疲弊しないか?
 4.日本介護支援専門員協会は現場会員の声を代表しているか?
 5. 介護支援専門員の受験資格の見直しについて。
 6.消えた高齢者問題を介護保険で対応するという首相発言について。
 7.次期介護保険制度改正2・地域包括ケアについて。
 8.次期介護保険制度改正1・注目しているか?
 9.人生の最期の瞬間に傍らにいて欲しい人は誰ですか?
10.ケアマネを中心とした多職種連携はうまくいっているか?
11.要介護認定を廃止せよという意見について。
12.介護認定が遅れて困ることはないか?
13. 認知症のない人が介護拒否し転倒骨折したケースの訴訟について。
14.認知症高齢者に対する学習療法について。
15.通所介護送迎車内の放置死亡事故について。
16.ケアマネ解雇訴訟・解雇有効の判決についてどう考えますか?
17.ケアマネ解雇取り消し訴訟における被告主張内容について。
18.ケアマネ解雇取り消し訴訟における原告主張内容について。
19.居宅サービス計画作成義務に司法判断が出されたことについて2
20.居宅サービス計画作成義務に司法判断が出されたことについて1
21.介護保険サービス利用者1割負担の見直しについて。
22.夢を持って、理想を掲げて仕事ができていますか?
23.施設系介護支援専門員の悩みについて。
24.介護サービス情報公表制度、事業者負担廃止について。
25.予防給付や生活支援を保険給付から外すことについて。
26.死に対して心配や不安に感じることは何ですか?
27.施設サービスという呼称を変更する必要はありませんか?
28.認知症という呼称を略して表現することに問題を感じませんか?
29.どのような研修テーマに興味がありますか?
30.消費税率は何パーセントが適正と思いますか?
31.社会保障財源としての消費税アップについて。
32.通所サービスの外出行事は必要ですか?
33.日本介護支援専門員協会会長の発言をどう感じますか?
34.キラキラ輝いていますか?
35.個別処遇計画に変わる言葉のご意見をください。
36.日本人はどこで死ねべきか?
37. 医療行為の介護職員への解禁議論について。
38.宇都宮老健の不適切対応問題は解決されたか?
39.介護認定に疑問や意見はありますか?

↑これらがネットで見ることできる。が、しかし、それだけで意見として関係団体等に届くというわけではない。

実は制度改正に関連して我々現場の声を届けようと活動してくれている関係者の方が、このアンケートの結果をエクセルファイルにして、関係団体や国会議員等に配布してくれているのである。

こうした近直の生の声が結果として示されているものは、ほとんどないため、関係者の一部の方からは「貴重なデータである」と評価の声をいただいている。

それらが本当に制度改正に影響を与えるか否かはわからないが、何もせず手をこまねいていては絶対に変わらないものがある。我々ソーシャルワーカーとしての社会福祉士なり、介護福祉士なり、ケアマネジャー、あるいはその他の介護サービス関係者は、ソーシャルアクションも積極的に行うという専門職としての責任と義務があるのだから、できることはやってみなければならないと思う。そういう意味で現場の関係者の皆さんにはアンケートに答えるという形で国に意見を届けるご協力をいただきたい。

何もしない人が、現場で愚痴だけ言っているのは意味がない。そういう人々に制度が良くならないと批判する権利はないと思う。

なおこのアンケートは関係者の皆様の善意により回答いただいた生の声である。関係者の皆さんがソーシャルアクションを起こす上で必要な場合は、出所さえ示していただければ、特に僕に連絡しなくても使って下さって結構である。是非活用いただきたい。

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