特別養護老人ホーム等の介護保健施設や、居宅サービスを提供する介護サービス事業所は、介護給付費と利用者の一部負担金を主な収入源として運営されている。
介護給付費の財源は、国民が負担する税金と保険料が、それぞれ1/2である。よって介護サービス事業者は例え民間営利企業が運営しようと、社会福祉法人や医療法人は運営しようと、経営主体の違いによる区別なく、まさに公費で運営されているといえるのである。
そのため、こうした公費が適切に使われ、一定基準以上のサービスの水準を確保するために「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」等、それぞれの事業毎に省令で規定された基準を守って運営することが求められている。
これらは毎年行われる集団指導において守るべき重点規準等が繰り返しアナウンスされ、基準を守り適切運営がされていることについては、実地指導(施設サービスは2年に1度、居宅サービスは指定更新期間に最低1回実施)により確認され、基準を満たさずサービス提供されていることが確認された場合、口頭指導、文書指導、報酬返還指導、指定取り消しなどの処分を受けるものである。
しかしそれ以前に、施設や事業所自体が、介護給付費算定の際に、ある一定基準を下回って提供したサービスについては介護給付費を減算請求するという罰則を自主的に適用することが定められている。
例えば介護保険施設の定員超過については1月間(暦月)の利用者等の数の平均を用いて、当該月の全利用者等の延数を当該月の日数で除して得た数が定員超過した翌月から、定員超過利用が解消されるに至った月まで減算(7割算定)しなければならないというルールになっている。しかしこれは逆に言えば、ある特定の日に定員超過があっても、月平均で全利用者等の延数を当該月の日数で除して得た数が定員以内であれば減算対象にならないというルールである。
また通所サービスについても利用定員が月平均で超過している場合のみ減算対象で、日ごとの超過については月平均で定員内とされれば減算しないルールである。ただし通所介護は18年3月以前は日ごとの減算ルールだったものが、予防通所サービスという月額定額が誕生したことから日単位での減算ができなくなったということが主な理由であることを忘れてはならない。
さて、これらのことを誤解すると「減算対象とならなければ不適切運営ではなく法令違反ではない」と考えてしまう向きがある。「減算対象にならない日ごとの定員超過は問題ない」と考えて闇雲に利用者を受け入れる通所事業所などがある。
しかしそれは間違いである。介護給付費減算というのは罰則のひとつにしか過ぎず、罰則がない規準違反は問題とされないという意味ではない。
むしろ罰則がないルールであるからこそ、それを守ることが社会から求められる介護施設や介護サービス事業所の責任であるという理解が必要である。減算に該当する行為は、かなり悪質な違反を継続していることに対して、算定費用を一部返還することにより責任の所在を公に明らかにして改善を促すという、かなり厳しい強制力の行使であると考えるべきである。
特に介護給付費という税金と保険料で運営されるサービスに対しては、国民の厳しい視線が注がれるのが当然のことであり、それは単に、介護給付費の使われ方が適切かという問題にとどまらず、国民が支払う保険料と税金で運営されている施設である以上、公的な性格を帯びたものであり、法令を遵守するのは当然のことであり、それは努力目標にすらならないという考え方である。
むしろそれ以上に利用者の尊厳を保障する質の高いサービスを提供することも当然という見方である。よって減算がないことを理由に、規準違反を繰り返す事業者が存在することに対し、国民から「そうした施設や事業所に税金や保険料を使って良いのか」という議論が当然沸き起こるであろう。
そうした国民の厳しい視線と期待感に応えるためにも、より高い倫理観を持った施設・事業運営が求められるであろう。
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介護給付費の財源は、国民が負担する税金と保険料が、それぞれ1/2である。よって介護サービス事業者は例え民間営利企業が運営しようと、社会福祉法人や医療法人は運営しようと、経営主体の違いによる区別なく、まさに公費で運営されているといえるのである。
そのため、こうした公費が適切に使われ、一定基準以上のサービスの水準を確保するために「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」等、それぞれの事業毎に省令で規定された基準を守って運営することが求められている。
これらは毎年行われる集団指導において守るべき重点規準等が繰り返しアナウンスされ、基準を守り適切運営がされていることについては、実地指導(施設サービスは2年に1度、居宅サービスは指定更新期間に最低1回実施)により確認され、基準を満たさずサービス提供されていることが確認された場合、口頭指導、文書指導、報酬返還指導、指定取り消しなどの処分を受けるものである。
しかしそれ以前に、施設や事業所自体が、介護給付費算定の際に、ある一定基準を下回って提供したサービスについては介護給付費を減算請求するという罰則を自主的に適用することが定められている。
例えば介護保険施設の定員超過については1月間(暦月)の利用者等の数の平均を用いて、当該月の全利用者等の延数を当該月の日数で除して得た数が定員超過した翌月から、定員超過利用が解消されるに至った月まで減算(7割算定)しなければならないというルールになっている。しかしこれは逆に言えば、ある特定の日に定員超過があっても、月平均で全利用者等の延数を当該月の日数で除して得た数が定員以内であれば減算対象にならないというルールである。
また通所サービスについても利用定員が月平均で超過している場合のみ減算対象で、日ごとの超過については月平均で定員内とされれば減算しないルールである。ただし通所介護は18年3月以前は日ごとの減算ルールだったものが、予防通所サービスという月額定額が誕生したことから日単位での減算ができなくなったということが主な理由であることを忘れてはならない。
さて、これらのことを誤解すると「減算対象とならなければ不適切運営ではなく法令違反ではない」と考えてしまう向きがある。「減算対象にならない日ごとの定員超過は問題ない」と考えて闇雲に利用者を受け入れる通所事業所などがある。
しかしそれは間違いである。介護給付費減算というのは罰則のひとつにしか過ぎず、罰則がない規準違反は問題とされないという意味ではない。
むしろ罰則がないルールであるからこそ、それを守ることが社会から求められる介護施設や介護サービス事業所の責任であるという理解が必要である。減算に該当する行為は、かなり悪質な違反を継続していることに対して、算定費用を一部返還することにより責任の所在を公に明らかにして改善を促すという、かなり厳しい強制力の行使であると考えるべきである。
特に介護給付費という税金と保険料で運営されるサービスに対しては、国民の厳しい視線が注がれるのが当然のことであり、それは単に、介護給付費の使われ方が適切かという問題にとどまらず、国民が支払う保険料と税金で運営されている施設である以上、公的な性格を帯びたものであり、法令を遵守するのは当然のことであり、それは努力目標にすらならないという考え方である。
むしろそれ以上に利用者の尊厳を保障する質の高いサービスを提供することも当然という見方である。よって減算がないことを理由に、規準違反を繰り返す事業者が存在することに対し、国民から「そうした施設や事業所に税金や保険料を使って良いのか」という議論が当然沸き起こるであろう。
そうした国民の厳しい視線と期待感に応えるためにも、より高い倫理観を持った施設・事業運営が求められるであろう。
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