保健・医療・福祉関連の政策について、政権交代によって様々な影響が出ている。

医療関連では早々と来年の診療報酬改定で、報酬アップという方向性が打ち出されている。高齢者が増える社会で、医療が必要な人々が必然的に増えて行くのだから、それらの人々に適切な医療サービスの提供が行われる為には、病院や診療所がきちんと経営できる基盤としての報酬体系になっている必要があり、そういう意味での診療報酬の引き上げは必要だろうと思う。

ただしこのことで医師不足が解消されるかと言えば、そうではないだろう。医師不足の要因は、待遇だけではなく、研修医制度を含めた医師養成システム全般に関わる問題であるし、地方の医師不足は、都市部のそれとは全く性格の異なるものであるから、現在のその部分に関わるシステムを全体的に検証することが一方では必要だろう。

介護関連では、介護職員の処遇改善交付金については、前政権が支給方法を決めてしまっているので、これを廃止するということはできず、当面はこのまま運用するが、山井厚生労働相政務官のメルマガによれば、今後の宿題として介護職員以外の給与改善や、改善額も月額4万円に近づけることなどを挙げている。本来これも交付金ではなく、介護報酬のアップという考え方が必要で幹の部分をきちんとしてもらいたい。

なお全国老施協は、介護職員以外の職員の給与改善は4月の新設加算報酬をしっかり算定することで賄い、介護職員は交付金で賄うという、2段構えの方法を唱えているが、そういう複雑な方法がベストではないことは明らかで、次期介護報酬では交付金部分も取り込んで金額設定するという方向性を打ち出してもらいたいと個人的には考えている。

ただ国債発行額が政策マニュフェストに書かれていることと大きく違って額が増大する状況で、このことに関して財源論が足枷になる可能性が常にある。不透明感が付きまとう問題である。

ところで介護保険制度関連で、今週一番のニュースといえば、2011年度末で廃止が決まっていた介護療養型医療施設について、その廃止方針を一旦凍結して、検証をし直すと長妻厚生労働大臣が表明したことだろう。

この廃止問題に関しては、実際に12万人以上の人が利用している病床を廃止した後の、それらの受け皿の整備が不十分で、十分な支援体制が受けられないまま無理やり在宅復帰させられる「介護難民」が生まれるのではないかという懸念がかねてからあって、関係者の間から反対論が挙げられていた問題である。

しかし介護療養型病床の経営者の方々は、廃止方針自体は明確に示され政策として動かされないものと諦めて、賛成・反対という個人の意思に関わらず、対策を進めていたはずである。

実際に、介護療養型病床を廃止して、療養型老健などに転換を終えているケースもある。それらの施設経営者もできることなら、転換せず療養病床を維持したかったが、政策で廃止が決まったので、優遇措置がある経過期間中に転換を急いだケースも多いだろう。

それらの経営者の方々にとってみれば、この政策転換は、まさに「青天の霹靂」だろう。廃止凍結の方向がもしかしたら、現在、介護療養病床を利用している人々等にとっては望まれる方向なのかもしれないが、転換を急いだこれらの経営者の方々が不満や疑問を持つことも当然だろうと思う。

どちらにしても、この問題の根っこは、財源問題から介護療養型医療施設の病床廃止による給付費削減という前提がまずありきで、実際にそこで生活を維持している人々の受け皿を十分に整備しないまま、机上の論理による数合わせだけで廃止を決定してしまったということにある。

これは政権政党だけの問題ではなく、政策立案に関わった国の担当部局の責任も大きいだろう。しかし廃止凍結後の方針も、おそらく同じ部局で検討されることになるというおかしな状況が生まれている。

凍結後の検証で、やはり介護療養型医療施設は廃止と結論付けられるかもしれないが、可能性としてそれは低く、おそらく存続の方針が打ち出されていくのであろう。結果だけではなく、検証過程で廃止方針の決定に関する評価がどのように行われるのか、という部分を含めて関係者は注視が必要だろう。

どちらにしても業界関係者が政策に振り回されて、梯子を外されて怪我をして終わりでは、超高齢社会の中で安心してサービス提供するための基盤を国自らが揺らすことになりかねない。

将来に向けて必要なサービスの量を確保するためには、外した梯子の代わりの土台を別に作るなど、サービス経営が安心してできる方策が不可欠だろう。

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