(昨日からの続き、とクイズの答え)

それともう一つは「ショートステイにおける相当期間未満の利用」である。

(※これが答えです。皆さんの答えはあっていましたか。簡単すぎました?それともひねくれた出題過ぎました?:笑:昨日のコメント欄に回答を寄せてくださった方については、本日そのコメントへの回答も昨日の記事のコメント欄に書き込みましたのでご覧ください。)

この期間については解釈通知老企25号で「相当期間以上とは、概ね四日以上連続して利用する場合を指すこととするが、四日未満の利用者にあっても、利用者を担当する居宅介護支援事業者等と連携をとること等により、利用者の心身の状況等を踏まえて、他の短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて、必要な介護及び機能訓練等の援助を行うものとする。」と定められている。

この場合の「概ね四日以上連続して」の解釈であるが、これは概ねだから「4日に満たない3日連続でも必要性があれば作成が求められる場合がある」とか「月数回の利用であれば、2回目以降は2日や3日利用でも計画を立てる必要性がある」とする考え方があるが、それは法令的には間違いである。

なぜなら解釈通知では後半部に「四日未満の利用者にあっても〜短期入所生活介護計画を作成した利用者に準じて」という文言となっている。つまり概ね四日未満ではなく、四日未満としている点に注意が必要であり「概ね四日以上連続して」という表現とは明らかに違っており、明確に四日未満の利用者については、計画作成した利用者に準ずる必要はあるものの、計画については必要ではないと定めているのである。

では「概ね四日以上」という文章の「概ね」の意味は何か?これは仮に4日連続利用であっても状態が不安定などでアセスメントがその期間で確定できない場合は、計画を立てられないことを考慮した文言で、4日以上連続することをもって必ずショートの計画が必要という意味ではなく、相応の理由があれば作成できなかった場合も「概ね」の範囲の中で認めるという意味である。

指導担当者等の法令理解が不十分なまま、一律機械的に4日連続利用のショート計画がない場合の指導が行われる際は、こうした理論武装をして事業者側の反論する必要がある。4日未満については明確に「作成義務はない」と書かれている以上、「概ね」の意味は4日以上の場合にしか適用されないという意味にしかならないのが明白であるからである。それは現実のサービスにおいて、想定外の計画困難ケースがあり得るから、こうした「概ね」というファジーな文言になっているという意味でしかないのである。

ただしこれは、あくまで法令解釈上の問題であり、プランの必要性を利用者と事業者それぞれの立場で、法令以外の意味(例えば利用目的の理解のため、どういうサービスが提供されるかのコンセンサス形成のためなど)から鑑みれば、できるだけ短期間の利用であっても計画作成するメリットがあると考えることも大事な視点である。つまり、それとこれは別問題で、法令さえ守れば良いサービスとなるわけではないという視点が一方では必要なのである。

介護計画とは何も指導担当者を満足させるためにあるわけではなく、実際のサービス提供に必要なツールとして活用することに意味があるのであり、活用されず、サービス事業所にも利用者にも意味がない計画であれば、それは作成するたびに「無駄」を生みだし、貴重な時間を「無駄に使う」ということに過ぎなくなってしまうからである。

どうせ作らねばならないものであれば、無駄にしないで有効なツールにする必要があるのだ。そうしないと計画作成のたびに無駄な作業時間が生ずることになって、介護サービスの現場で、多大な事業損失が繰り返し生まれてしまうことになる。

だとしたら逆に考えると「活用できる計画」を立案している事業所においては、こうした無駄が生じないだけではなく、プランを作成して活用することで、より個別処遇方針が明確になり、現場の意思統一が図れ、サービス提供はスムースになり、従業者にとってもそのことは便利であるし、サービスの品質も担保できる、というメリットと考えられ、法令で定められた作成義務がある期間でない利用でも「計画を作ったほうが良い」という結論となる。そこで作られるプランは、まさに事業者にとって必要なツールとしての意味が生まれるわけである。

また、ケアプランの交付については、居宅介護支援事業所が作成する「居宅サービス計画」については基準省令において「介護支援専門員は、居宅サービス計画を作成した際には、当該居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しなければならない。」とし、利用者だけではなく「担当者」(計画に位置づけた各サービス事業所の担当者という意味)に対する交付義務も定めている。よって通所介護などを計画に位置付けている場合、通所介護事業所から求められなくとも、計画担当介護支援専門員は自らが立案した「居宅サービス計画」を通所介護担当者に交付しなければならないもので、これを行っておらねば運営基準違反である。

一方、施設サービス計画書については「計画担当介護支援専門員は、施設サービス計画を作成した際には、当該施設サービス計画を入所者に交付しなければならない。」であり、各居宅サービス事業所の計画も「サービス提供責任者は、訪問介護計画を作成した際には、当該訪問介護計画を利用者に交付しなければならない。」(訪問介護計画)・「看護師等は、訪問看護計画書を作成した際には、当該訪問看護計画書を利用者に交付しなければならない。」(訪問看護計画)などのように、あくまで利用者に対する交付義務があるだけで、かならず居宅介護支援事業所の担当介護支援専門員に対して交付が必要と定めているわけではないことに注意が必要である。

よって介護支援専門員は、それらの情報提供を法令義務として居宅サービス事業者に求めるのではなく、サービスチームとしての総合的援助方針を理解する上で必要な情報として、あるいはサービス担当者会議等で必要な情報を収集する機能と役割として「各サービス事業の計画交付」を求める、という理解が必要であり、情報として適切であれば計画書そのものを出させる根拠も必要性もないという理解が一方で必要である。

このことを考えた場合、法令根拠は大事であるが、チームワークを形成するためには、何もかも法令に根拠を求めるのではなく、チームとしての在り方という「自律的規範」や「メンバー双方の思いやり」という目に見えないものが要素として必要だという意味になる。法令を杓子行儀に解釈して「法令に書いていること以外はしない」という態度では、チームケアはできないが、その前提は法令を正しく解釈したうえで、チームケアに必要な方法論を法令の上に積み上げて考えるという態度が必要である。

よって、この部分でリーダーシップをとるためには、支援チームの要としての枠割を持つ介護支援専門員が、チームの中で誰よりも法令を理解している必要があるということにもなる。

このように日ごろ理解していると思えていた点でも、基準省令や解釈通知をあらためて確認することで、その根拠が明確になったり、法令理解に誤解があった点などが見えてくるかもしれない。

是非、基準省令等を一度読み返してみよう。

※なお昨日から本日のこのブログのクイズは、かのnarisawa師匠のアドバイスがなければ成立しなかったであろうということを最後に申し添えておきたい。僕にはこうした「法令の読み方の達人」が力を貸してくれているのであり、大変心強い限りである。皆さん、表のサイトのリンク集からnarisawa師匠のサイトにとんで、彼の著書も是非購入してください。

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