当地域の認知症高齢者グループホームは、広域連絡会(登別市・室蘭市・伊達市)を作って、定期的に合同研修会を開催している。

このことは僕が地域密着型サービス外部評価調査員として管内のグループホームにお邪魔した折、多くの事業所がこの会に参加していることを聞いていたし、外部評価としても、そのことは「職員を育てる取組」「同業者との交流を通じた向上」「職員のストレス解消に向けた取り組み」等の項目で評価されているところである。

グループホームは、認知症ケアの切り札として登場し、優れたケアソフトを構築できる半面、事業単位が小さく、異種業者からの参入も多く、専門的な知識や情報が不足する側面を持ち合わせ、場合によっては「密室性」が懸念される。事業所の数が多いだけに優れたグループホームがたくさんあるのと同じくらい、ケアの貧困なグループホームも存在する。質の差が事業者間で大きいのが悩みの一つである。

そうしたグループホームにとって、このように所属事業所を超えた広域的な横のつながりを持てることは大きな意味があり、その中で定期的に合同研修会を行って、他事業所の職員と意見を交わす機会があることは意義深いと評価できる。場合によっては、こうした場での職員の「気づき」が意識の低い経営者を変えることができるかもしれない。

ところで今週金曜日(6月25日)午後6時30分から2時間の予定で行われる同研修会において(伊達市黄金・はまなす館)僕に講演依頼があった。「看取り介護」について学びたいというのである。

それは大変良いことだと思ったので、二つ返事で引き受け「グループホームにおける看取り介護を考える〜住み慣れた場所で暮らし続けるために」と題して120分間の講演を行うことにした。当日の参加者は70名程度と聞いている。(参照:masaの講演予定及び履歴

我々は高齢期の様々な方々と向かい合っているわけで、高齢者だからと言って我々自身と分けて考える必要はないとはいっても、人間の生命というものを考えた時、我々はいつかそれらの方々と、それらの方々が「死を迎える」という形でお別れしなければならない可能性が高いわけである。そうであるなら、我々の介護サービスとは「そこで暮らし、やがてそこで最期のときを迎えるまで、いかにその人が生命を持つ個人として尊重され、豊かな暮らしを送ることが出来るか」ということを命題とすべきで、それがQOL(Quality of life)からQOD(Quality of death)への視点転換であり、「暮らしの場」であるグループホームにおいても、そのことが重要であり、当然その延長線上にある「看取り介護」というものを考える必要があると思う。

特にグループホームは、小規模対応で、職員と利用者の濃厚な人間関係をケアサービスの基本としている「暮らしの場」であるはずで、職員と利用者の「心の絆」が重要になってくる。

そういう場で終末期を過ごすことも、利用者の思いに寄り添うという意味では大事なことなのではないかと思う。だからその方法論を、各事業所のサービス体制をマッチさせて、できる可能性を考えていくことは、利用者が安心してサービスを受ける、という意味からも必要なことだろうと考えている。むしろ各グループホームの基本理念をみても、最期まで暮らし続けられないグループホームであれば、それは矛盾した理念とならざるを得ないであろう。

ただしグループホームで「看取り介護」を行う場合には、医療支援体制や看護体制が十分整えられるか、という問題がある。

看取り介護の対象時期だからといって、医療支援を全く行わないということはあってはならない。積極的な延命治療は必要なくとも、安楽・安心のための医療支援は不可欠だし、医療的なサービスについて「何を行い、何を行う必要がないか」という問題は、医師による専門的かつ的確な判断が不可欠だ。安楽のための看護支援も同様に不可欠だ。何より、看取り介護に移行した途端、医師の診療が行われなくなるのでは、対象者の不安は増幅するだけである。治療が必要ない場合でも、医師や看護職員もまた、看取り介護対象者の傍らに寄り添っているということが求められているのである。

そうであれば医師の配置がなく、介護保険の訪問看護も使えないグループホームにおいて、外部の医療機関との連携、特に夜間の医師の支援体制がどうなのかは重要な課題である。

グループホームの「看取り介護加算」は医療連携加算を算定しているホームにしか認められず、医療連携加算の算定要件には、外部の訪問看護ステーションとの連携も含めて、何らかの形で看護師との24時間連絡体制や、一定の時間の看護サービスが義務付けられているが、看取り介護期間中の利用者対応を考えると、外部の訪問看護師等との連携だけでは不十分になる可能性が高い。

当施設での看取り介護実施中も、夜間の看護職員対応は必要な場合が多く、ホーム自体で看護師を雇用していない状況では医療行為の提供という部分を含めて、困難要素が多い。このことは大きな課題であると言えよう。

そうした医療・看護支援をきちんと構築したうえではないと、安易にグループホームで看取り介護を行うことは、場合によっては「見捨て死」(参照:見捨て死の現状)になりかねないということも指摘しておかねばならないだろうと考えながら昨日までの週末にファイルを作成した。

それでは管内のグループホームの皆さん。当日、伊達市黄金の「はまなす館」でお会いできることを楽しみにしています。

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