先週金曜日の午後6時30分から、当地域における「介護認定審査会委員現任研修及び運営適正化研修」が行われた。

夜9時少し前に終了したが、暦の上での3連休直前の夜の研修としては何ともお粗末な内容で閉口した。
(※とはいっても僕は土曜も出勤で、実質的な休日は日曜のみであったので、連休は関係ないと言えば、関係ないのであるが・・・。)

テキストを読めばわかるようなことを字の小さいパワーポイントファイルの棒読み説明で何の意味があるんだろう。その内容も「坊主のお経」でもあるまいし、国のアナウンスをコピーしただけのもので、新情報も、分かりやすい解説も皆無である。

こんな研修会なら「テキストのこの部分を読んで審査会に臨んでください」と文書で周知するだけで十分である。まったく時間の無駄である。

ところでこの研修会ではまったく触れられていなかったが(だいたい、そのような情報も持っていないんだろう)10月申請分から適用される修正ルールの掲載されているテキストを監修しているのは、厚生労働省老健局の天本老人保健課長補佐である。この人、9月末に新政権の担当者との協議の場で、要介護認定のルール変更問題を説明した際に、新テキストでは「審査会の役割についても言い回しを変えていますので、審査会の裁量権が増えています。」と説明している。ただ僕はそのことがどの部分のことを指しているのか分からなかったので、審査委員研修の説明で確認しようとしたら、先週の研修会での説明では「今回変わったのは調査ルールだけで、審査会の機能や方法は変わっていません。」と胆振支庁保健福祉部長は明言していた。

天本課長補佐の認識や見解は、都道府県には伝わっていないという証明であり、結果的にそれは現場の審査会にも伝わっていないということに他ならない。よって審査会で1次判定を変更できる審査員の裁量権は非常に狭いまま運用されることになり、これによって変更されない1次判定が増えたことをもって「精度が上がった」と勘違いされては困るのだ。一律機械的な判断基準に押し込められただけなのである。

また一旦報告書を提出して一区切りをつけた「検証委員会」は継続審議されることになっている。今度は再々々変更された認定ルールにおける「一次判定結果」が実際に本年3月までの結果と比べてどうなっているかを調べるものである。厚生労働省の主張はルール変更によって要介護状態区分の出現率は以前と同様の分布状態になった、といっているので、これを証明する検証委員会である。

このシミュレーションをしている関係者からの情報も随時入ってきているが、どうやら軽度判定に変更されるケースは相変わらずあるものの、反面ルール変更前の判定では見られなかったケースで重度変更となるケースも同じ程度に出てきているそうである。

その違いを見てみると、共通点があって「食事」と「移動・移乗」に関わるところで選択肢が変わったケース(自立⇒一部介助へ)が重度変更となっており、そう言った意味では、厚生労働省が望んでいた結果になりそうだということである。

しかしそれは4月から9月末までの調査判定方法がいかに軽度化誘導ルールであったかが、これによって証明されているという意味でもあるのだ。

ただこれが是正されたというのが「結論」として今後出される見込みでる。

しかし本当にそうか?状態区分ごとの出現率が前年と変わらないとしても、以前の記事で主張したように後期高齢者が増えている現状では本来、要介護4以上の重介護者の自然増があるのが普通で、出現率の比率分布が変わっていないということは、この自然増がどこかで(おそらく認定ソフトのロジックそのものによって)カットされているという意味だし、同時に分布は同じでも重度変更・軽度変更がほぼ同じ割合で生じているということは、状態が変わらないのにソフトのロジック変更で認定結果が変わってしまっているという人が多数存在するという意味である。

これこそが問題である。「軽度化したから悪い」とか「軽度化しなかったら問題ない」ということではなく、介護サービスを使うための尺度がコロコロ変えられ、そのたびに莫大な国費が支出され、それによって儲けている連中がいて、そのことのよって権益が生まれている、という問題なのである。

今回のソフトはデータが古いから新しくしたといっているが、そもそも介護の行為時間に時代差なんてあるわけがない。調査方法も基本は「1分間タイムスタディ」という方法に変わりはないんだから、データの違いは、サンプルが変わった結果でしかなく、それはどちらが正しいと言えるものではないし、新しいほうが実態に近いとも言い切れない。

そして今回はソフトの判定ロジックが大きく変えられているので、それによる結果の違いが生じているが、それが「正しい判定」であるという根拠はまったくない。機械的な判断基準が増えているので調査員が頭を使わなくてよい部分が増えたから「よくなった」というのであれば、なんのための調査だよ、といいたい。

であれば、そのようなあいまいな理屈によって、わずか10年の間に尺度そのものが何度も変えられ、心身の状態が変わっていないのに認定結果だけが揺れ動くということそのものがおかしい。しかも1度のソフト改正にはモデル事業も含めると400億円もの巨額な税金が使われるのである。

このこと自体がおかしいと考えない検証委員会では意味がないと思う。

これだけ金をかけ、経過措置をとらざるを得ないような混乱を生んだ結果が、どうなっているのか、そのことが問題の本質であり、新ソフトの導入の具体的成果と意味を説明できないのであれば国民の税金は無駄に使われたということである。

国と開発に関わった学者の言い訳のような「理屈」を鵜呑みにする検証会であってはならないのである。

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