先週金曜日に当地域における今年最初の「のぼりべつケアマネ連絡会・定例会」が行われた。
そこでは先日書いた記事「ケアプランの基本をケアマネ会で再検証。」の中でお知らせしたように、代表である僕自身の講演を約100分間行った。
受講した会員ケアマネは60名強であった。各事業所で実務に携わっている人々が対象であるということを十分意識したうえで、講演内容を考えたが、あえて「ケアマネジメントとは何ぞや」という「基本中の基本」の理解を促すとともに、そのうえで我が国の介護保険制度における居宅介護支援を中心にした「日本型ケアマネジメントモデル」の構造に触れながら、居宅介護支援事業所の「居宅サービス計画」と、各サービス事業所の「介護計画」の役割分担と、書くべき内容の違いなどを説明して、実効性あるケアプランの立て方の視点として、居宅介護支援と各サービス事業や施設サービス、それぞれの立場からどのように考えるかを説明させてもらった。具体的なサービス提供方法についても例示させてもらった。
受講された方が、その内容をどのように評価してくれるか、あるいは理解してくれるのかは今のところ定かではないが、ケアプランに最低限盛り込むべき内容や、逆にそこに書かなくてもよいこと、書くべきではないことなど、「あいまい」に理解していた部分が、わずかではあっても鮮明になったのではないかと思う。(※このあたりは本来しっかり理解してもらう必要がある事柄である。)
特に居宅介護支援に関して言えば「居宅サービス計画」という指定書式があるが、この指定書式の中に書くべき「総合的援助の方針」と「長・短期目標」の記載内容が、担当介護支援専門員によって様々で、著しい内容格差が見られる。目標と援助方針のマッチングが見えない計画書も多かった。
さらにいえば、同じ介護支援専門員の作成計画書であっても、ある計画書は総合的援助の方針として適切な内容が書かれているのに、別の計画書では援助方針が見えず、単なるアセスメント情報の羅列であったり、目標に書くべき内容を書いていたりする場合がある。つまり正しく何を書くべきかという理解が不十分であり、そのことを明確に意識できていないから、たまたま適切な表現で計画書が作成できることがあっても、全部の計画書がそうならないというレベルで終わっている介護支援専門員が多いという現状があるのだ。
僕が関与した地域の介護支援専門員の計画の中にも、居宅サービス計画のそれぞれの項目に記載されるべき内容とは何か、という基本部分が理解されていないと思われる計画書が多かったので、そのことを今回は「講演」という形の勉強会で具体的に明らかにしてみた。
以前の記事との重複ともなることを恐れず書くと、総合的援助の方針に書くべきこと、そのために必要な視点は
1.総合的援助の方針に記載されるべき内容とは、課題を解決するために目標達成をしていく先に、どのような「暮らし」が実現するのかという「ゴール」を明らかにしたうえで、そこに行くための「道」を示すもの。
2.介護サービスを提供するチームメンバー全員が共有すべき全体の方向性を決める基本方針や、対応方針を示す内容である必要がある。
3. 総合的援助の方針は、アセスメントの内容を書く項目ではない。そこに課題やニーズを羅列しても意味がない。それは居宅サービス計画書2の (課題分析) 居宅介護サービスを使う理由となる生活全般の解決すべき課題 に書くべき内容である。
4. 総合的援助の方針は利用者や家族が読んで分かる内容である必要がある。 そうでないと本当の意味で計画同意に結びつかない。(利用者に説明して理解できる内容かが重要。)
ということについて具体例を示してお話しした。そのほか、各サービスとはこの総合的援助方針の達成のための具体的サービスとして位置づけられるものである以上、各サービス事業所はその援助方針の中で自らの事業所のサービスがゴールにたどり着く「道」となるような具体的サービスを各サービス事業所のケアプランに落とすという理解が必要であるし、サービス担当者の会議では、このため総合的援助方針における各サービス事業所に求められている役割が何であるかをケアマネを中心としてコンセンサスを形成するという目的があり、各サービス事業所は、ケアマネからその役割理解を求められ、それを実施するための方向性を示されるにとどまらず、自らの事業所の機能をアピールして、積極的に負うことができる役割としての具体的サービスを明示して、各サービス事業所間でその情報をも共有すべきであるという点にも説明を及ばせた。
当然、総合的援助方針を達するためには生活課題が何であって、その課題を解決するために長・短期目標を立て、その目標をクリアするという方法を積み上げて最終的にゴールに達するという意味があるのだから、その内容については「課題例」を示したうえで具体的に説明した。
介護支援専門員や各サービス事業所担当者にとって、居宅サービス計画や各サービス事業所の計画の「記載すべき内容」など、今更と思っている人も多いのだろうが、あらためてこれを考えるとその意味や書くべき内容の理解ができていなかったことが「わかった」という人も多いのではないかと思う。(※実際に分かっていない計画書が数多いのが現状である。)
介護支援専門員の資格取得後の実務研修でも、この内容に詳しく触れる時間はなく、基本的な学習機会がないまま現場に放り出されて基礎理解がないまま困惑している有資格者も多いのではないだろうか。
そうであれば各地域ケアマネ会の役割の一つとして「スキルアップ」は重要なのだから、基本に帰って『ケアマネジメント』や『居宅サービス計画の立て方』『書くべき内容』を勉強する機会を作る必要があると思う。
各地域会は、是非そのような機会を積極的に作ってほしい。場合によっては声をかけていただければ僕もお手伝いができる部分は協力できるかもしれない。
介護・福祉情報掲示板(表板)
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そこでは先日書いた記事「ケアプランの基本をケアマネ会で再検証。」の中でお知らせしたように、代表である僕自身の講演を約100分間行った。
受講した会員ケアマネは60名強であった。各事業所で実務に携わっている人々が対象であるということを十分意識したうえで、講演内容を考えたが、あえて「ケアマネジメントとは何ぞや」という「基本中の基本」の理解を促すとともに、そのうえで我が国の介護保険制度における居宅介護支援を中心にした「日本型ケアマネジメントモデル」の構造に触れながら、居宅介護支援事業所の「居宅サービス計画」と、各サービス事業所の「介護計画」の役割分担と、書くべき内容の違いなどを説明して、実効性あるケアプランの立て方の視点として、居宅介護支援と各サービス事業や施設サービス、それぞれの立場からどのように考えるかを説明させてもらった。具体的なサービス提供方法についても例示させてもらった。
受講された方が、その内容をどのように評価してくれるか、あるいは理解してくれるのかは今のところ定かではないが、ケアプランに最低限盛り込むべき内容や、逆にそこに書かなくてもよいこと、書くべきではないことなど、「あいまい」に理解していた部分が、わずかではあっても鮮明になったのではないかと思う。(※このあたりは本来しっかり理解してもらう必要がある事柄である。)
特に居宅介護支援に関して言えば「居宅サービス計画」という指定書式があるが、この指定書式の中に書くべき「総合的援助の方針」と「長・短期目標」の記載内容が、担当介護支援専門員によって様々で、著しい内容格差が見られる。目標と援助方針のマッチングが見えない計画書も多かった。
さらにいえば、同じ介護支援専門員の作成計画書であっても、ある計画書は総合的援助の方針として適切な内容が書かれているのに、別の計画書では援助方針が見えず、単なるアセスメント情報の羅列であったり、目標に書くべき内容を書いていたりする場合がある。つまり正しく何を書くべきかという理解が不十分であり、そのことを明確に意識できていないから、たまたま適切な表現で計画書が作成できることがあっても、全部の計画書がそうならないというレベルで終わっている介護支援専門員が多いという現状があるのだ。
僕が関与した地域の介護支援専門員の計画の中にも、居宅サービス計画のそれぞれの項目に記載されるべき内容とは何か、という基本部分が理解されていないと思われる計画書が多かったので、そのことを今回は「講演」という形の勉強会で具体的に明らかにしてみた。
以前の記事との重複ともなることを恐れず書くと、総合的援助の方針に書くべきこと、そのために必要な視点は
1.総合的援助の方針に記載されるべき内容とは、課題を解決するために目標達成をしていく先に、どのような「暮らし」が実現するのかという「ゴール」を明らかにしたうえで、そこに行くための「道」を示すもの。
2.介護サービスを提供するチームメンバー全員が共有すべき全体の方向性を決める基本方針や、対応方針を示す内容である必要がある。
3. 総合的援助の方針は、アセスメントの内容を書く項目ではない。そこに課題やニーズを羅列しても意味がない。それは居宅サービス計画書2の (課題分析) 居宅介護サービスを使う理由となる生活全般の解決すべき課題 に書くべき内容である。
4. 総合的援助の方針は利用者や家族が読んで分かる内容である必要がある。 そうでないと本当の意味で計画同意に結びつかない。(利用者に説明して理解できる内容かが重要。)
ということについて具体例を示してお話しした。そのほか、各サービスとはこの総合的援助方針の達成のための具体的サービスとして位置づけられるものである以上、各サービス事業所はその援助方針の中で自らの事業所のサービスがゴールにたどり着く「道」となるような具体的サービスを各サービス事業所のケアプランに落とすという理解が必要であるし、サービス担当者の会議では、このため総合的援助方針における各サービス事業所に求められている役割が何であるかをケアマネを中心としてコンセンサスを形成するという目的があり、各サービス事業所は、ケアマネからその役割理解を求められ、それを実施するための方向性を示されるにとどまらず、自らの事業所の機能をアピールして、積極的に負うことができる役割としての具体的サービスを明示して、各サービス事業所間でその情報をも共有すべきであるという点にも説明を及ばせた。
当然、総合的援助方針を達するためには生活課題が何であって、その課題を解決するために長・短期目標を立て、その目標をクリアするという方法を積み上げて最終的にゴールに達するという意味があるのだから、その内容については「課題例」を示したうえで具体的に説明した。
介護支援専門員や各サービス事業所担当者にとって、居宅サービス計画や各サービス事業所の計画の「記載すべき内容」など、今更と思っている人も多いのだろうが、あらためてこれを考えるとその意味や書くべき内容の理解ができていなかったことが「わかった」という人も多いのではないかと思う。(※実際に分かっていない計画書が数多いのが現状である。)
介護支援専門員の資格取得後の実務研修でも、この内容に詳しく触れる時間はなく、基本的な学習機会がないまま現場に放り出されて基礎理解がないまま困惑している有資格者も多いのではないだろうか。
そうであれば各地域ケアマネ会の役割の一つとして「スキルアップ」は重要なのだから、基本に帰って『ケアマネジメント』や『居宅サービス計画の立て方』『書くべき内容』を勉強する機会を作る必要があると思う。
各地域会は、是非そのような機会を積極的に作ってほしい。場合によっては声をかけていただければ僕もお手伝いができる部分は協力できるかもしれない。
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「居宅サービス計画書作成の手引き」準拠、実務研修等指導者用参考書というものに、成16年2月発行佐藤信人著「介護サービス計画(ケアプラン)作成の基本的な考え方」というものがあります。第1票この総合的援助方針に書かれる内容が、第2票の解決すべきニーズと課題に連動し、目的達成の為の長期・短期目標となるわけで、その具体的内容が支援内容に落とし込んでいかなければならないと思い、日々作成していますが、フォーマルだけでなく、インフォーマル的な援助も記載するようにしています。そうすると第2票など、まだA4の紙面二余白があるにも係らず、2枚目にまたがってしまい、「あ・・用紙がもったいない(笑)」等とつい、事務費の心配・・・(笑)wこんな時には、いつも簡潔明瞭に表現し、文筆家にならなければと反省しながら、疾駆八苦してます。