時々、このブログ記事で休みの日に街の中を走っていることを書いている。

若い頃からスポーツを続けてきたので、これは僕にとって当たり前の日常である。健康づくりとかダイエットという意味はなく、僕の生活からスポーツがなくなる、ということが考えられないので、一人でもできる「スポーツ」を続けているだけである。

いつも走っているコースが何キロくらいなのか正確に測ったことがなかったので、ふと思い立って、車で同じコースを走り走行距離を調べてみた。すると5.3kmであった。休みの日で雨の降らない日は、よほどのことがない限り、このコースを走っているわけである。走っているコースと距離はずっと変わらないが、若い頃よりスピードは落ちているから走っている時間は長くなっている。

勿論、走っている最中は決して楽しいものではなく、苦しいし、つらい思いをして顔をゆがめながら走っている。スポーツサングラスをかけているのは格好つけではなく、その苦しい表情を見られないためである。しかし汗をかいた後の爽快感に優るものは他にない。別にその後のビールのために走っているわけではないということは強調しておきたい・・・。

ところで僕には若い頃、不整脈があって、ひどいときにはそれが1日30.000発くらいあり、かかりつけ医師の指示で半年に一度はホルター(24時間心電図)の機械をつけていた。これが結構苦痛で、風呂には入れないし、皮膚の弱い僕はテープを貼った部分がかゆくなったりするし、なにより体に機械をつけて過ごしているんだから何かにつけて不便で、とても「その日」が苦痛であった。

特に日常生活を変える必要はないといわれたので、当時野球をしていた僕は、ホルターをつけたまま、ノックを受けたり、バッティング練習をしていた。さすがに機械が壊れる恐れがあるということで、これは禁止されたが、ホルターをつけながら走ることは続けていた。

たった1日のことだから、ホルターをつけているときくらい、休めばよいのだが、日常がそのために大きく変わってしまうほうがストレスなので、気にしないで続けていた。

そんなに頻発していた不整脈が今はほとんどない。特に心臓の薬を飲んでいるわけではないが(当時は北大病院で検査をしたり、服薬したりしていた)いつの間にか治ってしまった。

ということで今はホルターをつけることもなくなった。しかし今あらためて振り返ると、わずか1年に2回、それもたった1日だけ機械を体につけて生活するのは非常に苦痛であったと感じていた。今、それをしなくて良いのは大変ありがたいことだ。しかしそういう思いを持つことができるのは、あの嫌な思いを経験してきたからである。だから今、嫌な思い、つらい思いをしている人も、それをすべてネガティブに考える必要はない。つらいことがあるから喜びも大きくなると思ったほうが良い。

つらいこと、苦しいことを経験しているからこそ、ちょっとした日常に幸せや、喜びを感じられるのだと考えた方がよい。幸せに鈍感にならない日常こそが希望を持って生活できることである。

人にとっての最大の不幸とは、何気ない日常を幸せと感じられないことだろう。

ところで、あの頃、定期的にホルターをつけて検査していたことを思い出すと、医療機器を体につけたまま生活せざるを得ない人々の苦痛は計り知れないだろうな、と思ったりする。

医療や介護の現場では過去において(今なお完全になくなってはいないが)経管栄養の管を抜く高齢者を、「問題老人」と呼んで、体を縛ってそれを防ぐことが当たり前のように考えてきた歴史がある。しかしそのとき、その人が管を抜かざるを得ない理由や状況を、その方々の苦痛として我々はどの程度感じていたのだろうか。単なる認知症による見当識の問題として捉えてこなかっただろうか。

医療器具の発達により肉体的な生命の維持が可能になるケースが増え、そのことを人類は科学の進歩と照らして、肯定的側面から捉える傾向が強い。勿論、その中には不治といわれた病を克服することで、長く生きられるという状況を手にして、幸福を得たケースがたくさん含まれているから、そのことを否定するなにものもない。

しかし同時に我々は器具をつけている生活の不便さに心を寄せて、それらの器具に支えられて生きている人々の心により添えてきたのだろうか、という問いかけを行う必要もあるのではないか。「生きられたのだからそれは我慢しなさい。」という人生であっては、それはあまりに哀しい。

走りながら、取りとめもなくこんなことを考えている。無心で走る、という境地にはいまだ達していない。しかしそれがブログ記事になるから、まあいいか。

なにしろブログというのは他人にとっても、自分にとっても「とりとめのない」「意味のない」ことさえ自由に書いてよい場所であるんだから・・・。

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