世に介護用品といわれるものは星の数ほどある。

介護用品と医療用品との区分は難しいところであるが、そのことをあまり難しく考えず、広く介護施設で使われるものや、介護に関係するものを介護用品と考えて差し支えないだろう。

その中には、開発者の思い込みだけが先行して、介護の現場ではまったく役に立たないようなものもあるし、大人が使うことを想定していないのではないかと首を傾げたくなるものも多い。
(参照:介護用品開発者のセンスはすごく時代遅れ

現場の本当のニーズをリサーチして、超高齢社会にマッチした「大人としての高齢者」が使うにふさわしい商品開発が急がれるのがこの分野であると同時に、時代と顧客ニーズを正しく捉えれば、買い手のキャパシティーは広がり続けているので、大きなビジネスチャンスとなり得るのも、介護用品販売だろうと秘かに思っている。

ところで「現時点で一番開発してほしいと思う介護用品」はなんだろうと保健・医療・福祉関係者の方々に質問を向けたら、様々な答えが出され、おもしろいだろう。

しかし僕がひとつ、今現場で必要性が高い介護用品として開発してほしい製品を挙げるとすれば、それはカテーテル留置している方の「ウロガード」(尿がたまる袋部分:ウロバックともいう)を隠して、臭いも遮断する製品である。

特養では医療機関ほどカテーテル留置をしている人の数は多くはないだろう。それは医療行為の問題ではなく、医療機関では排泄ケアの手間を考えると、トイレ介助を行ったり、おむつ交換をするより、カテーテル留置してしまう方が排泄介助の手間自体はかからないので、ややもすれば排尿障害のない人にまでカテーテル留置をする傾向にあるが、特養等の介護施設では、逆にトイレでの排泄が不可能となるカテーテル留置は、ぎりぎりまで行わない傾向が強いからである。

それでも排尿障害のある方などは必ずいるので、何人かの利用者はカテーテル留置し、尿を貯めるウロガードを身辺(例えばベッド柵)につけている。しかしカテーテル留置している方だからといって活動参加できないわけではないので、ウロガードをつけたまま車椅子等で移動される方が多い。当然この袋は管で膀胱部分と繋がって尿をためるわけであり、車椅子の背部分にこれをつけて、そのままむき出しだと、袋に尿がたまっている状態も見えてしまう。

よって、どこの施設でも、ウロガードをむき出しのまま車椅子等につけて活動参加する様なことはない。利用者の羞恥心や、周囲の方の不快感を亡くす為にも、尿がたまっているウロガードそのものが見えないように、手作りの袋などを作って、その中にウロガードを入れ周囲の目からそれを隠している。

もともとカテーテル留置者のウロガードは、それをつけたまま活動することを想定しないで、ベッドを中心に生活する人が、それをベッドサイドにぶら下げて置けばよいと考えられ作られているもののように思う。なぜなら、きちんとした形でウロガードを覆う介護用品が見つからないからである。よって前述したように、ほとんどの施設では職員の手作りのマスキング用の袋を使っている。

しかし、これにも問題があって、中身が見えないように覆い隠すことは容易なのであるが、問題は「臭い」である。ウロガードにたまるものとは「尿」であるから、当然においが強い。ウロガードの口をどんなにしっかり閉めても、この臭いは完全に遮断できない。

カテーテル留置している人でも、座位が取れないわけではないし、そうした方は、日中ベッドから離れて生活するのが当たり前なので、この臭いの問題は結構深刻である。特に食事を他の利用者を一緒に摂る場合などでも、ふとした拍子に「臭い」が漏れるのは、周囲の人も困るであろうし、本人にとっても心の負担である。

そのため脱臭剤をウロガードを覆う袋の中に入れたり、いろいろな工夫をするのであるが、なかなか臭いの問題に対応できる決定的な方法はない。

介護施設などの現場では、介護職員等がこの「臭い」に慣れ、その問題に鈍感になっている場合があって、現場からその問題について声が挙がることが以外と少ないのであるが、カテーテル留置者を見慣れていない人、ウロガードを始めてみる人にとっては、そのれは尋常ではない風景に映るだろうし、臭いも異様に感じることが多いだろう。ここは利用者や周囲の人々が「慣れ」で問題の所在を見失うのではなく、生活者としての視点で、より快適な生活環境を作ると方向で、尿の臭気をできるだけ感じないようにする、という方法が考えられなければならない。

おそらくウロガードそのものを臭いが漏れないようにするのは、使い捨てである医療用品という性質上、コストがかかりすぎて現実的ではないだろう。そうであれば、繰り返し使える、洗い換えもできるようなウロガードを覆う製品で、脱臭作用があって臭いを漏らさないものがあれば、それに対するニーズはかなり高いだろうと思う。

介護用品開発や販売に関係する方々は、このアイディアを取り入れて、良い製品を開発してくれないだろうか。もしかしたら大ヒット商品になって、儲かるかもしない。そうしたら発案者の僕の施設に少し寄付してもらいたいものである(笑)。

既に、そういう製品があって僕が知らないだけなら、是非教えていただきたいものである。

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