8/25に「介護福祉士に専門性なんてあるんだろうか?」という記事を書いたところ、今日までに40件以上のコメントが寄せられている。同時に様々な人がこの記事に刺激?をうけて自身のブログで「介護福祉士の専門性」に関連する記事を書いている。
例えばbon01979さんこと古瀬先生の「北海道のmasa氏の問題提起」 ・ gitanistさんの「介護の専門性とは」 ・ ヅカちゃんの「介護福祉士の専門性?あるよ。」などである。
ある意味、僕の「挑発」に対し、このように真面目に反応してくれる人がいることは素晴らしいことだ。それが僕の意見に対する反論であっても、自らの専門性を言葉や文字で表現できることが大事だ。このような人が多いとこの業界の未来、そして介護福祉士という資格に対する未来への展望が開ける。
しかし一方では、専門性はないとあきらめたり、開き直ったりする人がいることも事実で、それは僕の記事に寄せられたコメントでも読みとれる。ここが問題だ。
だから僕が書いた記事は、介護福祉に対する愛情を込めた叱咤激励であり、エールであると同時に、ある種の幻滅感も含んでいることを否定しない。そして近い将来、僕の期待がこの資格に対してなくなってしまった場合、別な方向でアクションを起こすことになる可能性も否定しないのである。
なぜなら家族が行える行為を介護福祉士の手で、という提言を「医療行為に手を出す」とか「医療行為解禁」という方向で捉えて、そこは介護の範囲ではないと考えるスキル自体が問題だと思うからである。それは医療行為解禁という問題ではなく、介護職が医療行為の一部を担うという問題でもない。本来医療行為ではないとしてよい行為をきちんと介護の専門家として対応しようという意味であることを理解してほしい。
何度も同じ主張を繰り返すことになるが、医療行為自体は未来永劫、医師や看護師などの医療の有資格者が行うべきで介護の専門職が手を出すべき範囲ではないから「医療行為解禁」なんか必要ない。
僕が言っているのは医療行為を介護職に解禁せよ、ということではなくて、医療行為という概念が広すぎて実際には医療職以外の者ができる行為までその中に括られ制限されてしまっており、時代のニーズはその制限にそぐわなくなって、特に家族が自宅で安全に行えている行為(インスリン注射等)については、医療法が制定されていた当時、このような超高齢社会で在宅高齢者が自宅でインスリン注射が自分でできなくなるデメリットを想定していなかったんだから、そうした行為は医療行為ではないと、その判断を変えていこうというものである。
狭心症の方に対応するフランドールテープだって医療法制定時になかった方法で、こんなものを医療行為という理由だけでヘルパーが貼れないなんて考えるほうがおかしい。その期待に沿うことは国民ニーズに沿うことで、医療行為ではなく、介護としての支援行為をきちんと担うことである。
ここを理解出来ないなら、そもそもこの議論はいつまでも水かけ論である。
だいたい全国老施協も、介護職員の出来る行為を拡大する方向を「医療行為解禁」とか「違法性阻却」でしか語れないから現場が混乱するのだ。老施協に人材はいないのか?
ところでこの介護福祉士の専門性、どうやら多くの有識者は影では「そんなものないよな」と考えている節がある。そのよい例が、社会保障審議会介護保険部会での介護支援専門員の実務経験に関連する基礎資格見直し議論である。そのいくつかの意見を下記に紹介しておく。
「審議会の各委員意見」
結城康博委員(淑徳大学総合福祉学部准教授)
・(資格の新設から)10年間経った今、受験資格を見直すべき。幅広い職種に受験資格があることのメリットもあるが、検討が必要。
川合秀治委員(全国老人保健施設協会会長)
・医療と介護の適切なマッチングを訓練されているか。当施設のケアマネジャーは、看護職で占めている。事業主としては、医療のわかるケアプランナーを支持せざるを得ない。国家資格にとまでは言及しないが、高度な医療知識が必要ではないか。
齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事・事務局長)
・ケアマネジャーの生命線は中立性にある。事業所併設サービス利用は、現行の集中減算で中立性が確保されているか再考の余地がある。また、保有資格が介護福祉士に偏り、医療的ケアへの知識が十分といえないとの指摘があるため、人材養成の抜本的見直しが急務ではないか。
河原四良委員(UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長)
・ケアマネジャーが独立できない、しないのは、月々の収支が不安定であるから。収入の安定に向けた対策が必要。また、介護の要でありながら、国家資格ではないということは不思議でならない。
日本介護支援専門員協会会長の木村隆次委員
・ケアマネジャーの質の均一化を図るためには、国家資格化と大学教育相当の要請過程が必要、受験要件(基礎資格など)の見直しを行うための検討会を設置することといった大胆な養成見直しが必要である。
以上である。
この意見をよく読むと、基礎資格から外そうとしている第1番目のターゲットは、明らかに「介護福祉士」と「介護業務」である。まあ看護師等医療系の有資格者ではないと適切なケアマネジメントができない、などという全老健協会会長の意見などは偏見にしか聞こえないが、これだけ介護福祉士への評価が低い意味を、この資格を持つすべての人が考えるべきだろう。
単に相談援助職ではなく、介護の専門職だから、基礎資格から外されてもよいのだろうか?それとも社会が、国民が要請する介護職の担う行為の明確化と範囲拡大に二の足を踏み続ける日本介護福祉士会に対する痛烈な評価であるのか?
ここが考えどころである。
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介護・福祉情報掲示板(表板)
例えばbon01979さんこと古瀬先生の「北海道のmasa氏の問題提起」 ・ gitanistさんの「介護の専門性とは」 ・ ヅカちゃんの「介護福祉士の専門性?あるよ。」などである。
ある意味、僕の「挑発」に対し、このように真面目に反応してくれる人がいることは素晴らしいことだ。それが僕の意見に対する反論であっても、自らの専門性を言葉や文字で表現できることが大事だ。このような人が多いとこの業界の未来、そして介護福祉士という資格に対する未来への展望が開ける。
しかし一方では、専門性はないとあきらめたり、開き直ったりする人がいることも事実で、それは僕の記事に寄せられたコメントでも読みとれる。ここが問題だ。
だから僕が書いた記事は、介護福祉に対する愛情を込めた叱咤激励であり、エールであると同時に、ある種の幻滅感も含んでいることを否定しない。そして近い将来、僕の期待がこの資格に対してなくなってしまった場合、別な方向でアクションを起こすことになる可能性も否定しないのである。
なぜなら家族が行える行為を介護福祉士の手で、という提言を「医療行為に手を出す」とか「医療行為解禁」という方向で捉えて、そこは介護の範囲ではないと考えるスキル自体が問題だと思うからである。それは医療行為解禁という問題ではなく、介護職が医療行為の一部を担うという問題でもない。本来医療行為ではないとしてよい行為をきちんと介護の専門家として対応しようという意味であることを理解してほしい。
何度も同じ主張を繰り返すことになるが、医療行為自体は未来永劫、医師や看護師などの医療の有資格者が行うべきで介護の専門職が手を出すべき範囲ではないから「医療行為解禁」なんか必要ない。
僕が言っているのは医療行為を介護職に解禁せよ、ということではなくて、医療行為という概念が広すぎて実際には医療職以外の者ができる行為までその中に括られ制限されてしまっており、時代のニーズはその制限にそぐわなくなって、特に家族が自宅で安全に行えている行為(インスリン注射等)については、医療法が制定されていた当時、このような超高齢社会で在宅高齢者が自宅でインスリン注射が自分でできなくなるデメリットを想定していなかったんだから、そうした行為は医療行為ではないと、その判断を変えていこうというものである。
狭心症の方に対応するフランドールテープだって医療法制定時になかった方法で、こんなものを医療行為という理由だけでヘルパーが貼れないなんて考えるほうがおかしい。その期待に沿うことは国民ニーズに沿うことで、医療行為ではなく、介護としての支援行為をきちんと担うことである。
ここを理解出来ないなら、そもそもこの議論はいつまでも水かけ論である。
だいたい全国老施協も、介護職員の出来る行為を拡大する方向を「医療行為解禁」とか「違法性阻却」でしか語れないから現場が混乱するのだ。老施協に人材はいないのか?
ところでこの介護福祉士の専門性、どうやら多くの有識者は影では「そんなものないよな」と考えている節がある。そのよい例が、社会保障審議会介護保険部会での介護支援専門員の実務経験に関連する基礎資格見直し議論である。そのいくつかの意見を下記に紹介しておく。
「審議会の各委員意見」
結城康博委員(淑徳大学総合福祉学部准教授)
・(資格の新設から)10年間経った今、受験資格を見直すべき。幅広い職種に受験資格があることのメリットもあるが、検討が必要。
川合秀治委員(全国老人保健施設協会会長)
・医療と介護の適切なマッチングを訓練されているか。当施設のケアマネジャーは、看護職で占めている。事業主としては、医療のわかるケアプランナーを支持せざるを得ない。国家資格にとまでは言及しないが、高度な医療知識が必要ではないか。
齊藤秀樹委員(全国老人クラブ連合会理事・事務局長)
・ケアマネジャーの生命線は中立性にある。事業所併設サービス利用は、現行の集中減算で中立性が確保されているか再考の余地がある。また、保有資格が介護福祉士に偏り、医療的ケアへの知識が十分といえないとの指摘があるため、人材養成の抜本的見直しが急務ではないか。
河原四良委員(UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長)
・ケアマネジャーが独立できない、しないのは、月々の収支が不安定であるから。収入の安定に向けた対策が必要。また、介護の要でありながら、国家資格ではないということは不思議でならない。
日本介護支援専門員協会会長の木村隆次委員
・ケアマネジャーの質の均一化を図るためには、国家資格化と大学教育相当の要請過程が必要、受験要件(基礎資格など)の見直しを行うための検討会を設置することといった大胆な養成見直しが必要である。
以上である。
この意見をよく読むと、基礎資格から外そうとしている第1番目のターゲットは、明らかに「介護福祉士」と「介護業務」である。まあ看護師等医療系の有資格者ではないと適切なケアマネジメントができない、などという全老健協会会長の意見などは偏見にしか聞こえないが、これだけ介護福祉士への評価が低い意味を、この資格を持つすべての人が考えるべきだろう。
単に相談援助職ではなく、介護の専門職だから、基礎資格から外されてもよいのだろうか?それとも社会が、国民が要請する介護職の担う行為の明確化と範囲拡大に二の足を踏み続ける日本介護福祉士会に対する痛烈な評価であるのか?
ここが考えどころである。
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貴記事をリンクさせていただきました。(第3929号)