今晩、認定審査会が予定されている。僕にとっては今年最初の審査である。12月の僕の所属合議体の審査はなかったので、2月ぶりの審査である(とはいっても今月は来週と2週連続なのだが)。ということで(どういうことだ、という突っ込みは無視します。)今日の記事は認定審査会に関する内容にしようと思い立った。

介護保険制度上の各種サービスを受けるためには「認定」を受けることが必須である。(特定高齢者の介護予防事業を除く)

そして要支援あるいは要介護の認定を受けるに際しては、申請後に認定調査を受けることと、医師の意見書を書いてもらうことが必須である。両者とも申請者の費用負担はない。

認定調査は、市町村の調査員が申請者の都合に応じて自宅まで訪問調査に来てくれるから、さほど負担になることはないが、医師意見書については実際に医療機関で診察を受けた結果作成することになる。

この場合、普段から「かかりつけ医師」がいる場合は、その医師に依頼すれば意見書を書くためだけの受診は必要ないが、問題となるのは、普段医療機関に受診していないなどで「かかりつけ医師」がいない場合である。その場合、市町村が意見書を書く医師を紹介してくれるが、意見書を実際に書いてもらうためには診察行為が必ず必要で、受診をしなければならない。申請してサービスを受けるためには、そのことは当然だろう、自己責任だろうと言われるが、しかしこのことがネックとなり必要な時に、必要なサービス利用に結びつかない事例がある。

例えば在宅独居の高齢者が、認知症の初期段階が疑われて、生活が成り立たなくなった場合に、家事援助等のサービスを早急に導入したい場合でも、かかりつけ医がいないと医師意見書の作成の為の受診が必要となる。当座、早急にサービスを利用するために受診を勧めても、本人に認知症の自覚がない場合や、生活上の問題に不便の自覚がない場合、受診を拒否して思うように意見書作成に繋がらないケースがある。しかし時間は待ってくれないので、日に日に生活上の困難が積み重なっていく。

認定結果が出なくても暫定プランによるサービス利用は可能だと言っても、予防と介護の境界線のケース等、いつまでも要介護(あるいは要支援)状態区分が確定しないままでのサービス利用は難しい。このことは「改訂関係Q&A・vol2の52(暫定プラン)は机上の空論」で指摘している通り、実際にはサービス提供方法について認定結果が出ないと確定できないことによって暫定プランのサービス利用を拒む事業者がある実態があり、このことにも配慮すべきではないか。

さらにひどい例になると、意見書を書くための受診協力を得られないという理由で、申請自体をあきらめてしまうケースがある。地域包括支援センターに家族が相談しても「申請がまず先」「申請して結果が出ないと動けない」というように、地域包括支援センターの本来の役割を放棄するような対応も報告されているから問題は複雑である。(本来、そのような申請支援も地域包括支援センターの枠割だろうに。)

このような場合、意見書を書く医師が自宅に「訪問」するのが難しいのであれば、特例として、医師の意見書を要しない「認定調査」だけの「特例認定」という制度を作れないだろうか?

認知症の初期の場合は、専門医による確定診断や、専門的見地からのアドバイスが重要であるから意見書が必要なくても「受診」は必要なのであるが、介護サービスを実際に導入して、担当ケアマネやサービス担当者との関係が築かれ、とりあえず生活が支えられた後に、必要な受診につなげていく、という方法もあろうし、認定の為だけの受診強要で、そうした関係づくりさえできない、ということがあるとしたら、それこそ問題である。

初回認定の場合、認定期間は最長でも半年なのだから、この間の要介護度が医師の診断がない状態であっても特別大きな問題とはならないだろう。というより医師意見書自体が、さほど認定に重要なツールとなっているのか?という疑問もあり、このあたりの特例は柔軟に認めてよいのではないだろうか。

制度開始から10年たっているのだから、認定の方式も、実際に高齢要介護者が谷間なく救済できる方法に、すこしシフトを変えて行った方が良いと思う。特に認定審査は予防給付と介護給付という、サービスの方法が異なる方式に変更される以前にできた審査ルールであるのだから、見直しは必要だろう。

いつまでも現行方式が最善であるはずがないのだから、認定ソフトの見直しにかける経費やエネルギーを、審査方式の検証作業に「仕分け」した方がよっぽどいい。

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