ある特養の機能訓練指導員の方から、実施指導で「個別機能訓練加算」について、その計画内容が算定要件にあわないと指導を受けたという相談を受けた。

例えば食事時間を利用した定時離床と、座位保持の支援を筋力維持と関連させた「計画」は個別機能訓練計画にはならず、筋力維持なら「足挙げ訓練を何回」とか「「筋力トレーニング」とか「個別の体操」などを組み込まなきゃあならないという指導だそうである。

相談者の方から個別機能訓練計画の内容を、課題と目標、具体的方法に分けて電話で聞かせていただいたが、非常に立派な内容で何の問題もないと思った。医学的リハビリテーションエクササイズの方法になっていないだけで、日常生活のケアの中で機能維持の観点から行うべきことはしっかり網羅されており、算定要件に十分合致した内容である。行政機関の指導担当者の理解不足が指導につながっているとしか思えなかった。

僕が何度も指摘しているように、個別機能訓練加算の「個別」とは「個別リハビリ」を意味せず「個別計画」を指すものであるし、その訓練内容も「医学的リハビリテーションエクササイズ」を意味していない。

その指導担当者がいうような訓練内容なら看護職員などの機能訓練指導員が勝手にプログラムできるものではなく、医師の指示に基づく医学的リハビリテーションエクササイズそのものになってしまい、機能訓練指導員の判断だけでできる問題ではない。

また、その指導担当者は「そういう訓練ではたくさんの利用者全員に実施することはできないのは当然で、全員に算定することを想定していない。」という意味のことも実地指導の際に語ったようであるが、これも大きな間違いである。特養の個別機能訓練加算は、看取り介護対象者も含めて算定してよいもので、しかも基本原則は全員から同意を得て実施算定することが望ましいとされているものである。

あらためてその内容が医学的リハビリテーションエクササイズに限るものではない根拠を示しておきたい。

(平成18年4月改定関係Q&A Vol.1 介護老人福祉施設・個別機能訓練関係)

問76
個別機能訓練加算については、単に体制があるだけでなく、体制を整えた上で個別に計画を作成するなどプロセスを評価するものであることから、入所者の同意が得られない場合には算定できないが、原則として、全ての入所者について計画作成してその同意を得るよう努めることが望ましい。」

※このように個別の意味が「個別リハ」ではなく「個別計画」であることが示されている。さらに「全ての入所者について計画作成してその同意を得るよう努める」とされており、生活リハビリを含めた、全職員が介護サービスの中で行うことができる機能活用と維持の取り組みを計画として良いことが読みとれる。

問77
個別機能訓練を行うに当たっては、機能訓練指導員・看護職員・介護職員・生活相談員・その他の職種が共同して個別機能訓練計画に従い訓練を行うこととしており、機能訓練指導員が不在の日でも算定できる。」

※ここで分かることは、特養の個別機能訓練計画に医師の指示や判断、介入が必要とされていないということである。これは老健や通所リハビリと決定的に異なっている点で、医師の指示がいらない方法を訓練計画とするという意味で、逆に言えば医学的リハビリテーションエクササイズの計画を医師の指示のない状態で計画し実施すれば違法性さえ問われかねない、という意味である。さらに「機能訓練指導員が不在の日でも算定できる」という文章からは、この機能訓練とは、介護職員等、医療や看護の資格がない者が実施できる内容であることが示され、まさに日常の介護行為やレクリエーションや、クラブ活動等の中での機能活用の取り組みが機能訓練として評価できることを示している。

よって、この指導は明らかに間違っていると言えるのである。こういう場合は、説明して埒があかねば、あえて文書指導をしてもらい異議申し立てをした方が良いのではないだろうか。

間違った指導の証拠をきちんと残しておくことも必要である。

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