12/15、地方分権改革推進計画が閣議決定され、この計画の定める取組のうち法律の改正により措置すべき事項について、必要に応じて一括して法案を今月召集される22年度通常国会に提出する旨が示され、12/25に「介護保険最新情報Vol.126」として各都道府県を通じて市町村に通知されている。
このうち我々の業界と関連深いものとして「施設・公物設置管理の基準の見直し」において、これらの基準を条例に委任する場合における条例制定に関する国の基準の類型を次の3類型に分けるとしている。
1.従うべき基準(条例の内容を直接的に拘束する、必ず適合しなけらばならない基準であり、当該基準に従う範囲内で地域の実情に応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないもの)
2.標準(法令の「標準」を通常による基準としつつ、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じた「基準」と異なる内容を定めることが許容されるもの)
3.参酌すべき基準(地方自治体が十分参酌した結果であれば、地域の実情に応じて、異なる内容を定めることが許容されるもの)
厚生労働省関係の高齢者福祉関連に絞って、この基準見直しの適用範囲をみると次のようになる。
(1)老人福祉法関連
1.養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(17条2項)を、条例(制定主体は都道府県・指定都市及び中核市)に委任する。
2.条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する職員の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3.施設の利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4.その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。
(2)介護保険法関係
(1).居宅サービス
1.指定居宅サービス、指定地域密着型サービス、指定介護予防サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに従事する従業者の員数の基準(74条1項、78条の4第1項、115条の4第1項、115条の14第1項)並びに当該サービス事業の設備及び運営に関する基準(74条2項、78条の4第2項、115条の4第2項、115条の14第2項)を、条例(制定主体は、指定居宅サービス及び指定介護予防サービスの基準については都道府県、指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスの基準については市町村)に委任する。
2. 条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する職員の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3. 利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4. その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。(※ただし、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型通所介護事業所、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業所及び指定介護予防認知症対応型通所介護事業所の定員に係る規定は「従うべき基準」とする。)
(2)・施設サービス
1.指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設が有する従業者の員数の基準(88条1項、97条2項(ただし、医師及び看護師を除く。)、110条1項)並びに当該施設の設備及び運営に関する基準(88条2項、97条1項(ただし、療養室、診察室及び機能訓練室を除く。)及び3項、110条2項)を条例(制定主体は都道府県)に委任する。
2. 条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する従業者の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3. 施設利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4. その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。
以上である。これによってどのような影響があるのかは現時点では不明瞭であるが、少なくともこの目的は「地域のことは地域に住む住民が責任もって決めることができる活気に満ちた地域社会」の実現であり、介護サービスの運営基準も地方に今以上の裁量権を持たせて、地域行政の権限と責任を拡大したという意味がある。
特に介護保険の居宅サービス及び施設サービスの「設備及び運営に関する基準」については、条例を制定する際に「参酌すべき基準」なのであるから、地方自治体が十分参酌した結果であれば、地域の実情に応じて、国が決めた現行の運営規定と異なる内容を定めることが許されている。
そうなると重要事項の説明と契約に関する規定や、ケアプランの作成や見直し、サービス担当者会議の規定等が、都道府県(サービスによっては市町村)ごとに独自の定めによって運用することが可能となる。この部分を各地域行政がどう考えるのかが大きな問題で「地域の実情に応じた結果」が、現行の規定よりもより厳しい制限規定にならないという保障はないのである。ここが問題である。どうか地域主権の意味を間違って解釈するような運用はやめてもらいたい。
まあ、あまりネガティブに考える必要もないが、どちらにしても、この問題は行政の問題ではなく、介護サービス事業者に直接関連する問題として、各都道府県や市町村の条例が、どのように制定されていくのかを市民レベルで注視していく必要があるだろう。
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このうち我々の業界と関連深いものとして「施設・公物設置管理の基準の見直し」において、これらの基準を条例に委任する場合における条例制定に関する国の基準の類型を次の3類型に分けるとしている。
1.従うべき基準(条例の内容を直接的に拘束する、必ず適合しなけらばならない基準であり、当該基準に従う範囲内で地域の実情に応じた内容を定める条例は許容されるものの、異なる内容を定めることは許されないもの)
2.標準(法令の「標準」を通常による基準としつつ、合理的な理由がある範囲内で、地域の実情に応じた「基準」と異なる内容を定めることが許容されるもの)
3.参酌すべき基準(地方自治体が十分参酌した結果であれば、地域の実情に応じて、異なる内容を定めることが許容されるもの)
厚生労働省関係の高齢者福祉関連に絞って、この基準見直しの適用範囲をみると次のようになる。
(1)老人福祉法関連
1.養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(17条2項)を、条例(制定主体は都道府県・指定都市及び中核市)に委任する。
2.条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する職員の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3.施設の利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4.その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。
(2)介護保険法関係
(1).居宅サービス
1.指定居宅サービス、指定地域密着型サービス、指定介護予防サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに従事する従業者の員数の基準(74条1項、78条の4第1項、115条の4第1項、115条の14第1項)並びに当該サービス事業の設備及び運営に関する基準(74条2項、78条の4第2項、115条の4第2項、115条の14第2項)を、条例(制定主体は、指定居宅サービス及び指定介護予防サービスの基準については都道府県、指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスの基準については市町村)に委任する。
2. 条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する職員の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3. 利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4. その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。(※ただし、指定小規模多機能型居宅介護事業所、指定認知症対応型通所介護事業所、指定介護予防小規模多機能型居宅介護事業所及び指定介護予防認知症対応型通所介護事業所の定員に係る規定は「従うべき基準」とする。)
(2)・施設サービス
1.指定介護老人福祉施設、介護老人保健施設及び指定介護療養型医療施設が有する従業者の員数の基準(88条1項、97条2項(ただし、医師及び看護師を除く。)、110条1項)並びに当該施設の設備及び運営に関する基準(88条2項、97条1項(ただし、療養室、診察室及び機能訓練室を除く。)及び3項、110条2項)を条例(制定主体は都道府県)に委任する。
2. 条例制定の基準については、医師等の職員の資格に関する基準に係る規定、配置する従業者の員数に関する基準に係る規定、居室の面積に関する基準に係る規定並びに施設の利用者及びその家族に対する人権侵害の防止に係る規定は「従うべき基準」とする。
3. 施設利用者の数に係る規定は「標準」とする。
4. その他の設備及び運営に関する基準に係る規定は「参酌すべき基準」とする。
以上である。これによってどのような影響があるのかは現時点では不明瞭であるが、少なくともこの目的は「地域のことは地域に住む住民が責任もって決めることができる活気に満ちた地域社会」の実現であり、介護サービスの運営基準も地方に今以上の裁量権を持たせて、地域行政の権限と責任を拡大したという意味がある。
特に介護保険の居宅サービス及び施設サービスの「設備及び運営に関する基準」については、条例を制定する際に「参酌すべき基準」なのであるから、地方自治体が十分参酌した結果であれば、地域の実情に応じて、国が決めた現行の運営規定と異なる内容を定めることが許されている。
そうなると重要事項の説明と契約に関する規定や、ケアプランの作成や見直し、サービス担当者会議の規定等が、都道府県(サービスによっては市町村)ごとに独自の定めによって運用することが可能となる。この部分を各地域行政がどう考えるのかが大きな問題で「地域の実情に応じた結果」が、現行の規定よりもより厳しい制限規定にならないという保障はないのである。ここが問題である。どうか地域主権の意味を間違って解釈するような運用はやめてもらいたい。
まあ、あまりネガティブに考える必要もないが、どちらにしても、この問題は行政の問題ではなく、介護サービス事業者に直接関連する問題として、各都道府県や市町村の条例が、どのように制定されていくのかを市民レベルで注視していく必要があるだろう。
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↑masaさんが危惧するように、私も現行の規定よりも厳しい制限規定にならないようにしてもらいたいと思う一人です。先日の25日に訪問介護についての独居生活の場合や、同居家族がいる場合の訪問介護の家事援助についての解釈について、機械的な運用ではなく・・・というものがありましたが、介護保険課に直接携わっている公務員の職員の方々の理解ある指導・助言がどのようにこの規定になってくるかが、正に問題だなぁ〜と感じています。
現実、私の地域の隣同士の市でさえ、条例によって、居宅サービス計画書に盛り込んであれば、本来は不可能なサービスであっても、利用可能であるサービスが多々あります。これって、広範囲に渡って、ケアプラン作成するケアマネは、常に県又は市町村単位での決め事について、アンテナを張っていないといけないという事でしょうか?日本全国どこにいても同じサービスを受けられるという考え方が、介護保険のスタートだったようにも記憶してますが、時代は流れている証ですね!的が外れていたりして・・・(笑)w ご指導の程、よろしくお願いします。