今週土曜日に北海道社会福祉士会の理事会と支部長会議が札幌で行われる。僕もそこに出席予定である。

夜には懇親会があるのだが、今回は参加せず失礼させていただく。その理由は、翌・日曜はクライマックスシリーズ第5戦が控えており(5戦までいかなければ幻で終わるが)家族を連れて札幌ドームに向かわねばならない。一度自宅に帰って体力と英気を養わねば気合の入った応援ができないのである。本当なら土曜の第4戦を観戦予定だったが、社会福祉士会が予定に入ってきたため、わざわざずらしたのである。
(※時々僕に対してクライマックスシリーズは観に行かれますか?と質問する方がいるが、それは無意味だ。なぜなら行かないわけがないのである。CSや日本シリーズは出場する年に観に行かねば、次にいつになるかわからんのである。ファイターズを応援するために稼いでいるんだから、生きている限り観つづけなきゃあ・・。)それはさておく。

ところで日本社会福祉士会の現在の一番のテーマは組織率の向上・会員数増である。

なにしろ全国組織とはいっても有資格者の3割弱(08年度で26.8%)しか入会していないのであるから、職能団体として有資格者を代表しているのかと問われれば首を傾げざるを得ない要素がある。

そのため、2013年までに加入率5割を目指して「入会促進キャンペーン」なるものが実施されることになっている。各支部もそれぞれアイディアを出して、一会員新規加入者一人を勧誘することを目標にしている。同時にキャンペーン中に入会した人数分の入会金の半分を支部に還元するというアメもある。

しかし僕個人の意見としては、入会しない理由をきちんと把握しない中でのキャンペーンが効果あるのかは非常に疑問である。退会者の理由の分析を含めて、入会しない、退会するという動機への評価と、それに基づいたアプローチがないと効果は挙がらないと思う。

僕が入会を働きかけて断る人々の理由は、ほとんど年会費の問題である。日本と北海道の合計会費が年15.000円。これに二の足を踏む人が多い。社会福祉士会の役員などは、それに見合った研修体制等を構築して魅力ある会にすることを目指しているようであるが、この会費に見合った活動という部分では、複雑な状況が根底にあることを理解しないといけない。

つまり社会福祉士の有資格者のうち、社会福祉士そのものの職名で業務に就いている人は地域包括支援センターの社会福祉士くらいである。

そのほかは社会福祉施設、介護施設の相談員・ソーシャルワーカーとか、医療機関のPSWやMSW、介護保険サービス事業者に所属するケアマネジャーなどが多く、社会福祉士という資格のほかに、精神保健福祉士・社会福祉主事・介護支援専門員などの様々な資格を持っている場合が多い。

そうなると、その業務に一番関連した資格の職能団体がまず一番本人にとって加入動機が高い団体であり、それが精神保健福祉士協会であったり、ソーシャルワーカー協会であったり、ケアマネ会であったりするわけである。そういう団体に所属して、なおかつ社会福祉士会に年会費15.000円で入会するとすれば、職能団体の会費だけで年間3万〜5万円という個人支出が伴うということである。複数の会に加入できる懐具合の人は多くないのが現状だろう。そうすると自分の価値観に照らして優先順位の低い職能団体への加入動機はますます低下する。

他の職能団体にも加入して、なおかつ社会福祉士会に入会する動機付けとしての「研修体制」といっても、社会福祉士自体は広い領域の職業をカバーしているため「共通基盤研修」「基礎研修」というテーマが多くなってしまう。

一方、精神科のワーカーであるなら精神保健福祉士会の方が、より実務に即した実践的研修機会が多くなるだろうし、医療機関のソーシャルワーカーなら、ソーシャルワーカー協会の方が身近な問題の研修内容が多く、そちらの方が研修受講動機としては大きくなるので、そちらへの入会を優先して、社会福祉会は加入する意味を感じない人が多いのである。

つまり社会福祉士が相談援助の基礎資格として多様な相談援助領域をカバーする総合資格であるがゆえに、各自の専門性のニーズにマッチしづらくなっているという矛盾が生じているのである。これは組織として大きなジレンマであろう。

研修内容にしても、毎回倫理規定を音読し、生涯研修システムの内容をアナウンスする基礎研修を毎年受講する動機付けは薄いし、権利擁護セミナーとして成年後見制度に関連した研修を毎年、複数回受講する動機付けも薄い。はっきりいって現状の研修体制は決して人を引き付ける内容ではなく、その魅力は他団体に比べ劣ると感じている社会福祉士が多いのである。

こういう根本的な問題に手をつけないで、勧誘だけを進めても会員増加は一時的かつ短期的な現象としてしか効果がないだろう。

残念ながら、組織率の低さへの処方箋の書き方が間違っていると言わざるを得ない。

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