なんだかんだと慌ただしく午前中の業務に追われた。午後からは当法人の改選理事会がある。そのため今日はゆっくり記事を書いている余裕がないので、先日「施設系ケアマネジメント」について講演を行った際に、事前資料として作成したものを皆さんにもご紹介して今日の記事に替えたい。内容は、かねてよりこのブログ記事に書いているものをまとめたものである。
(テーマ)施設系ケアマネジャーの業務と役割から考えるポジティブプラン。
(施設ケアプランと居宅ケアプランの相違点)
施設のケアプランのあり方を考えるとき、介護保険制度における居宅サービスのケアプランと、施設サービスのケアプランの構造上の相違点を理解せねばならない。
つまり居宅サービスのケアプランとは、利用者の生活課題を解決するための目標を達成する手段として複数の種類の異なるサービスを利用者に結びつけることがまず必要とされ、そのため介護サービスの種類決定とスケジュール管理を主な内容とした「居宅サービス計画」(居宅介護支援事業所の介護支援専門員によるもの)と、それに位置づけられた各サービス事業所で実際に利用者にどのようなサービスを提供するかという個別支援計画としての「各事業サービス計画」(各サービス事業者の計画担当者によるもの)の二重構造である。
一方、施設サービスの場合は、単品サービスであるがゆえに施設サービス計画の主な内容は施設内で行う施設サービス計画=個別支援計画となる。これは居宅サービスにおける二重構造のケアプランと比較したとき、居宅介護支援事業所のプランよりむしろ各サービス事業者のプランに近い概念となるであろう。この構造は特定施設とグループホームのケアプランも同様である。
そう考えたとき、施設ケアプラン(特定施設計画とGH計画を含む)とは単に利用者と施設のルーチンワークを結びつける役割を担うだけではなく、利用者にとって必要なサービス内容をあらたに作り出す視点など、時には現在のサービスのあり方を変えていく役割も持つものであるといえる。
※なお特定施設は本体施設が別にあって、その本体施設のサービスには入っていない個別の介護サービス部分を特定施設として外付けしているので、ここのみ居宅サービスとしているもので、グループホームに至っては暮らしの場としての施設そのものであるが、介護保険制度上で施設サービスとしてしまえば民間営利企業等の多様な事業主体が経営参入できないため、便宜上、この法律においてのみ「居宅サービス」として区分しているに過ぎない。診療報酬の算定ルール上は、特定施設もグループホームも、特養と同様「居住系施設」と区分されている。生活形態を考えると「在宅サービス」ではなく「施設サービス」と考えても良いもので、ケアプラン作成の方法自体は施設ケアプランと同様である。
(介護支援専門員の位置づけ〜ソーシャルワーカーとして)
介護支援専門員は、利用者が抱える生活課題を解決するための具体的支援方法を立案するチームの中心である。
例えば施設におけるサービスのスタンダードを変えなくとも個別の方法を組み込む必要も出てくる。つまりケアプランは、何をする、ということだけでなく、個別の利用者に対する施設のサービス内容が利用者ニーズに照らして「これで良いのか」という部分まで踏み込まざるを得ない。
そうなるとサービス担当者会議で議論される内容も、こういう課題に対し、こういう対応を行なうことにより目標を達成することができる、という視点をベースに、ケアの展開過程を精査することになる。このとき必然的にその視点はケアサービスの品質向上に繋がる業務の見直しにまで及ぶ場合があり「これしかできない」という前提でのケアカンファレンスは、ケアプランを施設の都合に合わせて文言化する形骸化したものにしてしまう恐れがある。
つまり介護支援専門員とはケアマネジャーと言う以前に、ケアマネジメント技術をしっかり持つソーシャルワーカーであり、ケアプランは使いこなす道具の一つであり、その役割は施設サービス全体のコーディネート役と言うことができ、単にケアプランを作る人に終わらない。時には施設サービスそのものの見直しを行う必要があり、ケアプラン作成責任者には、それだけの責任とともに新たなサービスを提言できる権限が必要とされる。
(施設ケアマネジメントとは何か)
わが国では介護保険制度とケアマネジメントの導入が同時に提唱された結果、両者が一心同体のように捉えられがちである。
しかし本来それは別なものである。その誤解による混乱がどう影響したかを考えたとき、介護保険制度上、居宅サービスはケアプランによって現物給付化でき、給付管理によって各サービス事業所はサービス費を算定できることで、その役割を担う介護支援専門員の業務や役割を、ケアプラン作成と給付管理の一連の介護保険制度ルールに特化して考え、それがケアマネジメントであると誤解してしまう結果に繋がっているのではないかと思える。そしてその概念を施設の介護支援専門員の役割に求めたとき様々なミスマッチによる混乱が生じてしまうのである。
しかし本来のケアマネジメントは、こうした介護保険制度における居宅サービスのルールとは別に存在し、それは生活障害を持つ人々に対する支援において、要援護者の人権や尊厳を尊重し、自立や生活の質を高める志向や援助技術を持ったソーシャルワーカーが、生活障害のファクター相互の関連性を捉え、そこからニーズを抽出して利用者を側面から支援するという意味があり、これは介護保険制度以前から施設の相談員が担っていた役割と替わるものではないはずである。
施設の介護支援専門員の業務や位置づけは、居宅介護支援のルールから考えるのではなく、こうしたケアマネジメントの基本原則に立って考えられるべきで、そこから初めてソーシャルワーカーとしての介護支援専門員の役割や位置づけが見えてくるのではないだろうか。
今日の講演では、こうした施設ケアマネジメントの構造を明らかにしたうえで、ケアプラン作成の要点を考察し(講演1)、さらに踏み込んで講演2では、その向こうにあるはずの、利用者の「豊かな暮らし」を支援する方法や視点を明らかにします。
↑ここまでが今回の事前資料の内容である。なんだか自分の講演資料を転記しただけの記事で申し訳ないが、明日からは通常の記事更新に戻るつもりである。
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(テーマ)施設系ケアマネジャーの業務と役割から考えるポジティブプラン。
(施設ケアプランと居宅ケアプランの相違点)
施設のケアプランのあり方を考えるとき、介護保険制度における居宅サービスのケアプランと、施設サービスのケアプランの構造上の相違点を理解せねばならない。
つまり居宅サービスのケアプランとは、利用者の生活課題を解決するための目標を達成する手段として複数の種類の異なるサービスを利用者に結びつけることがまず必要とされ、そのため介護サービスの種類決定とスケジュール管理を主な内容とした「居宅サービス計画」(居宅介護支援事業所の介護支援専門員によるもの)と、それに位置づけられた各サービス事業所で実際に利用者にどのようなサービスを提供するかという個別支援計画としての「各事業サービス計画」(各サービス事業者の計画担当者によるもの)の二重構造である。
一方、施設サービスの場合は、単品サービスであるがゆえに施設サービス計画の主な内容は施設内で行う施設サービス計画=個別支援計画となる。これは居宅サービスにおける二重構造のケアプランと比較したとき、居宅介護支援事業所のプランよりむしろ各サービス事業者のプランに近い概念となるであろう。この構造は特定施設とグループホームのケアプランも同様である。
そう考えたとき、施設ケアプラン(特定施設計画とGH計画を含む)とは単に利用者と施設のルーチンワークを結びつける役割を担うだけではなく、利用者にとって必要なサービス内容をあらたに作り出す視点など、時には現在のサービスのあり方を変えていく役割も持つものであるといえる。
※なお特定施設は本体施設が別にあって、その本体施設のサービスには入っていない個別の介護サービス部分を特定施設として外付けしているので、ここのみ居宅サービスとしているもので、グループホームに至っては暮らしの場としての施設そのものであるが、介護保険制度上で施設サービスとしてしまえば民間営利企業等の多様な事業主体が経営参入できないため、便宜上、この法律においてのみ「居宅サービス」として区分しているに過ぎない。診療報酬の算定ルール上は、特定施設もグループホームも、特養と同様「居住系施設」と区分されている。生活形態を考えると「在宅サービス」ではなく「施設サービス」と考えても良いもので、ケアプラン作成の方法自体は施設ケアプランと同様である。
(介護支援専門員の位置づけ〜ソーシャルワーカーとして)
介護支援専門員は、利用者が抱える生活課題を解決するための具体的支援方法を立案するチームの中心である。
例えば施設におけるサービスのスタンダードを変えなくとも個別の方法を組み込む必要も出てくる。つまりケアプランは、何をする、ということだけでなく、個別の利用者に対する施設のサービス内容が利用者ニーズに照らして「これで良いのか」という部分まで踏み込まざるを得ない。
そうなるとサービス担当者会議で議論される内容も、こういう課題に対し、こういう対応を行なうことにより目標を達成することができる、という視点をベースに、ケアの展開過程を精査することになる。このとき必然的にその視点はケアサービスの品質向上に繋がる業務の見直しにまで及ぶ場合があり「これしかできない」という前提でのケアカンファレンスは、ケアプランを施設の都合に合わせて文言化する形骸化したものにしてしまう恐れがある。
つまり介護支援専門員とはケアマネジャーと言う以前に、ケアマネジメント技術をしっかり持つソーシャルワーカーであり、ケアプランは使いこなす道具の一つであり、その役割は施設サービス全体のコーディネート役と言うことができ、単にケアプランを作る人に終わらない。時には施設サービスそのものの見直しを行う必要があり、ケアプラン作成責任者には、それだけの責任とともに新たなサービスを提言できる権限が必要とされる。
(施設ケアマネジメントとは何か)
わが国では介護保険制度とケアマネジメントの導入が同時に提唱された結果、両者が一心同体のように捉えられがちである。
しかし本来それは別なものである。その誤解による混乱がどう影響したかを考えたとき、介護保険制度上、居宅サービスはケアプランによって現物給付化でき、給付管理によって各サービス事業所はサービス費を算定できることで、その役割を担う介護支援専門員の業務や役割を、ケアプラン作成と給付管理の一連の介護保険制度ルールに特化して考え、それがケアマネジメントであると誤解してしまう結果に繋がっているのではないかと思える。そしてその概念を施設の介護支援専門員の役割に求めたとき様々なミスマッチによる混乱が生じてしまうのである。
しかし本来のケアマネジメントは、こうした介護保険制度における居宅サービスのルールとは別に存在し、それは生活障害を持つ人々に対する支援において、要援護者の人権や尊厳を尊重し、自立や生活の質を高める志向や援助技術を持ったソーシャルワーカーが、生活障害のファクター相互の関連性を捉え、そこからニーズを抽出して利用者を側面から支援するという意味があり、これは介護保険制度以前から施設の相談員が担っていた役割と替わるものではないはずである。
施設の介護支援専門員の業務や位置づけは、居宅介護支援のルールから考えるのではなく、こうしたケアマネジメントの基本原則に立って考えられるべきで、そこから初めてソーシャルワーカーとしての介護支援専門員の役割や位置づけが見えてくるのではないだろうか。
今日の講演では、こうした施設ケアマネジメントの構造を明らかにしたうえで、ケアプラン作成の要点を考察し(講演1)、さらに踏み込んで講演2では、その向こうにあるはずの、利用者の「豊かな暮らし」を支援する方法や視点を明らかにします。
↑ここまでが今回の事前資料の内容である。なんだか自分の講演資料を転記しただけの記事で申し訳ないが、明日からは通常の記事更新に戻るつもりである。
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特養で相談員業務として、①請求業務②預かり金管理③新規入所者の面接、判定会の開催、入所時の対応④退所者の手続き⑤行政低続き代行⑥困難ケース対応⑦看取り対応等。
施設ケアマネとして、①入所者のケアプラン管理②認定調査③モニタリング等行っています。
相談員は3人体制ですが、一人はショートステイ担当、一人は産休明けで時間制限あり主に事務作業中心で対応。特養入所者は106名の為ショートステイ担当者が特養を兼務している形になってはいますが、実質は私一人がほぼ全ての特養業務とケアマネ業務を行っているのが実情です。
そもそも、生活相談員が利用者100人に一人の配置でよいとされていることに問題があるのに、さらに施設ケアマネも兼務してよいことになっている(相談員業務に支障がなければよしとされてはいるが)ことが業務負担を重くしている。
ケアプランありきの運営を行っていくのであれば、施設ケアマネは兼務ではなく、専従としないととてもできないし(入所者の人数にもよるが)、理想をいうのであれば、特養フロアーに一人ずつのケアマネがいてプラン立案、管理を行っていけるのが理想だと思う。
ただ、施設のケアプランには在宅のそれと違って、施設に入所してしまえばプランがなくてもサービスが提供され続けている現状がある。施設でのケアプランがなくても、食事、入浴、排泄の基本的な介助はフロアーで良いとされる方法で行われているし、それがケアプランと連動されていなくても生活は成り立ってしまっている。
施設でのケアプランが、利用者の状態に沿った適切な物であるには専従化が必要であると思うし、専従としている施設には加算対象になるくらいでも良いと考えるがどうであろうか。
悩める日々を過ごしています。