24年4月からの介護保険制度見直し議論の中で、地域包括支援センターの機能強化としての見直し案が具体化されてきた。

これは6/15の地域包括支援センター全国担当者会議において、厚生労働省が「介護予防事業」の見直し案を示したもので、それによると特定高齢者の予防プランは必要な場合にのみ作成するなど簡素化を図るほか、特定高齢者という名称も変更するとした。

そして要支援者に対する予防プランについては、居宅介護支援事業所に委託できる件数を拡大するとしており、その理由は「予防プランにかかる業務負担が大きく地域の介護支援専門員に対する支援を行うという本来の業務が不十分となっているから」であるという。

まったくふざけた話である。

18年改正で、居宅介護支援事業所から要支援者に対する予防プラン作成業務を取り上げ、それまで要介護1と認定されていた人の6割近くを要支援2に組み込み、一定地域の要支援者は選択性もなく地域包括支援センターが予防プラン作成することとして、その数にも制限を設けず、数百件もの予防プランを地域包括支援センターに丸抱えさせて、それらの人々に対しては自宅への面接訪問も3月に1回しかしなくてよいんだから機械的に予防プランを作れ、というルールにしたんだから地域包括支援センターは予防プラン作成作業に振り回されるのは分かっていたではないか。

それを今回「地域のケアマネ支援という本来業務をきちんと行うため」という理由で、委託件数を増やすという。介護支援専門員の作成するプランのアウトカムなど関係なしに、地域包括支援センターのご都合主義で、こういう問題がすべて決まってしまうというわけである。

その前に必要なのは、地域包括支援センターが要支援者に対する予防プランの作成主体を担って、居宅介護支援事業所のケアマネジャーがその下請けしかしていない現在の方法は予防プランの質の担保になっているのか、というアウトカム評価である。

本当に要支援者の予防プランは地域包括支援センターが主管しなければならないのか?その理由は何か?包括から居宅介護支援事業所への委託プランと、その管理という方法が適切に機能していたのか?

そしてもう一つ検証せねばならないことは、予防プランの委託件数制限を緩和した後、地域包括支援センターの職員が本当に「地域の介護支援専門員に対する支援」ができるのか、その能力があるのか、それが求められているのか、という問題である。

正直言って地域包括支援センターの主任ケアマネジャーも、保健師も、その任に堪えない資質の持ち主が存在しているぞ。地域の居宅介護支援事業所のケアマネより制度のルールを知らない人間もいるし、ケアマネジメントの技術も持っていない人がいるぞ。胸張って僕の事業所に指導しに来ることができる職員は何人いるのか?

居宅介護支援事業所も介護支援専門員も、随分コケにされたものである。それもこれも、この有資格者の全国組織と言われている日本介護支援専門員協会が国のひも付きで、現場の声を代表していないからだろう。なにかを主張しても「逆らえば研究補助金は出せないよ」と言われればそれまでである。こんな会に会費を上納する介護支援専門員がいる限り、この制度は良くならない。

もともと要支援者に対する予防プランを地域包括支援センターが主管しなければならないなんていう理由はないのだ。予防から介護(あるいはその逆)に変わるたびにケアプラン担当者が替り、ワンストップサービスが不可能になった弊害を考えるなら、予防プランを居宅介護支援事業所に委託するのではなく、その業務は居宅介護支援事業所の業務としてワンストップサービスの復活を図る方がよほどよい制度になる。

つまりは委託プラン数の上限を拡大するのではなく、予防プランも居宅介護支援事業所が作成できるようにして、利用者が担当事業所を選べるようにすべきなのである。

こんな簡単なこともわからない連中が制度をいじくりまわしていて、制度が良くなるわけがない。

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