野球はドラマである。今年のプロ野球ペナントレースも人生そのものをあてはめることができるような紆余曲折に満ちている。
我がファイターズの今シーズンは谷底から始まった。札幌ドーム開幕対楽天3連戦は、1戦目がエース・ダルビッシュ。誰しもが勝利を疑わなかったが、岩隈との投げ合いに敗れ、そこから悪夢の3連敗・・・。シーズン前のプロ野球解説者の予測でも評価が低かったこともあり、道内のファンの多くが長いシーズンの先に不安を感じた。
しかしその後、ベテラン金子誠選手を中心にした「繋ぎの打線」は、3割打者がシーズン後半に入っても5人もいるという活躍ぶりで(※北海道では某放送局が「なまらスゴイっしょ打線」とネーミングしている。)開幕3連敗の悪夢を振り払うように勝ち続け、首位をがっちりキープして8月の中旬には独走態勢に入り、このころには僕の職場のコバクンのように、すでにクライマックスシリーズと日本シリーズの観戦予定を立てて、お盆の休暇を返上するという輩まで現われた。
しかしちょうど僕が沖縄講演を行っていた8月19日、ファイターズを震撼させるあの新型インフルエンザのチーム内集団感染が起こった。それによってレギュラーをはじめとした1軍主力選手が次々と戦線離脱し、急遽2軍から若手を挙げて試合に臨んだが2位ソフトバンクとの試合では3割バッター(その時点)を3名(田中・小谷野・糸井)も欠く打線で1点が遠く、ついに前後を含め6連敗を喫し、優勝がおぼつかなくなった。
救世主は沖縄出身の糸数投手。6連敗後のチームを勇気づける好投で連敗を止め、チームには続々とインフルエンザを克服復帰したメンバーが帰ってきた。そしてチームに再び勢いがついて優勝マジックが点灯した。その後糸数クンは2軍と1軍を行ったり来たりして、完全にローテーションには入っていないが、先々週火曜からの9連戦では、再び快投を演じてくれて、救助投手陣が苦しい中、完投勝利を挙げてくれた。今日も1軍復帰して先発マウンドに登る予定である。来年はローテーションの1角を是非になってほしい投手だ。
今年は打線では糸井選手の大ブレークがチームを救ったし、ファイターズの今年の漢字は「糸」で決定である。
さてそのファイターズの優勝マジックは今日現在で5である。おそらく今シーズンのパリーグ制覇は間違いないだろう。(これがひっくりかえるようなドラマはいらない!!)
クライマックスシリーズも制して日本シリーズに出場できるかどうかはわからないが、リーグ戦としては、この4年間で3回目の優勝だから今、パの盟主はファイターズであると個人的には思っている。新聞に躍る「北の常勝軍団」というフレーズも満更当っていないわけではないと思えてきた。どちらにしても道民はファイターズのおかげでたくさん幸せをもらっている。僕は3年前の日本一の時にはシーズン優勝の瞬間、クライマックスシリーズ優勝の瞬間、日本シリーズ優勝の瞬間をすべて生で目の前で見て、新庄の涙の打席にも感動したが、今年も同じ感動を味わえるだろうか?密かに優勝が決まりそうなゲームのチケットを手配している。もちろんクライマックスシリーズの先行予約も済んでいる。
ただ勝者の影には常に敗者が存在する。しかも勝者の姿よりも美しい敗者が存在し、僕の瞼に焼きついているある光景がある。
ファイターズが初の日本一になる前の年のクライマックスシリーズで、シーズン1位のホークスがシーズン2位のマリーンズに敗れた。敗因は4番の松中選手が不調だったことが大きいといわれ、マリーンズ勝利の後のホークスのベンチには、責任を一人で背負うようにベンチに腰掛けうつむく松中選手がいた。
その後ろには今メジャーリーグのマリナーズで活躍している城島捕手の姿があった。
知る人は知るように、ホークス内で松中選手と城島選手は普段まったく口を利かない仲である。両者ともチームの中心選手であるが故の確執であろう。その城島選手が、うなだれる松中選手の後ろで某若手選手を呼び、松中選手を指さし何やら指示している。そのまなざしは憂いに満ちたもので松中選手をいたわる気持ちがこもったものであった。若手選手に自分に代わっていたわる声をかけるように指示していたんだろう。男同士のこうした関係も素晴らしいものだと思った。
しかし美しいと思ったのはその場面ではなく、その松中選手が翌年、城島捕手という主力が抜けたチームを引っ張り、ホークスは最後に日本シリーズ出場権をファイターズと争って札幌ドームで対決した場面である。
ファイターズが優勝した瞬間は最終回裏のサヨナラ勝ちであった。北海道に来て初のリーグ制覇にグランドのファイターズナインもスタンドの僕らも我を忘れて歓喜に浸っていた。その時、ふとマウンドをみると、敗戦の涙で歩けなくなったエース斉藤 和巳投手が泣きじゃくりながら2人の外国人選手に両脇を抱えられるようにベンチに引き揚げて行った。その姿も僕には全力を出し切ったヒーローだけが流せる心の涙に思えて美しいと感じた。
そしてふと外野守備位置に目を向けると、守っていたホークスナインがすべて引き上げ、ファイターズの選手がホームベース上で歓喜の輪を作ろうとしているまさにその時に、ひとり松中選手だけが、レフトの守備位置に両膝をつけてうなだれうずくまっている姿があった。その肩はがっくりと落ちていたが、僕はその背中を見て、この上もなく美しい姿に感じた。
ゲームには必ず勝者と敗者が生まれるが、その過程で燃やした魂は勝者も敗者もなく素晴らしものだ。
クールな時代に、こんなにもファンに夢と感動を与えてくれる理由は、そこで戦うすべての選手たちが魂を込めた熱い戦いをしているからだろうと思う。
斉藤投手や松中選手の「敗者の美しい姿」をみていると、いずれこの人たちが勝者となって歓喜の輪の中で涙するドラマも必ず生まれるのだろうと思ったりした。
だから野球は素晴らしい。
ただ今年は日本シリーズにもファイターズが出場して日本一に輝いてほしいことは言うまでもないが・・・。
※昨日の記事でお知らせしたとおり明日はテレビに出演します。午前の番組なので朝早くにスタジオ入りなので、今日夜に札幌入りしてホテル待機ですので、明日は記事更新をお休みします。ご了承ください。
介護・福祉情報掲示板(表板)
(↓1日1回プチッと押してね。よろしくお願いします。)
人気blogランキングへ
にほんブログ村 介護ブログ
FC2 Blog Ranking
(↑上のそれぞれのアドレスをクリックすれば、このブログの現在のランキングがわかります。)
我がファイターズの今シーズンは谷底から始まった。札幌ドーム開幕対楽天3連戦は、1戦目がエース・ダルビッシュ。誰しもが勝利を疑わなかったが、岩隈との投げ合いに敗れ、そこから悪夢の3連敗・・・。シーズン前のプロ野球解説者の予測でも評価が低かったこともあり、道内のファンの多くが長いシーズンの先に不安を感じた。
しかしその後、ベテラン金子誠選手を中心にした「繋ぎの打線」は、3割打者がシーズン後半に入っても5人もいるという活躍ぶりで(※北海道では某放送局が「なまらスゴイっしょ打線」とネーミングしている。)開幕3連敗の悪夢を振り払うように勝ち続け、首位をがっちりキープして8月の中旬には独走態勢に入り、このころには僕の職場のコバクンのように、すでにクライマックスシリーズと日本シリーズの観戦予定を立てて、お盆の休暇を返上するという輩まで現われた。
しかしちょうど僕が沖縄講演を行っていた8月19日、ファイターズを震撼させるあの新型インフルエンザのチーム内集団感染が起こった。それによってレギュラーをはじめとした1軍主力選手が次々と戦線離脱し、急遽2軍から若手を挙げて試合に臨んだが2位ソフトバンクとの試合では3割バッター(その時点)を3名(田中・小谷野・糸井)も欠く打線で1点が遠く、ついに前後を含め6連敗を喫し、優勝がおぼつかなくなった。
救世主は沖縄出身の糸数投手。6連敗後のチームを勇気づける好投で連敗を止め、チームには続々とインフルエンザを克服復帰したメンバーが帰ってきた。そしてチームに再び勢いがついて優勝マジックが点灯した。その後糸数クンは2軍と1軍を行ったり来たりして、完全にローテーションには入っていないが、先々週火曜からの9連戦では、再び快投を演じてくれて、救助投手陣が苦しい中、完投勝利を挙げてくれた。今日も1軍復帰して先発マウンドに登る予定である。来年はローテーションの1角を是非になってほしい投手だ。
今年は打線では糸井選手の大ブレークがチームを救ったし、ファイターズの今年の漢字は「糸」で決定である。
さてそのファイターズの優勝マジックは今日現在で5である。おそらく今シーズンのパリーグ制覇は間違いないだろう。(これがひっくりかえるようなドラマはいらない!!)
クライマックスシリーズも制して日本シリーズに出場できるかどうかはわからないが、リーグ戦としては、この4年間で3回目の優勝だから今、パの盟主はファイターズであると個人的には思っている。新聞に躍る「北の常勝軍団」というフレーズも満更当っていないわけではないと思えてきた。どちらにしても道民はファイターズのおかげでたくさん幸せをもらっている。僕は3年前の日本一の時にはシーズン優勝の瞬間、クライマックスシリーズ優勝の瞬間、日本シリーズ優勝の瞬間をすべて生で目の前で見て、新庄の涙の打席にも感動したが、今年も同じ感動を味わえるだろうか?密かに優勝が決まりそうなゲームのチケットを手配している。もちろんクライマックスシリーズの先行予約も済んでいる。
ただ勝者の影には常に敗者が存在する。しかも勝者の姿よりも美しい敗者が存在し、僕の瞼に焼きついているある光景がある。
ファイターズが初の日本一になる前の年のクライマックスシリーズで、シーズン1位のホークスがシーズン2位のマリーンズに敗れた。敗因は4番の松中選手が不調だったことが大きいといわれ、マリーンズ勝利の後のホークスのベンチには、責任を一人で背負うようにベンチに腰掛けうつむく松中選手がいた。
その後ろには今メジャーリーグのマリナーズで活躍している城島捕手の姿があった。
知る人は知るように、ホークス内で松中選手と城島選手は普段まったく口を利かない仲である。両者ともチームの中心選手であるが故の確執であろう。その城島選手が、うなだれる松中選手の後ろで某若手選手を呼び、松中選手を指さし何やら指示している。そのまなざしは憂いに満ちたもので松中選手をいたわる気持ちがこもったものであった。若手選手に自分に代わっていたわる声をかけるように指示していたんだろう。男同士のこうした関係も素晴らしいものだと思った。
しかし美しいと思ったのはその場面ではなく、その松中選手が翌年、城島捕手という主力が抜けたチームを引っ張り、ホークスは最後に日本シリーズ出場権をファイターズと争って札幌ドームで対決した場面である。
ファイターズが優勝した瞬間は最終回裏のサヨナラ勝ちであった。北海道に来て初のリーグ制覇にグランドのファイターズナインもスタンドの僕らも我を忘れて歓喜に浸っていた。その時、ふとマウンドをみると、敗戦の涙で歩けなくなったエース斉藤 和巳投手が泣きじゃくりながら2人の外国人選手に両脇を抱えられるようにベンチに引き揚げて行った。その姿も僕には全力を出し切ったヒーローだけが流せる心の涙に思えて美しいと感じた。
そしてふと外野守備位置に目を向けると、守っていたホークスナインがすべて引き上げ、ファイターズの選手がホームベース上で歓喜の輪を作ろうとしているまさにその時に、ひとり松中選手だけが、レフトの守備位置に両膝をつけてうなだれうずくまっている姿があった。その肩はがっくりと落ちていたが、僕はその背中を見て、この上もなく美しい姿に感じた。
ゲームには必ず勝者と敗者が生まれるが、その過程で燃やした魂は勝者も敗者もなく素晴らしものだ。
クールな時代に、こんなにもファンに夢と感動を与えてくれる理由は、そこで戦うすべての選手たちが魂を込めた熱い戦いをしているからだろうと思う。
斉藤投手や松中選手の「敗者の美しい姿」をみていると、いずれこの人たちが勝者となって歓喜の輪の中で涙するドラマも必ず生まれるのだろうと思ったりした。
だから野球は素晴らしい。
ただ今年は日本シリーズにもファイターズが出場して日本一に輝いてほしいことは言うまでもないが・・・。
※昨日の記事でお知らせしたとおり明日はテレビに出演します。午前の番組なので朝早くにスタジオ入りなので、今日夜に札幌入りしてホテル待機ですので、明日は記事更新をお休みします。ご了承ください。
介護・福祉情報掲示板(表板)
(↓1日1回プチッと押してね。よろしくお願いします。)
人気blogランキングへ
にほんブログ村 介護ブログ
FC2 Blog Ranking
(↑上のそれぞれのアドレスをクリックすれば、このブログの現在のランキングがわかります。)
明日は、今のままのmasaさんの姿とコメントとが、北海道中にテレビ放映される事を、本州は遠くの空からエールを送ります。
それにしても、私は野球はそれほど興味がある訳ではないのですが、ブログを読ませて頂くと、いついもながら、一気に最後まで進み、その所々で、自分の視野に入った全てのものに想いを馳せていらっしゃる事に驚きと感激を得る事ができました。
野球の観戦のみならず、「人」についての観察・洞察・受容・共感・評価・・・など等、全てに繋がっているように感じました。一面だけをみるのではなく、表面上に現れない想いをどれだけ深く自分が捉える事ができかにかかってくるのですね。社会福祉援助技術の講義をして頂いているようです。
お気をつけて、行ってらっしゃーいです。ファイト!オー♪私も明日から仕事始まりでーす。
追伸!「人気biogランキングへ」行き、このブログが第一になるのが楽しみになりました。Vッ!