介護支援専門員(ケアマネジャー)とはオーケストラで言えば指揮者だ。

自分で楽器を演奏する必要はないが、奏でる音のハーモニーに一番敏感で、音の組み合わせや、個人の演奏技術に対し、冷徹な評価ができ、指導に長けている必要がある。

しかしながらオーケストラの指揮者自信は、ひととおり楽器演奏に精通していても人に秀でた優れた演奏技術を持っている必要はない。場合によっては音の出る理屈さえ分かっておれば、自分で音を出す技術まで持っている必要はない。それは別の才能であり、別のステージなのだ。

介護支援専門員も同じである。介護サービスをコーディネートするに際し、各サービス事業所の担当者や、施設における介護支援者と同じように援助技術を持つ必要はないし、計画された行為自体を自信が行う必要もない。

全体をコーディネートしてサービスの質を一定以上に保つためには、現場で行うサービス提供者と同じ視点から見つめる目も必要だが、同時にそこから一歩離れた視点からサービスを見つめる視点も必要であり、これが「蟻の目と鳥の目」であり、いうなればサービス提供の実態をミクロの視点からと、マクロの視点からの両方で見つめる冷徹な視点が求められる。そうであるがゆえに、実際のサービス提供者から一歩も二歩も離れた立ち位置からタクトを振る必要があるのだ。

しかし自分が行わないサービス行為の評価を行うためには、一通りその内容を知る必要があるし、実際に行われているサービスの問題点や改善点はしっかり見えなければならない。そのために援助技術の基本理解は不可欠で、そのことさえも事業者や直接介護に携わる職員に丸投げするわけにはいかない。

ここのさじ加減が問題である。

介護支援専門員は資格を得る条件として保健・医療・福祉の実務を5年以上経験している者だから、それぞれに得意分野はあるし、前職に関連する業務なら自信で行うこともできる。利用者の担当ということでマルチな働きを求められることもある。

しかし自在にタクトを振って、結果として利用者のニーズに合致した質の高い暮らしを実現するためには、あえてできることも「しない」で、本来行うべき者は誰が適切か、ということをきちんと示しておく必要がある。

多職種連携が求められ、所属が違う多様なサービス主体をチームとしてまとめているという意味は、各自の専門領域で役割分担する必要性があるという意味なんだから、それぞれの事業者や担当者が、その中できちんと責任と義務を果たしていかないと適切なサービス提供にはならないのである。

例えば、通所サービス利用中に、急病になったが、家族がいない利用者の場合、通所介護事業所は担当ケアマネジャーに通院支援を求める場合がある。これって適切な方法なのか?

介護支援専門員は「何でも屋」ではないぞ。本来、急病時の通院支援というのは通所サービス事業者にもその責務はないし、介護支援専門員にもない。しかし緊急対応すべきは、その時利用していた事業者の責任範囲である。通所サービス利用中に救急搬送が必要となり、誰も付き添う人がいない場合は、まず第1義的には、そのサービスを提供していた事業者が「人としての責任」において対応するべきであり、その後の対応をどうするかという部分は、総合的に生活支援している介護支援専門員が中心になって具体的方策を考えるとしても、その場における通院対応は通所サービスの責任ではないか?本来業務ではないし、家族ができない場合はなんでもケアマネジャーに任せればよい、という考え方は「違う」という共通理解を形成すべきである。

そうでなければサービス提供している事業者の責任と義務が曖昧になって、ケアマネジャーにさえ任しておればサービス事業所は、自信の担うサービスさえ提供しておれば役割が果たせる、なんていう誤解が蔓延する。

居宅サービス事業所は、確かにそのサービス提供において専門技術を提供することにより、チームケアの一翼を担うが、チーム力が適切に機能し、利用者の「暮らし」が守られるためには、その及ぶ能力の範囲を狭め過ぎてはいけないのである。チームとして暮らしを支える責任を、チームを構成する全員が意識して、その能力を最大限に発揮するためには何が求められているかを考えた時、介護支援専門員を中心にしたチームケアの意味が、ケアマネジャーが保険サービスに関連しない業務も含めすべて対応すべきであるという考えは違っているといえる。

だから介護支援専門員は、ときには「できる」からといって「なんでもする人」になってはいけないと思う。

タクトを振るにあたって、その行為は誰がした方が利用者の暮らしが守られることに繋がるのかを考えるべきであり、神ならざる介護支援専門員が何でもしなければならないと考える方が、利用者の暮らしの破綻に繋がる可能性があることも考慮すべきである。

介護支援専門員に求められている役割はスーパーマンの役割ではなく、利用者に寄り添う人々の輪を作る役割なんだから、自分だけではない、様々な人々が寄り添える理解を広めることが重要である。

そんな思いを込めて、今日はあえて反論や批判が多いであろう方向から記事を書いてみた。だってケアマネジャーが事業者を育てないと、いつまでたっても自立しない事業所もあるんだから・・・。

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