僕の施設で作成している「施設サービス計画」は、完全とは言えないまでも、かなりその作成方法や表現方法の理解や工夫が進んで改善してきている。1年前の計画書と現在のものを比べると、その内容も表現方法も進歩していると思う。
施設サービス計画は、施設の担当ケアマネが中心になって立案するものだが、昨年の実地指導で一部の計画書の目標のあり方などに対しアドバイスを受けたことをきっかけにして、施設の中で、その目的や作成方法を理解するための話し合いや協議が続けられてきた。
そのためケアマネ自身の意識改革もあったと思えるし、目標設定や総合的援助の方針の内容についても、施設長が随時チェックして積極的に介入するようになったこともある。何より施設内のサービス担当者会議(ケアカンファレンス)に施設長が参加して、うるさく計画書の内容に口出しするから、ケアマネジャーにも求められていることが理解されてきていると思う。
そのため、とんでもない間違った視点で表現される計画書はほとんどなくなっているといってよい。
しかし併設ショートスティの利用者のショート計画を作成する場合に、その根拠になる、居宅介護支援事業所の担当ケアマネから送られてくる「居宅サービス計画」の内容を読むと、本当に担当者がケアプラン作成の意味や目的、作成方法を理解しているのだろうかと疑問になることが多々ある。
全てのサービス事業所(訪問サービスや通所サービス、滞在サービスを提供する事業所)は「居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画に沿ったサービスを提供しなければならない」ものであり、サービス事業所が立案する計画についても、例外なく「居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。」とされているもので(厚生省令37号)、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーが立案する「居宅サービス計画」は重要なものであるはずだ。
それなのに大本になる、それらの計画の内容がお粗末では、現場のサービスにも影響しかねない。
もっと介護支援専門員は居宅サービス計画の書き方を勉強しなければならないと思う。
特に一番多い例は、課題と目標が結びついていない例である。これはアセスメントそのものが十分に行われていないことが原因だろう。そしてその背景には、まず利用者の希望等から使うサービスを先に決めて、その理由を後づけで考えることによるものと思える。
つまり本来は
アセスメント→課題抽出→目標設定→目標達成の具体的方法→サービス決定
という過程があるべきなのに、そうではなく。
利用者の希望によるサービス決定→アセスメントという名目の理由付け
ということが日常的に行われているということだろう。利用者の希望もアセスメント項目に含まれるのは当然だが、デマンドとニーズの乖離がないのか、言葉として表出したニーズの影に隠されている、表現されていないニーズはないのかを、しっかり検証するのがアセスメントの意味であり、そのことが行われていないと思われるプランが実に多い。
また長期目標、短期目標のつながりも見えない計画がある。どうしてこの短期目標が長期目標の達成に必要な要素なのか疑問になる場合がある。
さらに問題なのは、同じケアプランの中に、あるサービス利用に関する目標が利用者目標であるのに、別のサービスの目標が事業者目標になっていたり、長期目標が事業者目標であるのに、短期目標が利用者目標になっていたりと、目標の主体が混在する計画書もある。これでは何を意図した計画なのかさっぱり理解できない。
(※これらの問題、誰の目標にすべきか、ということを含めての問題は、カテゴリー:ケアプラン の記事を参考にしてほしい。)
また第1表の「総合的援助の方針」の記載内容がお粗末である計画書も多い。ここには担当ケアマネが目指す、利用者の実現すべき生活の実現に関する大方針が書かれなければならないはずなのに、その方針が曖昧で、むしろ長々と利用者がどのような状態であるかを書いている計画書がある。
例えば脳卒中後遺症で片麻痺があるとか、歩行困難とか、入浴が自宅でできないとかいう利用者の状態像が欄内の大部分を占めている計画書である。
しかしそれは総合的援助の方針に書かれるべき内容ではなく、解決すべき課題である。その課題解決のために実現すべき目標に対応する、総合的な援助方針を記載するのが第1表のこの部分であり、第2表などに表現すべき課題を繰り返し書いても意味がない。第2表に書かれるべき内容は2表で表現すればよいことであり、利用者やその家族、サービス事業所の担当者が読んでわかる「総合的援助方針」を書くべきである。
そうでなければサービス事業所は、方針の理解が不十分で、「当該計画の内容に沿った」計画とサービス実施は不可能である。
空欄を埋めさえすれば計画書になると考えるとしたら、それは専門職として恥ずべきことであろう。
居宅介護支援事業所の担当者が立案する「居宅サービス計画」は利用者や家族が読むだけではなく、様々な関係者、保健・医療・福祉のプロの目にも触れていることを忘れてはならない。
文章の苦手なケアマネジャーでは困るのである。
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施設サービス計画は、施設の担当ケアマネが中心になって立案するものだが、昨年の実地指導で一部の計画書の目標のあり方などに対しアドバイスを受けたことをきっかけにして、施設の中で、その目的や作成方法を理解するための話し合いや協議が続けられてきた。
そのためケアマネ自身の意識改革もあったと思えるし、目標設定や総合的援助の方針の内容についても、施設長が随時チェックして積極的に介入するようになったこともある。何より施設内のサービス担当者会議(ケアカンファレンス)に施設長が参加して、うるさく計画書の内容に口出しするから、ケアマネジャーにも求められていることが理解されてきていると思う。
そのため、とんでもない間違った視点で表現される計画書はほとんどなくなっているといってよい。
しかし併設ショートスティの利用者のショート計画を作成する場合に、その根拠になる、居宅介護支援事業所の担当ケアマネから送られてくる「居宅サービス計画」の内容を読むと、本当に担当者がケアプラン作成の意味や目的、作成方法を理解しているのだろうかと疑問になることが多々ある。
全てのサービス事業所(訪問サービスや通所サービス、滞在サービスを提供する事業所)は「居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画に沿ったサービスを提供しなければならない」ものであり、サービス事業所が立案する計画についても、例外なく「居宅サービス計画が作成されている場合は、当該計画の内容に沿って作成しなければならない。」とされているもので(厚生省令37号)、居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャーが立案する「居宅サービス計画」は重要なものであるはずだ。
それなのに大本になる、それらの計画の内容がお粗末では、現場のサービスにも影響しかねない。
もっと介護支援専門員は居宅サービス計画の書き方を勉強しなければならないと思う。
特に一番多い例は、課題と目標が結びついていない例である。これはアセスメントそのものが十分に行われていないことが原因だろう。そしてその背景には、まず利用者の希望等から使うサービスを先に決めて、その理由を後づけで考えることによるものと思える。
つまり本来は
アセスメント→課題抽出→目標設定→目標達成の具体的方法→サービス決定
という過程があるべきなのに、そうではなく。
利用者の希望によるサービス決定→アセスメントという名目の理由付け
ということが日常的に行われているということだろう。利用者の希望もアセスメント項目に含まれるのは当然だが、デマンドとニーズの乖離がないのか、言葉として表出したニーズの影に隠されている、表現されていないニーズはないのかを、しっかり検証するのがアセスメントの意味であり、そのことが行われていないと思われるプランが実に多い。
また長期目標、短期目標のつながりも見えない計画がある。どうしてこの短期目標が長期目標の達成に必要な要素なのか疑問になる場合がある。
さらに問題なのは、同じケアプランの中に、あるサービス利用に関する目標が利用者目標であるのに、別のサービスの目標が事業者目標になっていたり、長期目標が事業者目標であるのに、短期目標が利用者目標になっていたりと、目標の主体が混在する計画書もある。これでは何を意図した計画なのかさっぱり理解できない。
(※これらの問題、誰の目標にすべきか、ということを含めての問題は、カテゴリー:ケアプラン の記事を参考にしてほしい。)
また第1表の「総合的援助の方針」の記載内容がお粗末である計画書も多い。ここには担当ケアマネが目指す、利用者の実現すべき生活の実現に関する大方針が書かれなければならないはずなのに、その方針が曖昧で、むしろ長々と利用者がどのような状態であるかを書いている計画書がある。
例えば脳卒中後遺症で片麻痺があるとか、歩行困難とか、入浴が自宅でできないとかいう利用者の状態像が欄内の大部分を占めている計画書である。
しかしそれは総合的援助の方針に書かれるべき内容ではなく、解決すべき課題である。その課題解決のために実現すべき目標に対応する、総合的な援助方針を記載するのが第1表のこの部分であり、第2表などに表現すべき課題を繰り返し書いても意味がない。第2表に書かれるべき内容は2表で表現すればよいことであり、利用者やその家族、サービス事業所の担当者が読んでわかる「総合的援助方針」を書くべきである。
そうでなければサービス事業所は、方針の理解が不十分で、「当該計画の内容に沿った」計画とサービス実施は不可能である。
空欄を埋めさえすれば計画書になると考えるとしたら、それは専門職として恥ずべきことであろう。
居宅介護支援事業所の担当者が立案する「居宅サービス計画」は利用者や家族が読むだけではなく、様々な関係者、保健・医療・福祉のプロの目にも触れていることを忘れてはならない。
文章の苦手なケアマネジャーでは困るのである。
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職員の方はよく言います「利用者は認知症だから聞いても分からない」と。それが家族に聞く理由だと。ですが、それはmasaさんが言うところの「表出したニーズの影にかくされる表現されていないニーズ」の検証を放棄していることになると思うのです。
認知症の利用者であってもケース記録に丹念に記録がされていて、それを定期的にモニタリングしアセスメントにつなげることで、表現されていないニーズを察知することだって可能なはずだと思います。
専門家に勝手なことを言っていますが、ご容赦を。あまりんこと甘利てる代でした。