介護保険制度の各種サービスは計画利用が基本原則となっており、この制度によって「ケアプラン」という言葉が業界の標準語になっている。

しかしケアプランといっても、大きく区分すると3種類ある。それは

1.居宅サービス計画(居宅介護支援事業所の介護支援専門員が作成)
2.施設サービス計画(介護保険3施設の介護支援専門員が作成)
3.各居宅サービス事業所によるサービス計画(例えば訪問介護計画・通所リハビリテーション計画など:各サービス事業所の計画担当者が作成)

1と2は国が標準様式を規定しており、3にはそれがなく自由な書式で計画を定めることができる。

しかしだからといって1と2の内容が類似しているかといえば決してそうではない。むしろプラン作成方式は2と3が類似の関係にある。それはなぜか?基準省令等からそのことを読みとってみよう。

1は基準省令38号第12条8に「アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組合せについて検討し、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、提供されるサービスの目標及びその達成時期、サービスの種類、内容及び利用料並びにサービスを提供する上での留意事項等を記載した居宅サービス計画の原案を作成しなければならない。」とされ、基本的には「最も適切なサービスの組合せ」のサービススケジュールを決める内容が主となる。つまりこれは『介護の全体計画』であり、どのような支援が必要かを明らかにするものである。

一方、2は基準省令39号第12条5で「入所者の家族の希望を勘案して、入所者及びその家族の生活に対する意向、総合的な援助の方針、生活全般の解決すべき課題、指定介護福祉施設サービスの目標及びその達成時期、指定介護福祉施設サービスの内容、指定介護福祉施設サービスを提供する上での留意事項等を記載した施設サービス計画の原案を作成しなければならない。」であり、つまりは施設サービスにおける『個別処遇計画』を主たる内容にするものである。

3について考えてみると、例えば訪問介護計画は基準省令37号第24条1で「利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて、指定訪問介護の目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容等を記載した訪問介護計画を作成しなければならない。」と定めているように、他の居宅サービス計画でも同様に「具体的なサービスの内容」という形の『個別処遇計画』が中心になるものである。

つまり内容としては、1は利用する介護サービスの種別と事業者を選択して組み合わせ、利用スケジュールを計画する「全体計画」であり、2と3は、それぞれのサービスの機能を利用者に直接結び付ける「個別処遇計画」であるという点で、1と2及び3は異なり、2と3は同様である、といえるものである。

しかし前述したように1と2は標準書式が定められており、3には標準書式が定められていないという点では違いがある。1と2の標準書式では生活課題を解決するための長短期目標を立てて、総合的援助の方針を明示する必要がある。しかし3は標準様式がないからそれらの内容の記載は必要ないかと言えばそうではなく上記のように基準省令で「目標、当該目標を達成するための具体的なサービスの内容」を記すべしとして、目標の記載は必須で、これが記載されていない場合は実地指導の際に是正指導が行われる。

また特定施設やグループホームは介護保険制度上は「居宅サービス」に位置づけられており、その計画は3に該当するものであるため、施設サービス計画のような標準書式は指定がないが、その計画は特定施設やグループホームの中で「営む生活」という中で展開されるサービスであるから、その計画内容は施設サービス計画と同様である。
(参照:グループホームは在宅であるという誤解

また具体的サービス内容も例えば短期入所生活介護であれば省令37号130条において
1.一週間に二回以上、適切な方法により、利用者を入浴させ、又は清しきしなければならない。
2.利用者の心身の状況に応じ、適切な方法により、排せつの自立について必要な援助を行わなければならない。
3.おむつを使用せざるを得ない利用者のおむつを適切に取り替えなければならない。
4.離床、着替え、整容その他日常生活上の世話を適切に行わなければならない。
5.滞在中の生活の継続性に配慮した生活全般の具体的支援方法(行事や日課等を含む)

と定められており、3については、それぞれのサービスごとに定められた運営基準上で定められているこれらの内容が「具体的なサービスの内容」として網羅されている必要があると言え、基準省令の各サービス事業所に求められている最低基準を確認しておく必要がある。

また居宅サービスの場合は、居宅介護支援事業所の「居宅サービス計画」と各サービス事業所の「サービス計画」がセットで利用者にそれぞれ合意を得てサービス提供する仕組みとなっているが、後者の各サービス事業の計画については、作成義務がないサービスがある。
(介護支援専門員の有資格者なら、このサービスが何か全問正解でなくとも、1つや2つはパッと頭に浮かべなければならない!!)

計画を作成しなくてよいサービスとは「居宅療養管理指導」「住宅改修」「特定福祉用具販売」「福祉用具貸与」と「訪問入浴」である。サービスが一定行為に特化しているために「具体的なサービスの内容計画」が求められていないものであろう。

※正確に言えば介護保険法第8条に「居宅サービス」の定義があり、「住宅改修」は含まれておりませんが(narisawa氏にご指摘ただきました)、今回のクイズでは介護保険の給付対象サービスのうち、ケアプランが必要ではない、という意味で含めて書いています。

それともう一つは・・・。
(※明日に続く。さて、ちょっとしたクイズです。「それともう一つは」に続く文章を考えてください。答えが分かった方はコメント欄に記載してください。答えは明日の記事更新で、お楽しみに!!)

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