国の予算に関する行政刷新会議の「事業仕分け」が終わった。その結果はともかく、予算編成の中身が一部であってもこういう形で「国民にみえる」ということはよいことだろう。

ところで、この中で来年度改正の診療報酬については、収入の高い診療科の見直しと開業医と勤務医の平準化など「配分見直し」と査定されたが、もともと財務省の方針が「診療報酬全体のパイは引き上げない」ということであり「診療報酬全体のパイを引き下げたうえで、医療費を抑制して、配分を見直す」という結論になっている。

これに対して長妻厚生労働大臣は「コストが引き下げられる分は、できるだけ引き下げて改定率の上昇はできるだけ抑えたい。」としたものの「診療報酬全体のパイを引き上げたうえで、配分を見直すことが必要。」として診療報酬の削減に反対している。そのために現在、厚生労働省内では独自の「新たな事業仕分け」に取り組んでいるという。

今後、政治判断でこのことが変わっていくのかが大いに注目される。

なぜなら新政権になって初めて診療報酬が改定されるというは、現政権の医療・保健・福祉対策に対する予算措置の方向性が示されるという意味があるからだ。そうなるとこれは次期介護報酬の改定にも少なからず影響してくると考えられる。

もともと民主党のマニュフェストでは「自公政権が続けてきた社会保障費2200億円の削減方針は撤回する。医師・看護師・その他の医療従事者の増員に努める医療機関の診療報酬(入院)を増額する。」とされている。つまり少なくとも「入院の診療報酬」は増額が明記されているのだ。このことの実現が図られるのか、という結果が今回の診療報酬の結論で見えるというわけである。

診療報酬は2年に1度改定されるが、今議論されている改定の次の改定は、2012年度予算に関わるもので、この時は介護報酬とのダブル改定である。

その時、同マニュフェストに書かれている「認定事業者に対する介護報酬を加算し、介護労働者の賃金を月額4万円引き上げる。」という方針が実現されるのかといことが、今回の結果で見えてくる可能性がある。

どちらにしても来年度の予算編成の結果と、マニュフェストの整合性がどのように説明されるのか、ということが最大の関心事である。

社会情勢は、ここにきてデフレの加速・ドバイショックなど、新たな景気低下懸念が生じ、財源の確保は非常に厳しいという現実があることは承知している。しかし医療や介護は、人の生命と生活を守るために不可欠なものであり、ここをおざなりにして、財源論によって予算を削ってしまえば医療や介護サービス自体が成り立たなくなる。そのことで医師や看護職員・介護職員・介護サービス従事者が必要数確保できなければ、どのような政策をとってもサービスを受けられない国民が続出するという結果になる。それでは国自体が存亡の危機に立つ。

医療を含めた社会福祉政策というものは、国を守る社会全体のセーフティネットなのだという意味を考えて予算を作るのが政治家の役割だろうと思う。
(※参照:金子教授のセーフティネット張り替え論

ここは霞が関ではなく永田町が主導すべき問題ではないだろうか。

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