関係者の方は既にご存じだろうが、介護サービスに関連して、事業者のミスでまた貴重な命が奪われてしまった。それも非常に悲惨な形である。

(東京新聞記事より抜粋)
24日午後5時ごろ、千葉県木更津市羽鳥野の介護施設「めぐみの家」敷地内にある屋外の駐車場に止めてあったワゴン車内で、同市貝渕一、無職宇田川美知子さん(81)が死亡しているのを介護施設職員が発見し、木更津署に届けた。同署は、炎天下で室温が上がった車内で熱中症で死亡したとみている。
木更津署によると、宇田川さんはデイサービスの利用者。施設から委託された男性(70)が運転したワゴン車で自宅に迎えに来てもらい、午前九時十五分ごろ施設に到着。ほかに四人の利用者が同乗していたが、宇田川さんだけが降車しないでいるのに気付かず、約8時間置き去りとなったらしい。宇田川さんは三列シートの一番後ろの座席に座っていた。同署は、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
夕方になって、利用者を帰宅させるために職員がワゴン車を見に行き、宇田川さんに気付いた。


過去にも介護サービスをめぐっては、特養で特浴搬送用のストレッチャーから転落死亡する事故や、特浴の温度調整がずさんで火傷を負わせ死亡させた事故や、通所介護の送迎車のリフトから転落し死亡した事故などがあり、このように介護サービス関連で事故が起こった場合、当施設・事業所でも同じ間違いを犯さないように、事故内容を職員に周知して、原因を考え、対策を講じるようにしており、この死亡事故についても同じように周知した。しかし今回の死亡事故に対する職員の反応は今までの事故の周知の際とは全く異なったものであった。

それは「こんなことあり得ない」という反応であり、どれだけの不注意をすればこんな事故に繋がるのだろうと考えてしまうほどの想像範囲外であるという反応である。

送迎委託で、直接サービスに関わっていない70歳の運転手が一人で送迎対応していたとしても、自分が実際に車両に乗せた利用者を(被害者は足が不自由で自力で歩けなかったそうだから当然、乗車介助もしているはずである)わずか5人しか乗せていない車両から降ろすのを忘れた、ということも信じられないが、当該通所事業所の不注意もそれ以上に信じられない。

ワムネットで調べたところ、当該通所介護事業所は12名定員である。いくら被害者が臨時利用であったとしても、わずか12名の当日の利用者の顔が浮かばない事業者はどうかしている。点呼をしないから気づかないという状況でもないだろう。あまりに機械的にサービスを提供していたんではないのか?

せめてその日に利用する一人ひとりの顔を思い浮かべながら、玄関で迎えるサービスでなきゃあ・・・。その時、送迎車から降りてこない人に気づくサービスでなきゃあ嘘だろうに・・・。

普通なら事業所に到着後にバイタルチェックが当然行われるであろうし、その時に利用予定者がいなければ気づくだろうに・・。百歩譲って、何らかの事情でその際に気がつかなかったとしても、昼食は人数分用意しているはずで、その時にも一人欠けていることになぜ気がつかないのか?こういうことを考えると、この事業所の普段のサービス内容や経営理念はともかく、介護サービスを提供するという組織としての責任感や運営方法に大きな欠陥があったと言わざるを得ない。

それにしても、このような事故で命を失ってしまった方は本当にお気の毒である。本来そこでサービスを受けることは楽しみであるはずだ。仮にそう感じてはいなくとも、そこで命に係る危険があろうと思いながら利用している人はいない。それなのに、本来人の豊かな暮らしを守るためにあるべき通所介護に行ったのに、わずか5名しか乗っていないワゴン車から自分一人が降ろしてもらえず、灼熱の車内に8時間も放置されてしまった。寂しく怖かったろう。さぞ苦しかったろうに・・・。

人生の最期の瞬間をこんなつらい思いをしなければならなかったなんて、そんな状況で生涯を終えなければならなかったなんて、なんともやりきれない。

我々は高齢者の方々に関わりを持つサービスに従事しているんだから、利用者さんの死という時期がサービス終了時期であるという例が数多くある。そうであるがゆえに、我々は関わりを持った瞬間から、最期の時を安らかに迎えるために日々ベストの対応に心がけようという気持ちが必要で、それが「ADLからQOL、そしてQODへ」という考え方である。

しかし死の瞬間が、こんなに寂しく、哀しく、つらい状況でるとしたら、そしてそれが介護サービス事業者の不注意でそのような状況が作られているとしたら、あまりにもそれは罪深いことである。

我々が施設で看取り介護に係る際の理念として、マザーテレサの「人生の99%が不幸だとしても、最期の1%が幸せだとしたら、その人の人生は幸せなものに替わるでしょう。」という言葉の実現を目指そうとしているが、今回の事故死のケースは、これとは全く逆の状況を生んでしまっていると言わざるを得ず、その過失責任は重大である。

今はただ亡くなられた方のご冥福をお祈りするしかない。深く、深くご冥福をお祈りするしかない。こんなことが2度と起きませんようにと祈りながら・・・。合掌。

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