今年も残すところ1月となった。北海道は寒さも一段と増して、間もなく街全体が冬化粧をする。そして一気に年の瀬へと向かう慌ただしい季節である。
この時期いつも気がかりになることがある。
通所サービス事業関係者に共通する「心配の種」の最大のものは送迎の安全確保ではないだろうか。特に冬道の運転は、何が起こるか分からず、本当に心配である。これはショートステイの送迎や、施設サービスにおける通院等の外出支援時もまったく同様である。
多くの通所サービス事業所では、複数の車両で送迎を行っていると思う。10人以上が乗車するマイクロバス等の運転は、大型免許を持つ運転手が送迎にあたるが、その他の車両は普通免許しか所持していない「介護職員」が担当することが多いだろう。
運転のプロが運行するわけではないので、細心の注意が求められ、くれぐれも安全運転に努めてもらいたいというのが管理者の願いである。
ところで、つい最近も通所サービス送迎中の悲惨な死亡事故が起こっている。
11月19日午後4時25分、和歌山県かつらぎ町東渋田の県道で、同県橋本市高野口町のデイサービス事業所の軽乗用車がガードレールに衝突し、乗っていた3名の通所介護利用者が死亡している。運転手は同事業所のパート職員で、手の骨を折る重傷とのことであるが、事故原因はこの職員が「運転中に急に胸が苦しくなり運転操作を誤った。」というものである。
亡くなられた方は80歳と92歳の男性、82歳の女性である。軽乗用車に乗り合いしていたということは、身体機能的にはかなり自立度が高い、お元気な高齢者の方々ではなかったのではないだろうか。こういう形で人生を終えられることは、おそらく本人もご家族も予測していなかっただろうし、遺族のお嘆きは想像して余りある。
運転業務に携わって怪我をした従業員も、過失責任は問われるだろうが、体の傷以上に、心に傷を負って、これからの人生を過ごさねばならないであろうと想像され、これも悲惨なことだと思う。
個人の過失責任を問うよりも再発防止策を具体的にどうするのかということを最優先に考えてほしい。そのなかで少しだけ疑問に思うのは、軽乗用車という事故に弱い車両での送迎がどうだったのだろうということである。
軽乗用車の事故では2007年11月23日に、徳島県阿南市那賀川町西原の県道で、同県勝浦町のデイサービスセンターの軽乗用車と乗用車が正面衝突して、デイサービス事業所の軽乗用車の後部座席に乗っていた95歳と94歳の女性利用者が死亡し、助手席の70歳の女性と運転手が重傷を負う事故が起きている。この時はサービス利用前後の送迎ではなく、通所サービス提供メニューの一環として近くの公園への外出途中であったということだ。
この時の事故原因である中央線の「はみだし」は、どちらの車両に過失があったのか僕は分からないが、正面衝突して軽自動車側の後部座席の人が亡くなっているという状況も留意が必要だろう。通所サービス送迎車に、軽自動車を利用することは、個人的にはできるだけ避けたいと感じているし、実際に利用者が乗車する車両として軽乗用車はない。
また今年はじめには、シートベルトの適切な使用をしていないことで死亡事故が起こっている。
2月19日、大阪府茨木市のデイサービスセンターが利用者の送迎中に、対向車を避けようと急停車したところ、急ブレーキのはずみで車内後部に固定されていた車椅子から84歳の女性利用者が前のめりに転落し、顔などを床にぶつけ、医療機関に緊急搬送したが、その日の午後に容態が急変し死亡したという事故である。車いす用のシートベルトをきちんと装着しておれば防げた事故であるが、当該車椅子の利用者が「お腹が痛くなるのでシートベルトはやめて。」と訴えたため「運転手の配慮」でシートベルトを装着していなかった、ことが原因である。
しかしこの判断は配慮と言えるのだろうか?あまりにリスクが大きいし、きちんと説明して送迎中のシートベルトの着用は必要だし「お腹が痛くならないように注意しますので安全のために協力してください。」という形でお願いすべきだろうと思う。どうしても車椅子用のシートベルトになじめない場合は、座席に移って対応するなど安全対策は最大限に考えられるべきだろう。
そうはいっても、同じ状況が起きた場合、とっさの判断で正しい対応ができるのか、と問われて100%間違った対応はしないと言い切れる問題でもなく、日ごろから運行上の安全対策としての最低基準は「利用者の希望のみで破ることができない。」と考えておくべきだろう。そもそも道路交通法の規定は事業者だけではなく、車両に乗車する利用者にも遵守義務があるのだから、車両への乗車の際にシートベルトを着用するというのは、現在後部座席においても義務であり、それを守るという意識を利用者自身に持っていただくことも必要である。通所事業所は、この点でも真摯に説明し理解していただく必要がある。
これから北海道は冬に向けて、ますます道路状況は悪化する。しかも雪の日などは除雪してからしか送迎車が発車できない日もあり、道路状況も混雑して、利用者宅への到着時間やサービス利用時間に間に合わない状況も多くなる。
そうした場合でも、安全運行第一で、決して焦らず、急がず、利用者が安心して目的場所にたどり着くことが何よりも優先される。当たり前のことではあるが、このことを決して忘れてはならない。
そういう意味では送迎の運転業務に関わる皆さんには、事前に「日常生活の疲れやストレス」を払いのけて、心身を充実させて、集中して運転していただきたい。
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この時期いつも気がかりになることがある。
通所サービス事業関係者に共通する「心配の種」の最大のものは送迎の安全確保ではないだろうか。特に冬道の運転は、何が起こるか分からず、本当に心配である。これはショートステイの送迎や、施設サービスにおける通院等の外出支援時もまったく同様である。
多くの通所サービス事業所では、複数の車両で送迎を行っていると思う。10人以上が乗車するマイクロバス等の運転は、大型免許を持つ運転手が送迎にあたるが、その他の車両は普通免許しか所持していない「介護職員」が担当することが多いだろう。
運転のプロが運行するわけではないので、細心の注意が求められ、くれぐれも安全運転に努めてもらいたいというのが管理者の願いである。
ところで、つい最近も通所サービス送迎中の悲惨な死亡事故が起こっている。
11月19日午後4時25分、和歌山県かつらぎ町東渋田の県道で、同県橋本市高野口町のデイサービス事業所の軽乗用車がガードレールに衝突し、乗っていた3名の通所介護利用者が死亡している。運転手は同事業所のパート職員で、手の骨を折る重傷とのことであるが、事故原因はこの職員が「運転中に急に胸が苦しくなり運転操作を誤った。」というものである。
亡くなられた方は80歳と92歳の男性、82歳の女性である。軽乗用車に乗り合いしていたということは、身体機能的にはかなり自立度が高い、お元気な高齢者の方々ではなかったのではないだろうか。こういう形で人生を終えられることは、おそらく本人もご家族も予測していなかっただろうし、遺族のお嘆きは想像して余りある。
運転業務に携わって怪我をした従業員も、過失責任は問われるだろうが、体の傷以上に、心に傷を負って、これからの人生を過ごさねばならないであろうと想像され、これも悲惨なことだと思う。
個人の過失責任を問うよりも再発防止策を具体的にどうするのかということを最優先に考えてほしい。そのなかで少しだけ疑問に思うのは、軽乗用車という事故に弱い車両での送迎がどうだったのだろうということである。
軽乗用車の事故では2007年11月23日に、徳島県阿南市那賀川町西原の県道で、同県勝浦町のデイサービスセンターの軽乗用車と乗用車が正面衝突して、デイサービス事業所の軽乗用車の後部座席に乗っていた95歳と94歳の女性利用者が死亡し、助手席の70歳の女性と運転手が重傷を負う事故が起きている。この時はサービス利用前後の送迎ではなく、通所サービス提供メニューの一環として近くの公園への外出途中であったということだ。
この時の事故原因である中央線の「はみだし」は、どちらの車両に過失があったのか僕は分からないが、正面衝突して軽自動車側の後部座席の人が亡くなっているという状況も留意が必要だろう。通所サービス送迎車に、軽自動車を利用することは、個人的にはできるだけ避けたいと感じているし、実際に利用者が乗車する車両として軽乗用車はない。
また今年はじめには、シートベルトの適切な使用をしていないことで死亡事故が起こっている。
2月19日、大阪府茨木市のデイサービスセンターが利用者の送迎中に、対向車を避けようと急停車したところ、急ブレーキのはずみで車内後部に固定されていた車椅子から84歳の女性利用者が前のめりに転落し、顔などを床にぶつけ、医療機関に緊急搬送したが、その日の午後に容態が急変し死亡したという事故である。車いす用のシートベルトをきちんと装着しておれば防げた事故であるが、当該車椅子の利用者が「お腹が痛くなるのでシートベルトはやめて。」と訴えたため「運転手の配慮」でシートベルトを装着していなかった、ことが原因である。
しかしこの判断は配慮と言えるのだろうか?あまりにリスクが大きいし、きちんと説明して送迎中のシートベルトの着用は必要だし「お腹が痛くならないように注意しますので安全のために協力してください。」という形でお願いすべきだろうと思う。どうしても車椅子用のシートベルトになじめない場合は、座席に移って対応するなど安全対策は最大限に考えられるべきだろう。
そうはいっても、同じ状況が起きた場合、とっさの判断で正しい対応ができるのか、と問われて100%間違った対応はしないと言い切れる問題でもなく、日ごろから運行上の安全対策としての最低基準は「利用者の希望のみで破ることができない。」と考えておくべきだろう。そもそも道路交通法の規定は事業者だけではなく、車両に乗車する利用者にも遵守義務があるのだから、車両への乗車の際にシートベルトを着用するというのは、現在後部座席においても義務であり、それを守るという意識を利用者自身に持っていただくことも必要である。通所事業所は、この点でも真摯に説明し理解していただく必要がある。
これから北海道は冬に向けて、ますます道路状況は悪化する。しかも雪の日などは除雪してからしか送迎車が発車できない日もあり、道路状況も混雑して、利用者宅への到着時間やサービス利用時間に間に合わない状況も多くなる。
そうした場合でも、安全運行第一で、決して焦らず、急がず、利用者が安心して目的場所にたどり着くことが何よりも優先される。当たり前のことではあるが、このことを決して忘れてはならない。
そういう意味では送迎の運転業務に関わる皆さんには、事前に「日常生活の疲れやストレス」を払いのけて、心身を充実させて、集中して運転していただきたい。
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かつらぎ町は田舎なので、山間部が多く、軽自動車でないと送迎ができないところが多いのです。
また、ギリギリ自動車が通れる道路では、普通自動車免許しか持っていない介護職員では尚更です。
また介護報酬の減少により、車の維持費の捻出が難しいことも軽自動車での送迎に繋がっているかと思います。
本当に、現在の介護業界は難しいですね。
不躾なコメント失礼致しました。