介護施設や介護サービス事業所に実地指導を行う行政機関の指導担当者は「行政指導」の専門家であっても、社会福祉援助や介護サービスに関しては専門家ではない。

法令の解釈については、行政指導の専門家としてみるべきものはあっても、専門援助技術論に関連する部分まで指導できる技量があるかと言えば首を傾げざるを得ない。

援助技術について素人とは言わないまでも、少なくとも地域の中で直接利用者と関わっている機会は、社会福祉援助者と比べて格段に少ない。多くの場合、机上の空論的な技術指導しかできない人が多い。しかし介護支援専門員や介護サービス担当者を含めた社会福祉援助者が、行政指導の名のもとに、理不尽な技術指導を受ける場面がしばしばみられ、そのことに根拠ある反証ができない状況も耳にする。

そのことは介護支援専門員や介護サービス事業従事者が社会福祉援助者としての見識が問われる問題であろうと思う。現場の職員は行政職員にもっと反論できる技術や知識を身につけるべきであろう。

特養や通所介護では、特に「機能訓練」に関する内容について、行政担当者の思い込みによる「こうしなければならない」的な指導が横行している。特に機能活用と維持のための具体策が「医学的リハビリテーションエクササイズ」の方法論しか許されないような指導が目につく。

これは生活場面での自立を阻害する要因を単純に身体機能障害(インペアメント)としか考えない貧困な発想であり、それはいかにも素人の発想である。問題は身体障害や能力障害(ディスアビリティ)ではなく生活障害なのであり、 そうであるなら求められているものは単にインペアメントに手を差し伸べることではなく、社会的不利(ハンディキャップ)という不便に対して手を差し伸べて生活障害を改善するための方法論である。

そもそも廃用とは加齢軸上に想定される自然の身体機能低下より、実際の機能低下の進行度合いが早いことによって生ずる「差」を指すものである。医学的リハビリテーションエクササイズだけでは、この差は埋めることができず、廃用を進行さえないためには日常生活で自然に身体機能を使うことが一番重要である。よって生活施設や通所介護での機能訓練は、日常生活の中で、日常の動作について機能を生かす方法論に求めることは極めて論理的で合理的であり、学問としても成立するものなのである。そのことを行政指導担当者がとやかく「いちゃもん」をつけることは越権行為である。素人は素人なりに、余計な口を挟まぬことである。

ケアマネジメントもしかり、である。反論できない介護支援専門員の質はともかくとしても、ケアマネジメントによって導き出されたサービス内容を「それは過剰サービス」であるという行政担当者の意見はほとんど根拠に欠けるものが多い。

専業主婦である嫁が主介護者であるなら、毎日の身体介護は過剰サービスであるとか、仕事を持たない主介護者がいるなら通院支援は介護者がすべきで、乗降介助も使えないとか、要支援者のショートスティは必要性が乏しいだとか、馬鹿馬鹿しい指導が多すぎる。

訪問介護の生活援助に同居家族の有無による制限は存在するが、身体介護については介護者の有無は問われず、その必要性は、家族介護が限界に達したときのみではなく、長期間の介護を継続できる環境を構築する視点から求めるものであり、主介護者が「できる行為」=「必ずしなければならない行為」と判断するわけではない。

家族ができることであっても、その家族が一時的・意識的に「休むこと」も必要であり、その間の支援行為を専門家に任せることが必要である、という判断をすることがケアマネジメントである。その判断は極めて個別な状況で行われるもので、それは単純に家族ができる行為をプロが代行することではなく、介護のプロが介入することで、よりよい暮らしの実現を図ろうとするものであり、行政担当者の価値観や一般論で否定できるものではない。

ケアマネジメントが導き出すサービスに対するいたずらな否定は、単なる給付抑制に過ぎなくなり、結果的にそのことは要介護者・利用者本人に不利益となる。その不利益の結果は、さらなる生活障害を生み、生活の質は低下する一途だろう。この責任はだれが取るのか・・・。

給付抑制的な指導に走りがちな行政担当者の一番の誤解は、介護サービスが単なる家族による支援の代行業務だと思っている点である。そこが根本的な間違いの源だ。

介護サービスは家族の支援代行ではなく、介護のプロフェッショナルによる専門技術に則って行われる援助である。よって家族のあるなしに関わらず、介護者の能力に関わらず、必要とされる人には提供されるべきサービスなのである。その理解がないと、いつまでも介護給付費適正化事業という名の給付抑制はなくならない。

そのためにも現場の介護支援専門員や、その他の介護サービス従事者は、自らの仕事の正当性を説明できる知識と技術を磨くべきである。

ケアマネジメントの理解が乏しい介護支援専門員など存在意義がないということを理解せねばならない。

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