まだ松の内なので、お正月ならではの話題として久々にシリーズ「日本酒道」を書いてみたい。

毎年、年の瀬に「お正月」に飲む酒を2本買う。1本はそのまま「冷や」で、1本は「燗」で飲むためである。冷やと燗に合う酒を、それぞれ選ぶのも楽しみの一つである。

今年は「冷や」用は、祝い酒という意味をこめて、以前紹介した静岡の開運を選んだ。名人・波瀬正吉杜氏の「造り」だから間違いのない酒である。今回は軽さとすっきり感のある純米酒(2.650円)を選んだ。この値段で、この味わいは秀逸である。

花垣と開運
そして今日紹介するのは、「燗」用として選んだ、花垣・生もと純米「亀の尾」である。

燗に適した酒としては、以前紹介した「天隠」や「竹鶴」が思い浮かぶが、今回の酒もそれらとひけをとらない味わいのある酒である。

花垣は、福井県南部酒造場の銘酒である。明治35年創業。蔵のある大野市は市内の至る所に日本の名水百選の一つでもある「御清水(おしょうず)」という湧き水が出ている。しかも大野盆地は酒造好適米の一つである「五百万石」の大産地でもあり、まさに酒造りのためにあるような土地である。

「五百万石」で造った、花垣・純米吟醸(4.215円)や、山田錦で造った、花垣・純米大吟醸「七右衛門」(7.350円)も良い酒であるが、これらは冷で飲むに適した酒であり、今回は「燗」がうまい花垣・生もと純米「亀の尾」(3.045円)を選んだ。

この酒は「幻の酒造好適米」と呼ばれる「亀の尾」を復活栽培して造った酒で、生もと特有の深いコクとシャープな切れのある味わいで、杯につぐと色は琥珀色である。燗にするとより旨味バランスが冴えてくる。ただしあまり熱くせず「人肌燗」が一番味を引き立てる温度である。

人肌燗とはお酒の温度表現として特有の言い方であるが、ちなみに酒の温度は

1.雪冷え(ゆきひえ)5℃くらい
2.花冷え(はなびえ)10℃くらい
3.涼冷え(すずひえ)15℃くらい
4.日向燗(ひなたかん)30℃くらい
5.人肌燗(ひとはだかん)35℃くらい
6.ぬる燗(ぬるかん)40℃くらい
7.上燗(じょうかん)45℃くらい
8.熱燗(あつかん)50℃くらい
9.飛び切り燗(とびきりかん)55℃くらい

と呼ぶ。なお勘違いしてほしくないのは「冷や」という言葉は、冷酒という意味ではなく、本来は「お燗」に対して冷たい酒のことを言うもので「常温(室温)」のことを言うものである。

なお『生もと造り』とは、江戸時代に完成したもと造りの方法の一つで「もと」とは酵母を純粋培養する工程をいい、酒母とも呼ばれる。生もと造りでは、米・麹・水を入れた桶の中で蔵人たちが大きな櫂を使って米と麹を潰していく「山卸し」という大変な作業を行うため一時廃れたが、近年その方法が再評価されつつある。それは自然の乳酸菌だけを取り入れ、発酵力の強い優良酵母が得られ、独特の味わいの酒を醸すことが出来るからである。

石狩鍋
花垣・生もと純米「亀の尾」は『生もと造り』の特徴が良く出ていて、濃い味の料理にも負けずによく合うので、冬のこの時期は熱い「石狩鍋」に合わせて、人肌燗でグイッといくのもよいだろう。

今年も、旨い酒で英気を養ったので、また頑張ろうと思う。(ただし、そのおかげで少々太り気味である。まいった・・・。)
※なお文中の値段はすべて1.8Lあたりの値段である。

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