特養は「暮らしの場」であるから、日本人の習慣上の行事を大切にしたいと思っている。

我々が日常生活で失ってしまっている習慣でも、高齢者の方々にとっては馴染みがあって意味があることも多い。だから暦の上の行事を施設サービスの中で生かしていくことは、それなりに意味があることと思う。
(参照:当施設の行事予定

餅つきにしても、一般家庭からその風習は失われつつある。鏡餅も正月に食べる餅も、スーパーから買ってきて済ます、という家庭の方が大多数になってしまっている。しかし杵と臼で「餅つき」をして、お供え用の鏡餅やのし餅を作って、正月に食べるということを続けることも、利用者の方々が子供の時から馴染んでいる風習を続けるという意味では大切なことではないだろうか。1年を締めくくる、という意味でも大事だろう。

29日に餅をつくのは「苦もち」と言って忌み嫌われる、ということを知らない日本人も増えており、お年寄りからそのことを教わり、同時に9のつく日には「餅つき」をできるだけ避ける、なんていう知恵をいただいたりする。こうした人生の先輩たちの知恵を受け継いで、若い人々に伝えて行くことも重要である。

ただ、高齢者の場合、食品としての「餅」は、毎年全国でのどに詰まらせて死者が出るような「怖い食品」というイメージを我々は捨て去ることができない。

だから餅は提供しない、と決めることは簡単であるが、それでは「せめて1年に一度はお餅を食べたい」と考えている人々の思いはまったく無視されることになる。実際にのどつまりのリスクはゼロではないが、それは我々も同じで、嚥下機能に問題のない人もいるのだから、老人ホームでは危険だから「餅」は食品としてふさわしくないから提供しない、という判断はあまりに短絡的で安易である。長年日本人に親しまれ、日本人の生活の中に根付いてきた食習慣を「安全」という御旗で奪ってしまってよいのだろうかと疑問を持つ。だからと言って「のどが詰まって死亡する」人がいてよいということにはならないので、お餅をいかに安全に食べていただけるか、ということを考えながら、調理方法、大きさなど、この時期は常に話し合いが行われることになる。そして餅がのどに詰まった場合の対処法を全職員が再確認したうえで、事務職員も含めて見守り対応したうえで食事として提供することになる。細心の注意を払って続けている。

それと年末には様々な習慣上の行事があるが、日本古来の風習ではないものもある。例えばクリスマスは日本古来の行事ではないが、それは既に生活に根付いた行事である。

高齢者の皆さんにとっても、今の若者のようなイブの過ごし方には縁がないであろうが、それぞれの家庭で、父として母として、あるいは祖父として祖母として、子や孫とクリスマスを祝ってきたはずである。だからクリスマスイブに、子や孫にプレゼントを贈ったり、逆に子や孫からプレゼントをいただいたってよいだろうし、施設の中で皆が楽しめる形でクリスマスという行事で盛り上がってもよいだろう。

当施設が開園してから10年ほどは、クリスマスパーティーと称して、ボランティアが演芸会を行って、それをみながら食事をしていた。しかし、ボランティアのカラオケや民謡、踊りは「クリスマスの雰囲気」とはかけ離れている、という意見が出され、職員がクリスマスには「らしい」アトラクションを行うように、いつしか変わっていった。しかし食事時間と職員のアトラクションを同時に行うのは「食事が慌ただしい。」「落ち着いて食事ができない。」「せっかくのご馳走が、アトラクションに気を取られ食べない人がいる。」など、これも問題が指摘され、数年前からは、クリスマス演芸会とクリスマス食事会は分けて行われるようになった。このことは利用者にも好評だ。

今年のクリスマス食事会のメニューは
・洋風炊き込みご飯
・南瓜のポタージュ
・オードブル(ホタテのテリーヌ・蟹爪フライ・カップグラタン・シーフレッシュサラダ・チェリー)
・鶏の照り焼き
・えびのチリソース

となっている。もちろん食事会の際には、お酒も出される。(年々飲む方は少なくなって、シャンメリーを飲む方の方が多いのであるが・・。)

ところで今年のクリスマス演芸会は僕も出演しなければならないそうである。しかもこっ恥ずかしいことに、ファイターズのユニホームを着て唄うそうだ。最初は丁重に辞退したが、普段、札幌ドームで騒いでいる通りでよいと言われるし、何度かテレビの野球中継で稲葉ジャンプをしているところが映されているので、利用者に対するサービスにおいて、それができないという説得力ある言い訳がなく、やらざるを得ないようである。

参ったなあ〜。

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