通所サービスについては、利用者数に対するサービス提供時間中の業務専従職員数が配置基準として規定されている。これは施設サービスで利用者数に応じた常勤換算職員数(雇用人数)を配置基準にしているのとは大きな違いがある。

つまり施設サービスであれば、例えば50人施設では、相談員は常勤専従1人が求められるが、その職員が休んで配置がない日があっても問題ではない。

ところが通所介護の場合の相談員配置規定は常勤専従者の雇用配置状況をみるのではなく「指定通所介護の単位ごとに、その提供を行う時間帯を通じて専ら当該指定通所介護の提供に当たる生活相談員が一以上確保されるために必要と認められる数(厚生省令第三十七号第九十三条)」とされ、サービス提供時間中に常に1名を配置している必要があり、しかしそれは常勤職員でも非常勤職員でも構わないという規定である。

よって相談員が公休であれ、病欠であれ、出張であれ、その理由を問わず休んで配置がされない状態での運営は認められておらず、相談員が休んだ場合は、この者に替る相談員配置をしておらねば運営基準違反である。

ところが、ある地域で「提供時間(6〜8時間)を通じて相談員が一名配置の日について、その相談員の休憩時間(昼休憩45分間)に相談員がいないので、人員基準を満たしていないため運営基準違反である。」という実地指導がされたという情報が表の掲示板に書き込まれた。

こんな指導はあり得ないと思った。なぜなら相談員がサービス提供時間中に昼休みをとらねばならないのは、労働基準法に照らせばあたり前で、その時間に別の相談員配置が必要なら、通所介護事業所ではすべてのサービス提供日に相談員を2名配置しておかねばならないことになる。現行の通所介護費基準で、そのような厳しい配置基準を求めているわけがない。そうなれば介護職員だって、昼休みをとっている職員を除いても配置基準を満たす人数が常に必要になってしまう。こんな基準はおかしい。

これは施設サービス等の夜間配置職員の基準を考えても理解できることで、夜勤者の配置人数の規定は夜勤帯に利用者数に応じた一定職員配置数が求められているが(そういう意味で、夜間に限って言えば通所サービスの規定と同様と言える)、その最低基準配置数を満たせば、夜勤者が休憩時間を勤務時間内にとっても(とらねばならないから休憩時間や仮眠時間があるのが当然)その時間、夜勤者が業務従事していないからと言って、別に代替職員配置を求められてはいないし、運営基準違反でもない。だから昼休みに別職員を配置せよという指導は「行きすぎ」であることは間違いないのである。

夜間職員配置加算でさえ平成21年4月改定関係Q&A Vol.1において「通常の休憩時間は、勤務時間に含まれるものとして延夜勤時間数に含めて差し支えない。ただし、大半の時間において仮眠をとっているなど、実態として宿直に近い状態にあるような場合についてまで含めることは認められない。」とされているのである。

つまり、通所サービスにおける配置職員の昼休みも「通常の休憩時間は、勤務時間に含まれる」という考え方で制度開始当初から運用されているんだ。だからこの変な指導は、途中から介護保険を担当した「おバカな小役人」が思いこみ・妄想に基づく不適切な指導をしているに過ぎない。しかしこういう手合いに限って、そういう間違いを認めないので、僕は全国老施協に動いてもらって正しい情報を流してもらおうと考えた。そのために老施協110番という目安箱があるので、それを利用して、国から正式に見解を示してもらうように次のような質問をした。

(問い)
(1)通所サービスの休憩時間帯における職員配置について
基準第93条に定める従業者の員数について、同条第1項の生活相談員および第3項介護職員の配置に関する条文で、“サービス提供時間帯を通じて専ら”という表現がされていますが、労働時間が6時間以上であれば休憩を与える旨の労働基準法を考慮した場合、サービス提供時間帯が6時間以上の事業所では、当然、休憩時間がサービス提供時間内に生じてきます。
この休憩時間の部分に対しても定員規模に応じた人員配置は必要と考えるべきでしょうか?
必ず必要であるならば、少なくとも生活相談員を行うことのできる有資格者を基準配置以上に置くと同時に、他の職員休憩も考慮して、相当数の職員を余剰に配置しなければ、休憩時間帯における生活相談員及び介護職員の配置は困難であると考えます。
(一般的にサービス提供時間が終了した後に休憩を与えるということは、無理がある。)
休憩に対する行政の対応も異なり、利用者と一緒に食事をしていれば…という表現をされる方もありますが、労働基準法の休憩に対する解釈と大きく乖離しており、休憩とはみなされないと理解をしております。

(2)サービス提供時間帯に限定して雇用する非常勤職員の取扱いについてサービス提供時間が9:45〜16:00(6時間15分)の事業所について、変更申請書面の勤務割表を提出した際に常勤職員であれば、8時間と表示し、サービス提供時間に限定して雇用している非常勤職員(9:15〜16:15で雇用)は、休憩を除いて6時間と表示しますが(1)の疑義にも関連しますが、休憩時間を含めれば、サービス提供時間はクリアしているにも拘らず、非常勤はサービス提供時間を割っていると解釈されてしまうのですが、サービス提供時間内の状況は常勤、非常勤に変わりは無く、2時間の差はサービス提供時間外のことであり、非常勤であってもサービス提供時間帯を通じて専らという条件は満たしていると解釈していますが、この非常勤部分についての見解は如何でしょうか?

その結果、老施協が次のように回答してくれた。

(答え)
サービス提供時間帯に専従とされる職員が他の業務で外出する等、業務時間中の一定時間、当該サービスに従事しないことが明らかである場合には、人員配置基準違反となると思われますが、労働基準法上の休憩にあたる範囲(常識的な範囲)での休憩時間について、別途、相談員の増配置を要するような解釈は通常ではなく、少なくとも労基法上定められる水準(時間)の休憩時間であれば、「サービス提供時間に専従」と考えてよいと思われます。

(1)また、かかるサービス提供時間帯の専従要件については、常勤・非常勤によってその解釈が異なるものではありません。従って、非常勤職員の場合であっても、上記の考え方(休憩時間に関する取扱い)が同様に妥当であると考えます。
(2)もっとも、休憩時間帯の取扱いについては、その取扱いについて特に通知やQ&A等で示されておらず、行政(担当)と解釈が異なる場合は個別の調整が必要と思われますが、ご指摘の通り都道府県、保険者等で解釈が異なることは問題が大きいと認識しております。

以上。結果は考えていた通りのものであるが、しかしこの回答に僕は大いに不満である。

そもそも老施協110番と看板を掲げている場所は単なるネット掲示板なのか?僕が中田会長に直接聞いた話によると、ここは現場の困った声を集約して、国にアクションを起こしていくことを目的としていると言っていたぞ。そのとき中田さんは「皆さんの声が国に届くようにするので、何かあったら老施協110番という場所もあるので利用してください」と言っていたぞ。だから僕の施設の公式サイトトップでも、これを紹介しているんだ。

そうであるがゆえに僕が求めているのは、このような老施協の回答ではない。求めているものは、国の考え方をきちんと公に情報として流して変な指導はいかんとアナウンスしてくれというものだ。単に老施協の担当者が僕に回答する程度のことなら、僕の管理する情報掲示板で僕が答える方がよっぽどましである。

もちろんこの回答は国の担当者にも確認したうえで、情報として答えていることは、回答までの一連の動きで僕は分かっているが、第3者がみれば、これはあくまで老施協の見解にしか見えない。110番という大層な看板を掲げているんだから担当者がネット掲示板のまねごとをしても始まらん。もっと現場の会員に役に立つ形で情報提供してもらわんと意味がない。

問題が大きいと認識しているなら、その解決の具体的なアクションを起こすのが職能団体だろう。しかも参議院議員を出している団体ではないか。そのようなアクションさえ起こさないのなら、会を挙げて特定候補者を応援する意味などなくなる。

老施協110番よ、110番の看板を下ろさないのなら、そういうアクションも求められるんではないかい。

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