介護施設の運営やサービス提供方法が法令に沿った適切なものであることについては、内部で定期的にチェックするだけではなく、外部の第3者に常に情報を公開して評価を受けることができるシステムを持つことが必要とされる。

それは施設サービスというものが、施設内で行われる行為によってほとんどの目的が完結してしまうという特性があるからであり、そのことは一面、規模の大きさに関係なく常に密室性を帯びる可能性があるため、内部のチェックだけで評価することは、場合によって問題を内部に隠してしまう方向にエネルギーが向かう可能性を否定できないからである。

特養等の利用者は、施設が「暮らしの場」であるがゆえに、そこで尊厳や権利が傷つけられる状況が生じた場合、そこから逃れることができず、その状況が密室化し、利用者の被害は社会の影の部分に深く隠れ、表面に現われない恐れがある。

必要なケアを行わずに放置するという虐待は、こうした形で深刻化する恐れがあり、その時に利用者の心の傷は取り返しのつかない状態にまで深く達し、人間としての尊厳や矜持さえ失ってしまう状況が生まれかねない。

そういうことが起きない為にも、施設が組織として持つべき倫理感が、職員全てに浸透して、全ての利用者の人権を守るという意識を、施設全体として常時もつことが介護施設の組織運営に求められる不可欠な視点である。

それゆえに、施設は外部の第3者から常に評価を受けることができる体制にあることが大事で、それは施設側の不正を抑止するという意味にとどまらず、施設が「よかれ」と思って提供しているサービスの方法が、世間一般の常識と乖離してしまわぬような抑止効果のためにも必要なことである。

つまり施設サービスに関する情報発信の重要な意味が「施設の常識が世間の非常識」という状況を生み出さないための「一般的尺度」の導入としても考えられるべきであるという意味である。

外部への情報提供のシステムとしては老人福祉法・介護保険法による運営指導や、介護保険法で定められた介護サービス情報の公表制度などがあるが、法律で定められた範囲の情報公開にとどまらない、より積極的な施設側からの情報提供が求められるであろう。

特に評価の意味として考えると、書類のあるなしという情報でしかない「介護サービス情報の公表制度」などは、事業者から金をぼったくるだけの役人の利権としての制度であるから、ほとんど意味はなく、そんなものは適切な情報公開にはならない、と考えるべきで、独自に別のシステムを取り入れる必要があるだろう。
(参照:利権化した介護サービス情報公表制度

特養が所在する地域の住民や、利用者の家族に対して、リアルタイムに施設運営状況を公開して、施設で何が行われているかをより適切に伝達できれば、必然的に施設サービスが社会からの評価対象となる結果となり、そのことがサービスの質の担保と法令遵守の促進を図ることに繋がるであろう。

そういう意味ではインターネット上のホームページというツールを使った情報公開は有効で、単に自己評価情報を流すだけではなく、施設の理念やサービスの実態をリアルタイムに公開することは重要である。それは特別なこととしてではなく、ごく普通に行われるべきであろう。これからの情報提供とは、誰がどこにいても必要な情報を簡単に得られることを念頭において情報発信法が考えられなければならず、特別養護老人ホームなどの介護施設といえど、そうした方向性を視野に入れた情報提供に積極的に取り組むことが時代と国民のニーズに応える運営といえるのではないだろうか。

特に現在の介護保険施設をめぐる現状を市場に例えた場合、それは売り手市場で、顧客確保に苦労する状況ではなく、逆にいえばそのことは、単に施設の公式ホームページを宣伝媒体・広告塔として使う必要のないことを意味している。

だからこそ、ホームページにおける正しい情報提供のあり方として、国民の期待に応える情報発信の方法を作り上げることができるのではないだろうか

介護・福祉情報掲示板(表板)

(↓1日1回プチッと押してね。よろしくお願いします。)
人気blogランキングへ

にほんブログ村 介護ブログ

FC2 Blog Ranking
(↑上のそれぞれのアドレスをクリックすれば、このブログの現在のランキングがわかります。)