手元に、日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団による「ホスピス・緩和ケアに関する意識調査」という報告書がある。
この調査は08年2月12日から2月25日まで、郵送調査により20歳から89歳までの全国の男女1.010人を対象(第1生命経済研究所生活調査モニターより抽出)に行われたもので、982人(97.2%)から回答が出されている。回答者の年齢構成を見ると、20代が4.9%、70代以上が12%となっているが、30代〜60代までは、ほぼ均等の20%前半の値である。男女比は男49.4%、女50.4%である(不明0.2%)。
この中で特に今回僕が注目して取り上げたいのは「死に直面したときの精神的な問題」に関する項目の中の「死期が近い場合に、心配や不安を感じること」と「死に直面した場合に心の支えになる人」(ともに複数回答可)である。この2つの項目は、不安に対して心の支えを誰に求めるのかという意味で当然リンクしているだろうと考えられる。その結果であるが
(1)死期が近い場合に、心配や不安を感じること
1.病気が悪化するにつれ、痛みや苦しみがあるのではないかということ 68.7%
2.家族や親友と別れねばならないこと 56.6%
3.残された家族が精神的に立ち直れるかということ 46.1%
4.自分のやりたいことがやれずじまいになること、やり残したことがあること 40.4%
5.残された家族が経済的に困るのではないかということ 32.5%
6.自分が死ぬと自分がどうなるのか、どこへ行くかということ 31.9%
7.自分の存在が消滅するということ 15.1%
8.自分の存在がこの世から忘れられてしまうのではないかということ 11.5%
9.財産がどうなるかということ 6.5%
10.職場や周りの人が仕事や業務のことで困るのではないかということ 5.1%
11.心配や不安はない 5.0%
(2)死に直面した場合に心の支えになる人
1.配偶者 77.4%
2.子ども 71.4%
3.友人 30%
4.医師 27.8%
5.同じ病気を持つ仲間 20.8%
6.親戚 19.4%
7.看護師 17%
8.ソーシャルワーカー 6.3%
9.宗教者 4.7%
10.職場の仲間 2.7%
11.支えになる人はいない 4.9%
以上である。複数回答なので合計は100%を超えるが、ご覧のように死期が迫るときに感じるであろう不安については、心のケアが必要である項目が多いのに、それに対して「支える人」では、ソーシャルワーカーを選択した人は非常に少ない。直接、病気の治療に携わる医師や看護師より、その比率が少ないことは想像された結果であろうが、それにしても少ない数字である。
これはソーシャルワーカーという職業自体が世間一般の人々に、まだまだ認知されていないという意味もあると思え、ソーシャルワーカーという職種が「どんな仕事をする人か、よくわからない」という人も多いという現状をも表したもので、ターミナル期に「何をしてくれるのかわからない」というメッセージも込められていると考えざるを得ない。
同時にターミナル期の「リビングウイル」という制度の理解も浸透していないということではないだろうか。我々ソーシャルワーカーはこの現実を真摯に受け止めて、現場から様々な情報をもっと発信する必要があるだろう。
ところで、特養で「看取り介護」を行なう場合、ソーシャルワーカーやケアマネジャー(当施設ではケアマネもソーシャルワーカーと位置づけているので、以下ソーシャルワーカーに統一する。)の役割は極めて重要である。看取り介護の説明・同意の場から、利用者または家族に対する、心のケアは必要なので、医師からのムンテラの際には必ずソーシャルワーカーは同席するし、実際の看取り介護期には家族への諸連絡、サービス実施内容の都度説明はソーシャルワーカーが中心になって行う。その仕事は実に多岐に及び、看取り介護実施中に、利用者またはキーパーソンとなる家族と関係の悪化していた家族の関係調整を行うこともある。
医師や看護師や家族にできない調整が、ソーシャルワーカーの存在によって可能になる場合も多いのである。
また死後の年金、健康保険、葬祭執行にともなう葬祭費の手続き、各種受給者症の資格喪失手続きなど死後支援はソーシャルワーカーの業務である。だからもっと当事者や家族にも頼られる存在になる必要があるだろう。
そのためには、そうした実践を積み重ねて社会的な認知度を高めるしか方法はないんだろう。いや、もしかしたら表面に現れなくとも、縁の下で支える役目を負っていることで良いのではないかという考え方もあろうかと思うが、少なくとも、死期の近い人々に頼られる存在、心の拠り所になる存在であってほしいと思う。
それぞれの現場での実践が問われているということであろうか・・・。
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この調査は08年2月12日から2月25日まで、郵送調査により20歳から89歳までの全国の男女1.010人を対象(第1生命経済研究所生活調査モニターより抽出)に行われたもので、982人(97.2%)から回答が出されている。回答者の年齢構成を見ると、20代が4.9%、70代以上が12%となっているが、30代〜60代までは、ほぼ均等の20%前半の値である。男女比は男49.4%、女50.4%である(不明0.2%)。
この中で特に今回僕が注目して取り上げたいのは「死に直面したときの精神的な問題」に関する項目の中の「死期が近い場合に、心配や不安を感じること」と「死に直面した場合に心の支えになる人」(ともに複数回答可)である。この2つの項目は、不安に対して心の支えを誰に求めるのかという意味で当然リンクしているだろうと考えられる。その結果であるが
(1)死期が近い場合に、心配や不安を感じること
1.病気が悪化するにつれ、痛みや苦しみがあるのではないかということ 68.7%
2.家族や親友と別れねばならないこと 56.6%
3.残された家族が精神的に立ち直れるかということ 46.1%
4.自分のやりたいことがやれずじまいになること、やり残したことがあること 40.4%
5.残された家族が経済的に困るのではないかということ 32.5%
6.自分が死ぬと自分がどうなるのか、どこへ行くかということ 31.9%
7.自分の存在が消滅するということ 15.1%
8.自分の存在がこの世から忘れられてしまうのではないかということ 11.5%
9.財産がどうなるかということ 6.5%
10.職場や周りの人が仕事や業務のことで困るのではないかということ 5.1%
11.心配や不安はない 5.0%
(2)死に直面した場合に心の支えになる人
1.配偶者 77.4%
2.子ども 71.4%
3.友人 30%
4.医師 27.8%
5.同じ病気を持つ仲間 20.8%
6.親戚 19.4%
7.看護師 17%
8.ソーシャルワーカー 6.3%
9.宗教者 4.7%
10.職場の仲間 2.7%
11.支えになる人はいない 4.9%
以上である。複数回答なので合計は100%を超えるが、ご覧のように死期が迫るときに感じるであろう不安については、心のケアが必要である項目が多いのに、それに対して「支える人」では、ソーシャルワーカーを選択した人は非常に少ない。直接、病気の治療に携わる医師や看護師より、その比率が少ないことは想像された結果であろうが、それにしても少ない数字である。
これはソーシャルワーカーという職業自体が世間一般の人々に、まだまだ認知されていないという意味もあると思え、ソーシャルワーカーという職種が「どんな仕事をする人か、よくわからない」という人も多いという現状をも表したもので、ターミナル期に「何をしてくれるのかわからない」というメッセージも込められていると考えざるを得ない。
同時にターミナル期の「リビングウイル」という制度の理解も浸透していないということではないだろうか。我々ソーシャルワーカーはこの現実を真摯に受け止めて、現場から様々な情報をもっと発信する必要があるだろう。
ところで、特養で「看取り介護」を行なう場合、ソーシャルワーカーやケアマネジャー(当施設ではケアマネもソーシャルワーカーと位置づけているので、以下ソーシャルワーカーに統一する。)の役割は極めて重要である。看取り介護の説明・同意の場から、利用者または家族に対する、心のケアは必要なので、医師からのムンテラの際には必ずソーシャルワーカーは同席するし、実際の看取り介護期には家族への諸連絡、サービス実施内容の都度説明はソーシャルワーカーが中心になって行う。その仕事は実に多岐に及び、看取り介護実施中に、利用者またはキーパーソンとなる家族と関係の悪化していた家族の関係調整を行うこともある。
医師や看護師や家族にできない調整が、ソーシャルワーカーの存在によって可能になる場合も多いのである。
また死後の年金、健康保険、葬祭執行にともなう葬祭費の手続き、各種受給者症の資格喪失手続きなど死後支援はソーシャルワーカーの業務である。だからもっと当事者や家族にも頼られる存在になる必要があるだろう。
そのためには、そうした実践を積み重ねて社会的な認知度を高めるしか方法はないんだろう。いや、もしかしたら表面に現れなくとも、縁の下で支える役目を負っていることで良いのではないかという考え方もあろうかと思うが、少なくとも、死期の近い人々に頼られる存在、心の拠り所になる存在であってほしいと思う。
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今回、記事を拝見して、おおいに反省し、自身の仕事を見直そうと思いました。
(1)のアンケート結果からも、自身の心配だけでなく、死後の親族や周囲の人々の生活に対するものもおおいにありますね。
当院では、緩和ケア目的の入院患者さんはそう多くはありませんが、SWとして死期が近い方に何ができるか、もっと考えていきたいと思います。