昨日、新認定ソフトに関する検討会が開かれた。そこでは報道でもご存じの通り被該当の出現率が大幅に増えている結果が報告されている。

関係者にとっては、すでに予測された結果で、今更であるが、施設在所者と在宅者の軽度化比率の違いなど事前に僕の手元に入っている細かな情報は報道されていない。また被該当のみならず要介護状態区分の軽度認定について、特に要介護5の出現率の低下も問題視してほしいという思うが、国はなかなか細かな分析結果を表に出そうとしない。

しかも少しお呆けになった委員は経過措置で結果が変わらなかったことを「2次判定で元に戻しており新ソフトによる1次判定の影響はない」とお馬鹿な見解を述べている。
(※結城淑徳大准教授の発言要旨1次判定はかなり軽度になるが、2次判定できちっと戻される。大きく見積もれば、軽度化と重度化はなかった」)

経過措置の特例で認定結果に関係なく従前通りの要介護状態区分に認定されていることも理解していないだろうか?こういう脳みその固まった馬鹿連中により、この国の大切な問題が審議されていると思うと何とも情けなくなる。この人、もう引退されたほうがよい。

この問題に関しては28日に最後の検討会を行って、経過措置を含めた最終的な結論が出されるようである。一番よいのは新判定ソフトを一時凍結して事実上闇に葬ってしまうという方向であるが、この開発にかけた費用の無駄遣いという指摘を受けないために「そういう結論には何が何でもしない」というのが国の当初からの方針である。よってその結論にはあまり期待しないほうがよいだろう。

ところで、この新ソフトのオンボロぶりや、新調査ルールの軽介護認定への誘導ぶりは過去の記事(参照:カテゴリー要介護認定)で書いているので今日は違った角度から一次判定ソフトの問題を考えてみたい。

介護保険制度ができたのは2000年である。ちょうど今年は制度創設10年目に入っている。

この間、一部のルール改正や報酬改定、制度改正など様々な変更が行われてきたが、制度を利用するために必要不可欠な要介護認定を導き出すための一次判定ソフトは実に3度も変更されている。

2000年4月の制度開始時にサービスが使えるように、その前に要介護認定審査を行わねばならず、その時に開発されたのが一次判定ソフト1999である。その後、認定ソフト1999では「運動能力の衰えていない認知症」 の対象者の判定が正しく認定結果に反映されないとして、改正されたのが一次判定ソフト2002である。

次にソフトが変更されたのは2006年である。これは当然のことながら同年4月の制度改正により、新予防給付が創設され、要支援及び要介護状態区分が6段階から、要支援が1と2に分けられ7段階に変更されたことによるものだ。

そして今回の新一次判定ソフト2009である。これは介護に要する時間を割り出している基礎データ(1分間タイムスタディ)が古く実態と乖離されているとされ、調査項目の見直しと同時にソフト変更がされたものである。

このように一番長期間使われた一次判定ソフトでも丸4年間でしかない。人間の生活支援に関わる基準時間の基礎データや、それを基にした介護状態の区分判定方法を、そのような短い期間で変える必要があるのだろうか。認定期間が2年に延長されている人は、場合によって2度か3度ごとに違ったソフトで一次判定を受けることになる。認定ソフト2006による審査を1度しか受けないまま、次の判定は2009の適用となる人も多い。そうなれば身体状況や生活状況が全く変わっていないのにソフトの変更だけで要介護度や、それに伴う支給限度額が変更され、サービスに影響することとなる。

これでは、なんとも信頼性の薄い基礎データであるといえ、それはとりもなおさず現行のすべての要介護認定結果が根拠の薄弱な区分であるということになり、その結論は、そうした信頼性の薄いあいまいな基準に基づいて国民の税金や保険料が使われていることに他ならない。

しかも過去の一次判定ソフト改正の結果からみれば、それはすべて軽度判定が増える形になっており、この変更の主たる目的が判定の軽度化による給付費抑制であることは見え見えである。(参照:要介護認定の見直しの背後にある影

今回のソフト改正も、4月の報酬改定で実施された介護給付費3%アップ分を、少しでも軽度判定によって飲み込もうとする政策の一環に過ぎないのである。これにより実態に近い正確な判定ができるなんてことは、厚生労働省の官僚はだれも考えていないし、全国一律の基準で「地域によるばらつきをなくす」という意味は、厚生労働省が意図する判定結果に近付けるという意味以外のなにものでもない。

どうせ判定基準として曖昧な基準であるのだから、継続性の方が大事で、3年や4年でころころソフトを変えないで、継続性のある一律の基準で、全国レベルでの判定ルールを生活実態に即して統一し、その上で平準化を図るべきである。

ソフト改正にだって、かなりの費用がかかっている。そして研究開発する人々の懐に入って行く金は、すべて国民の税金である。その結果が、いつもオンボロソフトでしかない現状は、全く無駄遣いとしかいいようがない。

そういう意味でも、ソフト開発に係る関係者だけが肥える「変更」など必要はない。開発にかかわった某教授をはじめ、この結果は万死に値する国費の無駄遣いであると認識すべきだ。

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