4月15日、介護施設関係者には衝撃にニュースが流れた。

宇都宮市平出町の介護老人保健施設「宇都宮シルバーホーム」で、20代の複数の介護職員が、認知症の入所者が上半身裸で四つんばいになっている姿を携帯電話で撮影したり、入所者の顔に落書きするなど、虐待の可能性がある行為を行っていたというのである。

その内容もひどいもので、同法人によると、これらの行為は2年前〜昨年末にかけてあり、認知症の女性の姿を携帯電話で撮影したのは、女性介護職員。自立歩行ができずに、ベッドの下で四つんばいになっている姿を撮影し、同僚たちに見せて笑ったという。このほか、別の介護職員2人が、認知症の女性入所者の顔にペンでひげを書き、携帯電話で撮影したというのである。

同法人が3人の介護職員に聞き取り調査をしたところ「親しみを込めてやった。かわいかったから」と話したという。同法人は3人を訓戒処分とし、始末書を提出させた。 また、男性介護職員は、90代前後の女性入所者を車いすからベッドに移す際、高く持ち上げて乱暴に落としたという。この男性介護職員は既に依願退職している。これだけでも重大な問題なのに、この問題はこれだけで終わらず、さらに重大な問題を引き起こしている。

それは同法人が、このことについて一旦は虐待があったとして謝罪したものの、その後態度を一変させ、90代の女性を高く持ち上げベッドに落とした行為について「乱暴に落下させてはいない」と強調。 上半身裸の写真を撮影するなど一連の行為で「精神的な苦痛を受けた入所者もいるのでは」との質問に対し、尾崎理事長は「悪意がなかったため、(虐待に)当たらない」との見解を示したのである

このような人間の尊厳を犯すような行為について悪意がないから虐待ではないという理屈が社会常識として通用するのか大いに疑問であり、行われた行為は明らかに「人を傷つける行為」以外のなにものでもないし、仮にそのことに気がつかず「善意」のつもりで、この施設の職員がそのような行為を行っているとしたら、相当な馬鹿としか言いようがない。そういう馬鹿な意識を放置した施設管理者の責任はより大きく問われるだろう。

しかし第三者がこの問題を調査したら必ずこのような行為は「虐待」であるいう常識的判断が下され、社会から痛烈な批判が起きることは免れないだろうと思っていたら、その期待も裏切られた。

4月30日に宇都宮市が、市の見解として、職員の行為は虐待には当たらないものの不適切で、職員教育も不十分だったなどとして、同施設に介護保険法に基づく改善勧告を行った、というのである。

このような人権無視の行為を行っていて、これが単に不適切行為であって虐待ではないと考えるとしたら、この国の虐待の垣根はずいぶん高くて、人権意識はずいぶん低いんだろう。そんな国の施設に入所させられている人々は不幸であるといわざるを得ない。なぜこれをきちんと「虐待である」と認定し糾弾し、2度とこのような行為を犯さぬように国全体で考える方向に持っていかないんだろう。こういう施設に対してこそ「指定取り消し」を行うべきである。(老健だから許可取り消しか?)

どちらにしても、当該施設の管理者はじめ役員諸君、職員の皆さん、自己保身に走る前に、自らの良心に基づいて何が起きたのかをきちんと明らかにしてほしいものだ。

そもそも介護職や看護職や福祉援助者を目指した動機は何でしょうか。自分が人の幸せに結びつく援助に関わることができ、我々が向かい合う一人ひとりの方の幸福感や笑顔を作り出すことができることが我々のモチベーションではないのか。

人の大切な顔にいたずら書きをして喜んでもらえると考える人がどこの世界にいますか。介護施設にだけ存在するとしたら何と特殊な世界なんでしょう。裸の上半身の写真を意味もなく撮影されて何が嬉しいなんておかしすぎる。そんな正常な感覚さえも失ってしまう現場が我々のサービスなんだろうか?恥を知るべきは誰か、真剣に考えてほしい。

この問題を同考えるのか緊急アンケートを実施したい。是非回答に協力願います。
介護・福祉情報掲示板(表板)

(↓1日1回プチッと押してね。よろしくお願いします。)
福祉・介護人気blogランキングへ
(↑上のそれぞれのアドレスをクリックすれば、このブログの現在のランキングがわかります。)