北海道社会福祉士会・日胆地区支部の役員を務めている。その地区の中でもさらに西部地区(登別、室蘭、伊達地域)の責任者となっているため、当該地区が担当する研修会の企画に奔走している。

毎年市民公開で行う社会福祉士セミナーは、北海道社会福祉士会から研修助成金の交付を受けて実施するセミナーだが、テーマが限定されているその他の研修事業と異なり、このセミナーだけは、どのようなテーマで開催してもよいことになっている。

ただ助成金があるといっても予算は決して潤沢ではないため、赤字を出さずに実施しようとする場合、道外から専門の講師を呼ぶとすれば、せいぜい1名しか呼べず、講師料も多くは出せないだろう。

そうすると近隣から複数名の講師を集めて実施する、ということが多くなる。しかしそれにしても関係者や市民の興味がある話題で、かつ社会福祉士として持つべき知識を得るような内容でなければ意味がない。

ということでテーマ設定は結構難しい問題なのである。

昨年は無料の出張講座をしてくれる警察署に協力をいただいて、高齢者を狙った「振り込め詐欺」にあわないための講座と、権利擁護の講演を抱き合わせて行ったが、今年はテーマを一つに絞って地域の社会福祉に関連する問題を掘り下げる内容にしたいとずっと考え続けていた。

なにしろ社会福祉士の活動領域は高齢者や障がい者など多岐にわたっているし、所属も、行政・医療機関・社会福祉施設・法律関係事務所など様々であり、どこかに偏ったテーマが続いても問題あるだろうと考えている。

そうすると全ての関係者に共通するテーマというのはなかなか見つけられないのであるが、究極的に言えば社会福祉援助に携わる我々は、最終的に死の臨床場面まで利用者の支援に関わることがあるのではないか、それは高齢者に限った問題ではないだろうと考えて、今回は当地域におけるターミナルケアの実情と課題を、在宅・介護施設・医療機関のそれぞれの立場からの報告と議論でまとめたらどうかと考えた。

特に、この地域でターミナルケア研修として専門研修が過去に行われたことはないし、死者数が日本全体で150万人を超える現状で、この地域の特徴としては医療機関の病床数自体が減ってきている現状があって、地域の人々がどこで最期の時を迎えることができるのか、その選択性はあるのかということを考えるのは重要なことであると思った。

さらにいえば8割以上の国民が医療機関で死を迎えることが常識になりつつある現状が、本当に死の場面を迎える人々にとって「安らかな最期」を作り出しているのかをもう一度問い直してみる必要があるのではないかとも思う。

幸い「死の臨床研究会北海道支部」の常任世話人を務めている関係で、その方面の専門家なら近隣からも紹介していただけるし、道内で10か所しかない緩和ケア病棟も室蘭市に1か所あるという地域特性もある。さらに費用負担面のメリットとしては介護施設の報告は僕自身ができるので、ここにお金の支出は生じず、その分節約ができることになるので一石二鳥である。

そこでメインテーマは「胆振地域におけるターミナルケアの現状と課題」としてみた。まさに地域の活動を地域の関係者や市民が考えるという地域密着のテーマである。しかし、我々社会福祉士は地域のことだけを考えるのではなく、この国の社会福祉を考え、世界の社会福祉を考えるという責務を持っている。そのため地域の実践報告から現状把握して、課題を検証するとしても、その視線はグローバルに向かっていかねばならないと思ったので、サブテーマを「日本人はどこで、どのように死ねるのか。」と設定してみた。

そしてセミナーの紹介文には「本セミナーでは、胆振地域における医療機関の緩和ケア病棟・介護施設・在宅におけるターミナルケアの実践報告から地域におけるターミナルケアの取り組みを学びながら、保健・医療・福祉関係者の役割と、国民のニーズについて検証します。」という文章で締めくくってみた。

シンクグローバリー・アクトローカリー(地球規模で考え、地域で活動する)のテーマになっているのではないかと思うのであるが、あまりピンとこないだろうか?

しかし今までの社会福祉士セミナーとは毛色の変わったテーマと内容であると思う。セミナーは来年2月20日(土)午後1時30分から、室蘭市の老人保健施設「憩」を会場にして実施予定である。

当日は一般公開で、非会員も参加料は無料なので、お近くの方は是非参加願いたい。

近く、地域の関係機関等には研修案内(クリックすれば案内文にとびます)を送付する予定であるが、随時、問い合わせを受け付けており、事務局まで連絡いただきたい。

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