介護保険法の定めでは、都道府県は毎年、施設や事業所向けに集団指導を行い、これを中心に介護事業の適正運営を周知して実地指導で確認し、問題があれば監査などを行うとしている。

そのため問題のあるなしに係らず、定期的な実地指導(検査)が行われることになっており、施設サービスの場合、これは最低でも2年に1度行われることになっている。(居宅サービスの場合は指定更新までの間に最低1度実施されることになっている。)

この実地指導において最低限チェックされる項目について、日ごろから事業者は自己点検して、常に求められている水準を下回らないサービスに努めねばならないとされ、そのために各都道府県ではサービス種別ごとに自己点検表などを公開している。

北海道では道のホームページから各事業別の自己点検一覧表がダウンロードでき、当サイトでもそれを掲載している。その「介護老人福祉施設自己点検一覧表(介護保険法・従来型)」を読むと、求められている基準(点検事項)について、首を傾げたくなる内容が含まれている。

例えば食事サービスに関する基準では、次のような点検項目が挙げられている。

「指定介護老人福祉施設は、栄養並びに入所者の心身の状況及び嗜好を考慮した食事を、適切な時間に提供しているか。
また、入所者の自立の支援に配慮し、できるだけ離床して食堂で行われるよう努めているか。」

前半部分は特に問題とは思わない。特に基本食事サービス費があった当時は、午後6時前の夕食提供は、当該費用の減算が適用されたが、食費が保険外自己負担になって早い時間の夕食提供に減算という罰則適用ができなくなったものの、だからといって一方的な施設側の都合で何時に食事時間を設定しようと構わないという意味ではなく、一般常識で考えられる範囲で早すぎる夕食時間の設定は運営基準違反とするもので、この点検項目については納得できる。

しかし問題は後半部分の「できるだけ離床して食堂で行われるよう努めているか。」という点検項目である。これによれば、離床かつ食堂での食事が最低基準と規定されているのである。なぜ離床と食堂での食事をセットに考えねばならないのだろう。

離床可能な利用者を、安易にベッドに寝かせたまま食事介助を行い、ベッド上でほとんどの生活援助が完結してしまうのは確かに問題があるだろう。しかしだからといって離床した人が全員「食堂で食事を摂る」必要があるのだろうか?大いに疑問である。

きちんと食事をするために離床をしておれば、食事を摂る場所など指定する必要はないのではないか?例えば廊下に食事用テーブルを出して食事を摂らせたり、本来食事場所としてふさわしくない落ち着かない場所・清潔感のない場所等で食事を摂っている場合などは問題であろうが、食堂でなくとも自室で食事を摂ったってよいだろう。特に個室化が進んでいる現況では、自室でテレビを見ながら、ゆっくり食事をしたいという希望者も多いはずで、それは何も不適切ではない。

自己点検項目が、これを認めないような食堂での食事を奨励するのは、引きこもり等を心配した結果なのであろうが、それは離床援助が貧困な発想でしか行われていなかった時代の名残であり、食事以外にも様々な形で離床援助され、日課活動への参加支援が行われている場合、食事を心身活性化効果や機能活用維持効果のみに着目して考えるべきではなく「食事という楽しみ」を主眼として考えられるべきで、そうであれば食事場所は食堂には限らないし、一般的に非常識と考えられる場所で食事を摂るようなことにもならない。

だからこの基準は「できるだけ離床して、適切な環境で食事を摂るように努められているか」に変えなければならない。

何しろ頭の固い指導担当者が実地指導に入った場合、この点検票の項目を盾に杓子定規な指導を行うことが多いので、こういう時代錯誤の点検基準があることにより、利用者の思いが、運営基準と実地指導により阻害されるというばかばかしい状況が生まれかねないのである。

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